ハザードマップ
概要
ハザードマップとは、自然災害によって被る被害を予測し、その被害範囲や避難経路、避難場所などを地図上に示したものです。地震、津波、洪水、土砂災害、火山噴火など、様々な種類の災害リスクに対応したマップが、国や地方公共団体によって作成・公開されています。不動産取引においては、2020年の宅地建物取引業法改正により、水害ハザードマップにおける物件所在地の説明が義務化されるなど、物件の安全性を判断する上で非常に重要な情報源となっています。
ハザードマップの目的と種類
ハザードマップは、住民一人ひとりが災害リスクを認識し、適切な避難行動をとるための情報提供を目的としています。また、都市計画や地域防災計画を策定する上でも重要な基礎資料となります。
ハザードマップの主な目的
・災害リスクの可視化:どのような災害が、どの場所で、どの程度の規模で発生する可能性があるのかを地図上で明確に示します。
・避難行動の支援:災害発生時の避難経路や避難場所(指定緊急避難場所、指定避難所など)を具体的に示し、住民の安全な避難行動を促します。
・防災意識の向上:ハザードマップを通じて、地域の災害リスクを認識させることで、住民の防災意識を高め、自主的な防災対策への取り組みを促進します。
・災害対策の計画策定:行政が、インフラ整備や避難計画の策定など、災害対策を進める上での基礎資料として活用します。
ハザードマップの主な種類
日本は自然災害が多い国であるため、様々な種類のハザードマップが作成されています。
・洪水ハザードマップ:河川の氾濫によって想定される浸水区域(浸水の深さを含む)や、避難場所などが示されます。これは、特に不動産取引で重要事項説明の対象となるマップです。
・高潮ハザードマップ:台風などによる高潮で想定される浸水区域が示されます。
・内水ハザードマップ:短時間の大雨により、下水道の処理能力を超えて雨水が溢れ出す「内水氾濫」による浸水区域が示されます。
・土砂災害ハザードマップ:急傾斜地の崩壊、土石流、地滑りなど、土砂災害の危険性がある区域(土砂災害警戒区域、土砂災害特別警戒区域など)が示されます。
・地震ハザードマップ:地震発生時の揺れの強さ(震度)、液状化の危険性、建物の倒壊危険度、火災の延焼危険度などが示されます。
・津波ハザードマップ:津波の到達時間、浸水範囲、浸水の深さなどが示されます。
・火山ハザードマップ:火山噴火時の溶岩流、火砕流、降灰などの範囲が示されます。
これらのハザードマップは、各自治体のホームページで公開されているほか、役所の窓口で入手することも可能です。
不動産取引におけるハザードマップの重要性
不動産取引において、ハザードマップは物件の安全性や価値を判断する上で不可欠な情報となっています。特に、2020年8月28日に施行された宅地建物取引業法の改正により、水害ハザードマップにおける重要事項説明が義務化されたことで、その重要性はさらに増しました。
重要事項説明の義務化の内容
不動産会社は、宅地建物の売買や賃貸の媒介・代理を行う際、対象物件が水防法に基づき作成された水害ハザードマップ(洪水ハザードマップ、高潮ハザードマップ)上のどの位置にあるかを、重要事項説明書に記載し、買主または借主に対して説明することが義務付けられました。
・説明対象:物件の所在地がハザードマップ上のどの浸水想定区域(浸水深)に該当するかを説明。
・説明資料:ハザードマップそのものを提示し、対象物件の位置と浸水想定区域の関係を明示。
・避難所の説明:物件周辺の避難場所や避難経路についても説明が推奨されています。
この義務化は、売買後の水害リスクに関するトラブルを未然に防ぎ、買主が物件の安全性を十分に理解した上で購入判断ができるようにすることを目的としています。
不動産評価と売買への影響
・売買価格への影響:ハザードマップで高い浸水リスクや土砂災害リスクが示されている物件は、買主が購入をためらったり、売買価格が低くなる傾向にあります。将来的な災害リスクによる修繕費や、保険料の増加なども考慮されるためです。
・融資の可否:金融機関によっては、ハザードマップ上のリスクを考慮して、融資の条件を厳しくしたり、融資自体を断ったりするケースも出てきています。
・保険加入:災害リスクの高い地域では、火災保険や地震保険、水災補償などの保険料が高くなる可能性があります。
・契約不適合責任:告知を怠ったり、虚偽の説明をしたりして売却後に災害被害が発生した場合、売主が契約不適合責任を問われ、損害賠償や契約解除を求められるリスクがあります。
ハザードマップと「訳アリ不動産」の現実
当社フィリアコーポレーションが専門とする「訳アリ不動産」の中には、ハザードマップ上のリスクが高いエリアに位置する物件が少なくありません。例えば、川沿いの低地に建つ古い空き家や、崖に近接する再建築不可の物件などは、水害や土砂災害のリスクが指摘されやすい傾向にあります。
これらの物件は、ハザードマップ上でリスクが明確に表示されることで、一般の不動産市場ではさらに買い手が見つかりにくくなります。買主は、将来の災害リスク、保険料の増加、そして万が一被災した場合の復旧費用などを懸念し、購入をためらうことがほとんどです。
・「ハザードマップで危険な場所と表示されているため、買い手が見つからない」
・「水害リスクがあるため、不動産会社から取り扱いを断られた」
・「災害リスクのある物件なので、売却後の責任が不安」
このようなお悩みを持つ売主様が多くいらっしゃいます。当社フィリアコーポレーションは、まさにこのようなハザードマップ上のリスクを抱える「権利関係に課題のある不動産」の買取を専門としています。私たちは、1,000件以上の相談・査定実績から得た実務に基づいたリアルな知見を活かし、ハザードマップの情報やそれに伴うリスクを正確に評価した上で、物件の買取を判断します。
当社は、契約不適合責任の免除、残置物の処理不要、隣人交渉不要といった形で、売主様の心理的・実務的負担を大幅に軽減することを強みとしています。ハザードマップによって売却が難しくなった不動産であっても、当社が直接買い取ることで、売主様は安心して物件を手放すことができます。机上の理論だけでなく、現場で培った対応力と解決事例に基づいて、他の不動産会社では対応が難しいハザードマップ関連の不動産売却をサポートすることが当社の強みです。
よくある質問
Q
ハザードマップはどこで確認できますか?
Q
ハザードマップで危険区域に表示されている物件でも、住宅ローンは組めますか?
Q
ハザードマップのリスクがある物件を売却する際、売主が注意すべき点は?
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