インスペクション(建物状況調査)

概要

インスペクション(建物状況調査)とは、中古住宅などの不動産を売却・購入する前に、建築士などの専門家が建物の劣化や不具合の有無を目視で調査することを指します。物件の「健康診断」とも呼ばれ、近年の中古住宅取引では買主・売主の双方にとって重要視されているプロセスです。

インスペクションとは何か?

インスペクション(建物状況調査)は、売却前・購入前の物件について、第三者の専門家(主に建築士)が建物の構造部分や雨漏り、シロアリ被害などの劣化や不具合を調査・報告する制度です。これはあくまでも目視による非破壊調査であり、リフォームや修繕を行うものではありません。
調査後は「建物状況調査報告書」が発行され、建物のコンディションが明示されるため、買主は安心して物件を購入しやすくなります。逆に売主側にとっても、不具合の有無をあらかじめ明らかにすることで、契約後のトラブル回避や「契約不適合責任」のリスク軽減につながります。

費用・所要時間・実施タイミング

インスペクションの費用相場は5万円〜7万円前後(延床面積や調査範囲による)で、調査には1時間〜2時間程度かかるのが一般的です。調査内容は主に、屋根・外壁・基礎・床下・天井裏などの構造耐力上主要な部分と、雨漏り・腐食・シロアリ被害などが対象です。


実施のタイミングとしては、以下の2つが一般的です:

・売主が売却前に実施し、建物の状態を明らかにしてから売り出す

・買主が購入申込み後に実施し、契約締結の判断材料とする


いずれの場合も、調査報告書を物件資料として提示できれば、買主の安心材料となり、交渉をスムーズに進める助けになります。

フィリアコーポレーションの実務視点

フィリアコーポレーションでは、空き家や築古物件など訳あり不動産の売却時にも、必要に応じてインスペクションの提案を行っています。たとえば築40年以上の長屋物件を売却した案件では、売主自身が建物の状態をよく把握しておらず、取引後の不具合報告が心配されました。
そこで事前にインスペクションを実施し、構造部に大きな問題がないことを確認したうえで、買主にも調査報告書を提示。結果として契約トラブルを回避し、安心してスムーズに売却を完了することができました。
また、調査結果に軽微な劣化があったとしても、「事前に買主へ説明している」ことで契約不適合責任を回避できる材料となるため、リスクマネジメントの観点でも非常に有効です。

よくある質問

Q

インスペクションを受ける義務はありますか?

A

現時点では、売主・買主いずれにもインスペクションを実施する法的義務はありません。ただし、2018年の宅建業法改正により、宅建業者(不動産会社)にはインスペクション実施の有無を確認し、重要事項説明で伝える義務があるため、売買の場面では頻繁に登場するようになっています。実施は任意ですが、買主の安心材料になり、トラブル防止にもつながるため、特に築年数が古い物件では実施をおすすめします。

Q

調査で不具合が見つかった場合はどうなりますか?

A

インスペクションはあくまでも「現状把握」のための調査ですので、不具合があったからといって売却できなくなるわけではありません。ただし、調査結果を買主に開示したうえで売却することで、契約不適合責任を免責にする特約を結びやすくなります。また、買主が購入後のリフォーム費用などを事前に見積もれるため、スムーズな交渉につながります。

Q

調査結果はどのように使われますか?

A

インスペクションの結果は、「建物状況調査報告書」として発行され、売買資料として買主に提示できます。物件ポータルサイトやチラシなどに「インスペクション済」と記載できることで、買主からの信頼感を高める効果もあります。また、調査結果によっては、住宅瑕疵保険(かしほけん)に加入できるケースもあり、購入後の修繕リスクをさらに軽減することも可能です。

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