占有権

概要

占有権(せんゆうけん)とは、事実上ある物を所持し、支配している状態を法律が保護する権利です。たとえその物を所有していなくても、現実に持っている、または使っているという事実を尊重し、不法な妨害からその事実上の支配を保護することを目的としています。所有権のような「本権」とは異なり、物が自分のものであるかどうかにかかわらず、物理的な支配状態があれば発生する権利です。

占有権とはどのような権利か

占有権は、民法で定められている権利の一つで、私たちが日常生活で物を「持っている」「使っている」という事実上の状態を法的に保護するものです。例えば、あなたが道を歩いていてスマートフォンを手に持っているとします。そのスマートフォンがたとえ盗品であったとしても、現にあなたがそのスマートフォンを所持しているという事実(占有)があれば、第三者が勝手に奪おうとした際に、その行為を排除する権利が認められます。これが占有権です。

占有権は、物を「所有している」という所有権(本権)とは区別されます。所有権がその物の究極的な支配権であるのに対し、占有権は現在の事実上の支配状態を指します。泥棒が盗んだ物であっても、その泥棒は一時的にその物を占有している状態にあるため、他の泥棒から奪われそうになった場合は、占有権に基づいて抵抗することができます。ただし、所有者からは所有権に基づいて返還を請求されることになります。

占有権は、物が不法に奪われた場合に、占有者がその物を取り戻すための占有訴権(占有回収の訴えなど)を行使できるなど、強力な保護を与えられています。また、占有者はその物を適法に占有していると推定されるため、所有権などを主張する側がその物の所有権があることを証明する責任を負うことになります。このように占有権は、社会の秩序を保ち、自力救済(自分で勝手に物を取り返す行為)を防止する役割も果たしています。

占有権が「訳アリ不動産」を生むケース

占有権は、不動産の世界、特に「訳アリ不動産」において複雑な問題を引き起こすことがあります。所有者不明の空き家や、相続未登記の不動産で、長期間にわたって所有者以外の第三者が居住・利用しているケースなどが典型です。

例えば、数十年前から登記名義人ではない親戚が空き家に住み続けている、あるいは、亡くなった親族の土地に他人が勝手に物置を置いて利用しているといった状況です。このような場合、例えその占有者が正式な賃貸借契約を結んでいなくても、長期間にわたる事実上の占有が認められることがあります。そして、一定期間の占有(例えば、所有の意思をもって20年間占有するなど)が続くと、その占有者が時効取得という形で、法的にその不動産の所有権を取得してしまう可能性が生じます。

所有者側からすれば、自分の不動産であるはずなのに、長年住み着いている人がいて、その人が賃料も払っていないのに退去してくれない、といった問題に直面することがあります。占有者は占有権に基づいて、不法な排除に抵抗する権利を持つため、所有者が勝手に鍵を交換したり、荷物を運び出したりすることはできません。このような行為は、占有権の侵害にあたり、所有者自身が訴えられるリスクもあります。結果として、物件の所有者はいるものの、実質的な利用や売却が困難になるという「負動産」の状態に陥りがちです。

占有権付き不動産の解決と当社の専門性

占有権が絡む不動産の問題解決は、非常にデリケートで専門的な対応が求められます。当社フィリアコーポレーションは、まさにこのような権利関係に課題のある不動産、特に第三者による占有がある空き家の買取と問題解決に特化しています。

当社が提供する解決策の一つは、占有者がいる状態のまま、当該不動産を直接買い取ることです。これにより、売主様は、占有者との面倒な交渉や、立ち退きを求めるための法的手続き(占有排除請求訴訟など)、あるいは時効取得のリスクといった複雑な問題から解放され、速やかに物件を現金化することができます。一般の不動産会社ではこのような物件を敬遠することがほとんどですが、当社は豊富な経験とノウハウを活かし、積極的に買取を検討します。

具体的には、当社の専門チームが占有者との交渉に乗り出し、円満な解決を目指します。交渉が難しい場合には、提携の弁護士と連携し、法的な手続きを適切に進めて占有問題を解消します。例えば、所有者不明の空き家で、いつの間にか第三者が住み着いてしまったケースでも、当社が所有権を取得した上で、占有者との交渉や明渡し手続きを代行し、物件を再生・活用します。

売主様にとっては、残置物の処理が不要であったり、契約不適合責任を免除したりするなど、売却における心理的・実務的な負担を大幅に軽減する提案が可能です。当社は、1000件以上の相談・査定実績を通じて培った実務に基づいたリアルな知見を強みとしています。単なる法律の説明に終わらず、「どんな場面で問題になるのか」「売主にとっての影響」「どう解決してきたか」を明確に示しながら、売主様に寄り添った最適な解決策をご提案いたします。

よくある質問

Q

占有者がいる不動産でも売却できますか?

A

はい、占有者がいる不動産でも売却自体は可能です。しかし、占有者がいる状態のままだと、買主はすぐにその不動産を利用できないため、一般の市場では買い手が見つかりにくく、通常の相場よりも大幅に価格が低くなる傾向があります。多くの買主は、引き渡し時に占有者がいない「空き家」の状態を望むため、売主側で占有者の排除や明渡しを完了させる必要があります。この手続きには、時間、費用、そして精神的負担が伴います。当社フィリアコーポレーションのような訳アリ不動産専門の買取会社であれば、占有者がいる状態の物件でもそのまま買い取り、売主様の負担なくスムーズな売却を実現できます。

Q

占有権と所有権は何が違いますか?

A

占有権は「事実上の支配状態」を保護する権利であるのに対し、所有権は「法律上の完全な支配権」です。例えば、あなたが友人の本を借りて持っている場合、あなたはその本を事実上支配しているので占有権を持っています。しかし、その本の所有者は友人です。もしその本が盗品だったとしても、あなたが持っている限りは占有権がありますが、所有権は本来の持ち主にあります。占有権は、泥棒のような不法な占有者にも一時的に認められますが、所有権はあくまで正当な権利者に帰属します。占有権は、その物の物理的状態を保護するものであり、所有権は、その物の利用、収益、処分といった包括的な権利を保護するものです。

Q

自分の土地に勝手に他人が住み着いた場合、どうすればいいですか?

A

自分の土地に勝手に他人が住み着いたり、利用したりしている場合でも、自力で強制的に排除することはできません。これは、不法な占有者であっても「占有権」が認められているため、所有者自身が勝手に物を撤去したり、鍵を交換したりすると、逆に不法行為として訴えられるリスクがあるためです。このような場合、まずは弁護士などの専門家に相談し、法的な手続き(占有排除請求訴訟や建物収去土地明渡請求訴訟など)を通じて、裁判所の判決を得て、強制執行によって排除を行う必要があります。このプロセスは時間と費用がかかることが多く、非常に複雑です。当社フィリアコーポレーションは、このような複雑な占有問題を持つ不動産の解決実績が豊富ですので、お気軽にご相談ください。

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