公示価格

概要

公示価格(公示地価)とは、国土交通省の土地鑑定委員会が、毎年1月1日時点の標準地の正常な価格として公示する土地の価格のことです。一般の土地取引の指標や、公共事業用地の取得価格の算定基準など、多様な目的に利用されます。

公示価格の役割と目的

公示価格は、地価公示法に基づき、全国の約2万6,000地点(2022年時点)の「標準地」を選定し、不動産鑑定士の鑑定評価を基に国土交通省が決定・公示する土地の価格です。毎年3月下旬に公表されます。この制度の主な目的は、適正な地価の形成に寄与することです。つまり、市場における土地取引が、客観的で公平な価格で行われるための「ものさし」を提供する役割を担っています。

公示価格は、以下のような場面で活用されます。


一般の土地取引の指標:土地売買の際に、その地域の客観的な価格水準を知るための目安となります。

公共事業用地の取得価格の算定基準:国や地方公共団体が公共事業のために土地を取得する際の価格算定の基準となります。

相続税・贈与税評価額の基準:路線価(相続税路線価)の算定の基礎となり、間接的に相続税や贈与税の評価にも影響を与えます。

金融機関の担保評価:不動産を担保にお金を借りる際の評価の参考になります。


公示価格は、取引当事者の事情や個別の不動産が持つ特殊な要因(例えば、不整形地や接道状況の悪さなど)を考慮せず、あくまでも「正常な価格」、すなわち自由な市場において形成されるであろう客観的な価格を示すものです。

公示価格と他の価格との違い

不動産の価格には、公示価格以外にもいくつかの種類があり、それぞれ目的や評価方法が異なります。


路線価:主に相続税や贈与税の計算に使われる価格で、公示価格の約80%を目安に設定されます。道路に面した土地の1平方メートルあたりの評価額として、国税庁が毎年7月に公表します。

固定資産税評価額:固定資産税や都市計画税、不動産取得税、登録免許税の計算に使われる価格で、公示価格の約70%を目安に設定されます。市町村(東京23区は東京都)が3年に一度評価替えを行います。

実勢価格:実際に不動産が市場で取引された価格、つまり時価のことです。売主と買主の交渉によって決まるため、公示価格や路線価といった公的な評価額とは異なる場合が多いです。


これらの公的な価格は、それぞれ異なる目的で使われるため、不動産の売買を検討する際は、これらの価格のどれが最適かを理解しておくことが重要です。例えば、相続税の評価では路線価が重要になりますが、実際に不動産を売却する際には、あくまで市場の需給によって決まる実勢価格が重要になります。

訳あり不動産と公示価格

当社フィリアコーポレーションは、空き家専門の買取会社であり、権利関係に課題のある物件(再建築不可、共有持分、長屋・連棟、法的・物理的制約を伴う不動産)の買取に特化しています。このような「訳あり不動産」の場合、公示価格で示される「正常な価格」とは大きく乖離した実勢価格でしか取引が成立しないことがほとんどです。

例えば、公示価格が周辺の標準地と同じように高評価であっても、接道義務を満たしていない土地や、物理的に再建築が不可能な建物が建っている土地では、一般の市場では買い手がつきにくく、売却が非常に困難になります。当社では、このような一般流通では売却が難しい物件でも、1000件以上の相談・査定実績から培った実務に基づいたリアルな知見を活かし、適正な実勢価格を提示して速やかに買取を行います。

売主様にとっては、公示価格だけを見て期待値を高く持ちすぎると、実際の売却時に失望してしまうこともあるため、専門の不動産会社に査定を依頼し、現在の市場における適正な実勢価格を把握することが何よりも重要です。当社では、お客様の心理的・実務的負担を軽減するため、契約不適合責任の免除や残置物の処理不要、隣人交渉不要など、売主様に寄り添った提案を強みとしています。

よくある質問

Q

公示価格はどこで調べられますか?

A

国土交通省が運営する「土地総合情報システム」で、誰でも公示価格を調べることができます。地図上や住所から標準地を検索し、その価格を確認できます。また、各都道府県のホームページでも、基準地価と合わせて情報が公開されていることがあります。ただし、公示価格はあくまで標準地の価格であり、個別の土地の形状や接道状況などによって実際の価値は異なります。

Q

公示価格と実勢価格はなぜ違うのですか?

A

公示価格は、特定の条件(標準地、正常な取引)に基づいて国が定めた客観的な価格指標であるのに対し、実勢価格は、実際の市場で売主と買主の交渉によって成立する価格(時価)だからです。実勢価格は、公示価格で考慮されない個別の土地の特性(日当たり、騒音、周辺環境、道路状況など)や、その時の市場の需給バランス、売主・買主の個人的な事情によって変動します。そのため、公示価格はあくまで目安であり、実際の売買価格が公示価格と同じになることは稀です。

Q

不動産売却の際、公示価格を参考にすべきですか?

A

公示価格は、その地域の土地の一般的な価格水準を知る上での重要な参考資料となります。しかし、あくまで「標準的な土地」の価格であり、個別の不動産の価値を直接示すものではありません。特に、当社が扱うような再建築不可や共有持分などの「訳あり不動産」の場合、公示価格と実際の売却価格(実勢価格)には大きな乖離が生じることが多々あります。不動産を売却する際は、公示価格だけでなく、周辺の類似物件の成約事例や、専門の不動産会社による査定を通じて、より実勢価格に近い適正な売却価格を見極めることが重要です。

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