登録免許税

概要

登録免許税とは、不動産登記や会社設立登記など、国に備え付けられている公的な登記簿に記録する際に課せられる国税です。特に不動産取引においては、土地や建物の売買による所有権移転登記、住宅ローンを組む際の抵当権設定登記などが課税の対象となります。登記を行うことで、所有権などの権利関係が公に認められ、第三者に対してもその権利を主張できるようになります(対抗力を持つ)。

登録免許税の基本的な考え方と課税対象

登録免許税は、国民が国に対して特定の権利を公示したり、公的な証明を得たりする際に支払う手数料的な性格を持つ税金です。不動産取引においてはこの「登記」が、納税の対象となります。

登記と登録免許税の役割
不動産における「登記」とは、法務局に備え付けられた登記簿に、その不動産の所在、地番、地目、地積といった物理的な情報(表示に関する登記)や、所有者の氏名・住所、抵当権などの権利に関する情報(権利に関する登記)を記録することです。


権利の公示:登記を行うことで、その不動産の所有者が誰であるか、どのような権利関係(抵当権など)があるかといった情報が一般に公開され、誰でも閲覧できるようになります。

対抗力の発生:登記をすることで、第三者に対しても自分の権利を主張できるようになります。例えば、土地を売買した場合、所有権移転登記をしなければ、売主がその土地を別の第三者にも売却してしまい、二重売買となった際に、先に登記した者が所有権を主張できることになります。


この登記を行う際に発生するのが登録免許税であり、登記の種別や不動産の評価額、債権額などに応じて税額が算出されます。

不動産取引における登録免許税の具体例と税額

不動産取引で発生する登録免許税の主なケースと税額は以下の通りです。税額は、「不動産の固定資産税評価額」または「債権額(抵当権設定の場合)」に所定の税率を乗じて算出されます。


1.所有権移転登記(売買、相続、贈与など)
不動産売買や相続、贈与などにより所有者が変わる際に必要となる登記です。

売買による所有権移転登記
税率:不動産の固定資産税評価額×2.0%(本則)
軽減税率:土地の売買による所有権移転登記については、2026年3月31日までに登記を受ける場合、税率が1.5%に軽減されます。住宅用家屋の所有権移転登記については、特定の要件(個人の自己居住用、床面積50㎡以上など)を満たすと税率が0.3%に軽減されます。

相続による所有権移転登記
税率:不動産の固定資産税評価額×0.4%

贈与による所有権移転登記
税率:不動産の固定資産税評価額×2.0%


2.抵当権設定登記(住宅ローンなど)
住宅ローンなどを組む際に、金融機関が不動産を担保とするために行う登記です。

税率:借入金額(債権額)×0.4%(本則)
軽減税率:住宅用家屋の新築または取得と同時に住宅ローンを組む場合で、特定の要件を満たすと税率が0.1%に軽減されます。


3.抵当権抹消登記
住宅ローンを完済した際などに行う登記です。

税額:不動産1個につき1,000円(土地と建物があれば2,000円)


納税義務者と負担慣習
登録免許税の納税義務者は、登記によって利益を受ける者とされています。

所有権移転登記
◯売買の場合:買主
◯相続の場合:相続人
◯贈与の場合:受贈者

抵当権設定登記:金融機関(債権者)と抵当権設定者(債務者や不動産所有者)が連帯して納税義務を負いますが、実務上は抵当権設定者である借主(不動産所有者)が負担するのが一般的です。

抵当権抹消登記:抵当権設定者(不動産所有者)が負担します。


登録免許税は司法書士に登記手続きを依頼する際、司法書士報酬と合わせて支払うことが一般的です。

登録免許税と「訳アリ不動産」の取引

当社フィリアコーポレーションが専門とする「訳アリ不動産」の取引においても、登録免許税は発生します。特に、所有権移転登記は、どのような不動産取引においても不可欠な費用です。しかし、「訳アリ不動産」の特性から、通常の不動産取引では見られないような課題が登録免許税に影響を与える場合があります。

例えば、以下のようなケースです。


相続登記未了の物件:長年相続登記がされておらず、登記簿上の所有者がすでに亡くなっている、あるいは何代も前の人物になっている場合、売却するためにはまず適切な相続人が相続登記を行う必要があります。この場合、通常の所有権移転登記とは別に、過去の相続による所有権移転登記の登録免許税も発生することになります。相続人が多数にわたる共有持分の空き家などでは、この手続きが非常に複雑になります。

抵当権設定・抹消が複雑な物件:根抵当権が設定されたままの物件や、すでに存在しない金融機関の抵当権が残っている場合など、抹消手続きが難航することがあります。抹消登記自体にかかる税額は低いですが、手続きの複雑さや、それを解決するための専門家費用が別途発生することがあります。

低額売却による税額の抑制:老朽化が著しい空き家や再建築不可物件など、市場価値が極めて低い物件は、固定資産税評価額も低くなる傾向があるため、売買による所有権移転登記の登録免許税額も比較的低く抑えられます。


当社フィリアコーポレーションは、このような登録免許税に関する複雑な問題を抱える「訳アリ不動産」の買取を専門としています。私たちは、1,000件以上の相談・査定実績から得た実務に基づいたリアルな知見を活かし、相続登記未了の物件の所有権移転手続き、複雑な抵当権の抹消など、法務・登記に関わる問題を解決しながら買取を進めることが可能です。

当社は、契約不適合責任の免除、残置物の処理不要、隣人交渉不要など、売主様の心理的・実務的負担を大幅に軽減することを強みとしています。登録免許税を含め、登記関連の手続きや費用でお困りの場合でも、ぜひ当社にご相談ください。机上の理論だけでなく、現場で培った対応力と解決事例に基づいて、他の不動産会社では対応が難しい「訳アリ不動産」の売却をサポートすることが当社の強みです。

よくある質問

Q

登録免許税は、いつ、誰に支払うものですか?

A

登録免許税は、不動産の登記手続きを行う際に、法務局に支払います。支払い方法は、原則として収入印紙を登記申請書に貼付する方法です。登記申請は通常、司法書士に依頼するため、司法書士が代理で収入印紙を購入し、登記手続きと合わせて法務局に提出することがほとんどです。売主様や買主様は、司法書士の請求書に含まれる形で、登録免許税と司法書士報酬を合わせて支払うことになります。納税のタイミングは、所有権移転登記を行う日(決済日と同日であることが多い)となります。

Q

登録免許税の軽減税率が適用される条件は?

A

不動産の種類や登記の目的によって、登録免許税の軽減税率が適用される場合があります。特に一般的なのは、自己居住用の住宅用家屋に関する登記です。


所有権保存登記(新築の場合):2027年3月31日までに登記を受ける場合、税率が0.15%に軽減(本則0.4%)。

所有権移転登記(売買による中古住宅の場合):2027年3月31日までに登記を受ける場合、税率が0.3%に軽減(本則2.0%)。

抵当権設定登記(住宅ローンなど):2027年3月31日までに登記を受ける場合、税率が0.1%に軽減(本則0.4%)。これらの軽減税率を受けるためには、以下のような共通の要件を満たす必要があります。
◯個人が取得する居住用家屋であること。
◯床面積が50平方メートル以上であること。
◯新築または取得後1年以内に登記すること。
◯当該家屋が建築基準法に規定する構造耐力基準及び地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準に適合するものであること(耐震基準)。これらの要件は複雑なため、適用を検討される際は、不動産会社や司法書士に事前に確認することが重要です。

Q

相続した不動産を売却する場合、登録免許税はかかりますか?

A

はい、相続した不動産を売却する場合、原則として以下の登録免許税が発生します。


1.相続による所有権移転登記(相続登記):まず、亡くなった方(被相続人)から相続人へ所有権を移転する登記が必要です。この場合の登録免許税は、不動産の固定資産税評価額の0.4%です。

2.売買による所有権移転登記:相続登記が完了し、名義が相続人になってから、その相続人が第三者に売却する際に、買主が所有権移転登記を行うことになります。この場合の登録免許税は、不動産の固定資産税評価額の2.0%(軽減税率適用で1.5%)を、原則として買主が負担します。つまり、相続不動産を売却する際には、買主への所有権移転登記とは別に、売主自身が相続登記を行うための登録免許税が発生します。長年相続登記が未了の物件は、この相続登記費用(登録免許税含む)が重なるため、売却をためらう一因となります。当社フィリアコーポレーションは、相続登記未了の「訳アリ不動産」の買取も専門としており、売主様のご負担を軽減しながら、売却をサポートすることが可能です。

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