長屋・連棟
概要
壁や構造の一部を隣戸と共有し住戸同士が連続して建てられた住宅のこと。伝統的には「長屋(ながや)」とも呼ばれ、現代でいうテラスハウスやタウンハウスに相当します。同一の建物が区切られて複数の家になっているイメージで、構造上一体化しているため一戸だけの建替えや売却が難しいといった課題を抱える訳あり物件です。
長屋・連棟物件の特徴
長屋(連棟)物件とは、同じ建物構造内に複数の住まいが連なっている住宅を指します。木造住宅が密集する都市部の下町などで見られる伝統的な長屋から、昭和期に建てられた文化住宅的な連棟住宅、さらには郊外型のテラスハウスやタウンハウスまで種類は様々です。一般に隣り合う住戸と壁や梁など建物構造を共有しており、外観上は一見別々の家でも登記上・構造上は一棟の建物として扱われる場合があります。各住戸にそれぞれ所有者がいるケースでは一人の所有者が建物全体を単独支配していない状態となります。このような連棟式の住宅は、日本では古くから庶民の住まいとして利用されてきましたが、現代の不動産取引においては特殊な扱いが必要な物件となっています。
長屋物件の主な問題点
長屋・連棟物件は隣家と一体になっている特殊性から、以下のような売却・管理上の課題があります:
・単独での建替えや大規模リフォームが困難です。一戸だけ老朽化して取り壊したくても、構造がつながっているため自分の家だけ壊すと隣家の壁が無くなるなど影響が出ます。そのため建替えには隣家も含めた合意と共同工事が必要になることが多く、容易ではありません。
・物件ごとに接道条件を満たしていないケースが多々あります。長屋全体では道路に面していても、区切られた各住戸の敷地単位では幅2m以上の道路に接していないことがあり、その場合各戸が個別には再建築不可の状態になります。結果として前述の再建築不可物件と同様、建替え・融資面で制約を受けます。
・老朽化や耐震性の不安も問題です。古い長屋は築数十年を超え耐震基準も旧基準のままのことが多く、建物全体として耐震補強工事をしたくても所有者全員の同意を取るのが難しい場合があります。必要なメンテナンスが行き届かず放置され、建物劣化が加速する例も見られます。
・住宅ローンの審査に通りにくい傾向もあります。長屋物件は資産価値評価が難しく、また前述の再建築不可の問題を抱える場合や借地権付きのケースもあるため、金融機関から敬遠されます。買い手が現れてもローンが組めないと購入を断念されてしまうことがあり、現金購入できる投資家くらいしか相手に残らないこともあります。
以上のように、長屋・連棟物件は一般的な戸建て住宅に比べ**流動性が低く、市場で「売れにくい物件」**とされています。実際、不動産会社によっては長屋の売却仲介を断られるケースもあります。しかし所有者にとっては住み替えや相続整理などで手放したい需要も確かに存在するため、この分野を専門に扱う業者の存在が重要になっています。
長屋物件の処分・再生と専門業者の取り組み
長屋や連棟住宅を処分・再生するには、専門的なノウハウが求められます。まず所有者全員が合意できるなら、建物全体を取り壊して土地ごと分割・売却する方法があります。ただし隣接する他の所有者が同意しない限り実現は難しいです。また一部の所有者だけでも同意を得られれば、自分の区画を他に買い取ってもらう(または他の区画を自分が買い取る)ことで全体を単独所有化し、その上で再建築する道もあります。しかし現実問題として、時間や費用の面から個人でそれを行うのは容易ではありません。そこで頼りになるのが長屋物件の買取に積極的な不動産会社です。フィリアコーポレーションでも「長屋連棟式物件買取事業」を展開しており、再建築不可物件と同様に他社が手を出しにくい古い連棟住宅を積極的に買い取っています。例えば、築50年以上の古い長屋を相続したものの管理が限界となり売却を検討していたお客様から相談を受けたケースでは、当社が迅速に現地調査を実施し、老朽化や再建築不可といったマイナス要素もしっかり考慮した上で納得いただける価格を提示して買取契約を結びました。売主様は「こんな古い長屋でも買ってもらえるのか」と当初半信半疑でしたが、予想より早く現金化できたことで大変安心された様子でした。また別の事例では、連棟長屋の一戸を所有していた方が遠方に転勤することになり、空き家にするくらいならと売却を決断。しかし他の隣戸が建替え不可の状態で将来性に不安がある物件だったため、通常の買主を見つけるのは困難でした。そこで当社にご依頼いただいたところ、調査後すぐに直接買取を提案し契約までスムーズに進みました。売主様からは「煩雑な手続きをかけずに迅速に対応してもらえたので助かった」との声を頂いています。このように専門業者であれば長屋・連棟物件でも柔軟に対応し、スピーディーな買取や問題解決が可能です。他社で断られたような長屋案件でも、まずは当社のような訳あり物件専門会社に相談することで思わぬ解決策が見つかるかもしれません。
よくある質問
Q
長屋形式の家は、自分の家だけ単独で建て替えることはできないのでしょうか?
Q
長屋(連棟)物件を売却する際、住宅ローンが使いにくいって本当ですか?