不動産鑑定評価

概要

不動産鑑定評価とは、国家資格を持つ不動産鑑定士が、不動産の経済価値を判定し、その結果を価額として表示することを指します。公正かつ客観的な視点から不動産の適正な価値を明らかにするための専門的な業務であり、不動産鑑定評価基準に基づき行われます。売買、相続、担保評価など、さまざまな場面でその報告書が重要な判断材料となります。

不動産鑑定評価とは何か

不動産鑑定評価は、単に「いくらで売れるか」という仲介業者による査定とは異なり、不動産鑑定士という国家資格者が、「不動産の鑑定評価に関する法律」に基づき、厳格なプロセスを経て不動産の適正な価値を導き出すものです。この評価は、土地や建物の現在の状態、周辺環境、法規制、市場の動向、将来性など、多岐にわたる要因を詳細に分析することで行われます。最終的には「不動産鑑定評価書」という形で、評価額とその根拠が明確に示されます。

不動産鑑定評価の目的と活用場面

不動産鑑定評価は、その客観性と信頼性から、多岐にわたる場面で活用されます。例えば、不動産の売買や交換の際には、売主と買主が納得できる適正な価格を決定するための基準となります。また、金融機関が不動産を担保に融資を行う際には、その担保価値を正確に把握するために不可欠です。

相続においては、公平な遺産分割のために不動産の価値を明確にする必要があり、鑑定評価が重要な役割を果たします。さらに、企業会計における時価会計減損会計不動産の証券化共同ビル事業や再開発事業における権利調整など、専門性が求められる場面で幅広く利用されます。特に、当社フィリアコーポレーションが扱うような再建築不可物件共有持分長屋・連棟といった複雑な権利関係や法的・物理的制約を伴う不動産の場合、一般的な査定では適正な価値を判断することが難しく、専門家である不動産鑑定士による評価が非常に重要となります。

権利関係に課題がある不動産における不動産鑑定評価の重要性

当社フィリアコーポレーションは、再建築不可、共有持分、長屋・連棟など、権利関係に課題を抱える訳アリ不動産の買取に特化しています。このような物件は、通常の不動産市場では取引が困難であり、適正な価格がつきにくい傾向にあります。

例えば、再建築不可物件は、一度建物を解体すると再建築できないため、利用価値が低く評価されがちです。しかし、不動産鑑定士は、無道路地の通路想定や隣接地の併合など、さまざまな補正を用いて、その土地の潜在的な価値や、将来的な活用方法まで考慮した上で評価を行います。単に固定資産税評価額が低いからという理由だけで価値がないと判断されるわけではありません。

また、共有持分の場合、その持分単独での市場性は非常に低いため、一般的な査定では正当な価格がつきにくいものです。しかし、不動産鑑定評価では、不動産全体の価値を評価し、そこから持分割合や他の共有者との関係性、利用状況などを考慮して、より詳細かつ客観的な評価が行われます。当社が共有持分を買い取る際も、この鑑定評価に基づいた適正な価格を提示することで、売主様にとって納得感のある取引を実現しています。

長屋や連棟といった特殊な物件も同様です。隣地との境界が不明確であったり、再建築に制約があったりすることが多く、その評価は複雑を極めます。不動産鑑定士は、これらの複雑な要素を総合的に判断し、適切な評価額を算出します。

このように、権利関係に課題のある物件では、不動産鑑定評価が、その不動産の真の価値を明らかにし、売主様が不当に低い価格で手放すことを防ぐ上で極めて重要な役割を果たすのです。当社では、1000件以上の相談・査定実績から得られた実務的な知見に基づき、このような複雑な物件の解決策を提案しており、鑑定評価は適正な取引を行う上での羅針盤となっています。

よくある質問

Q

不動産鑑定評価と不動産会社の査定は何が違うのですか?

A

不動産鑑定評価は、国家資格者である不動産鑑定士が、不動産鑑定評価基準という法的な基準に基づいて、客観的かつ厳密に不動産の経済価値を判定するものです。裁判所や税務署など、公的な場面で証拠能力を持つ信頼性の高い評価であり、不動産鑑定評価書が発行されます。

一方、不動産会社の査定は、主に売買仲介を目的として、市場の取引事例や担当者の経験に基づいて簡易的に算出されるものであり、法的な拘束力はありません。あくまで売却の目安となる価格であり、その目的や信頼性に大きな違いがあります。特に、当社が扱うような複雑な権利関係の物件では、一般的な査定では適正な価格を導き出すことが難しいため、不動産鑑定評価がより重要になります。

Q

不動産鑑定評価にかかる費用はどのくらいですか?

A

不動産鑑定評価の費用は、対象不動産の種類、所在地、面積、評価の目的、権利関係の複雑さなどによって大きく異なります。一般的な戸建て(土地・建物)の場合、20万円から50万円程度が相場とされていますが、鑑定事務所によって報酬基準はさまざまです。

国土交通省の「公共事業に係る不動産鑑定報酬基準」が指標として使われることもありますが、具体的な費用は個別の依頼内容に応じて見積もりが提示されます。特に、再建築不可や共有持分など、調査や分析に手間がかかる訳アリ不動産の場合は、費用が高くなる傾向にあります。依頼を検討される際は、複数の不動産鑑定士に見積もりを依頼し、内容と費用を比較検討することをおすすめします。

Q

不動産鑑定評価はどのような時に依頼すべきですか?

A

不動産鑑定評価は、特に以下のような場面で依頼を検討すべきです。


1.相続財産として公平な遺産分割を行いたい場合:相続人間での評価額の争いを避けるために、客観的な鑑定評価が有効です。

2.不動産を売買する際に適正な価格を知りたい場合:特に、市場性の低い訳アリ不動産や、親族間など特殊な間柄での取引の場合に、トラブルを未然に防ぎ、透明性のある取引を行うために役立ちます。

3.不動産を担保に融資を受けたい場合:金融機関は担保評価として鑑定評価を求めることが多くあります。

4.共有持分など複雑な権利関係の不動産を売却・整理したい場合:当社フィリアコーポレーションが専門とする分野であり、適正な価格を把握することで円滑な解決に繋がります。

5.裁判や調停で不動産の価値が争点となる場合:鑑定評価書は強力な証拠となります。


これらのケースでは、不動産鑑定評価の専門性と信頼性が大きなメリットをもたらします。

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