地役権

概要

地役権(ちえきけん)とは、自分の土地(要役地)の利便性を高めるために、他人の土地(承役地)を特定の目的のために利用できる権利です。例えば、公道に出るために他人の土地を通行させてもらったり、日当たりや通風を確保するために他人の土地に建物の高さ制限を設けたりするケースが挙げられます。地役権は、特定の土地の利用価値を高めるために設定される、土地に付随する権利です。

地役権とはどのような権利か

地役権は、民法で定められた物権の一種であり、土地の利用をめぐる隣地との関係において非常に重要な役割を担っています。この権利の最大の特徴は、「要役地のために承役地を利用する」という点です。つまり、要役地という特定の土地の便益を図るために、別の土地である承役地が利用される、という構造になります。

例えば、旗竿地のように公道に直接接していない土地(要役地)から公道に出るために、隣接する他人の土地(承役地)の一部を通路として利用する「通行地役権」が典型的な例です。この場合、要役地の所有者が変わっても、新しい所有者は引き続き承役地を通行する権利を持っています。これは、地役権が土地の利用価値に付随する権利であり、土地の所有者が変わっても消滅しないという物権としての強力な性質を持つためです。

また、日当たりや眺望を確保するために、隣地に一定の高さ以上の建物を建てさせない「眺望地役権」や、水の利用に関する「引水地役権」なども存在します。地役権は、承役地の所有者の土地利用を制限することになりますが、その代わりに要役地の価値を高める効果があります。地役権を設定する際には、原則として当事者間の合意に基づき、登記を行うことで第三者に対してもその権利を主張できるようになります。

地役権が「訳アリ不動産」を生むケース

地役権は、一見すると隣地関係を円滑にするための有用な権利に見えますが、その存在が不動産を「訳アリ不動産」にしてしまうケースも少なくありません。

特に問題になりやすいのは、通行地役権が設定されているにもかかわらず、その存在が不明瞭であったり、あるいは通行が物理的に困難であったりする場合です。例えば、登記簿上は通行地役権があるのに、実際には長年通行路が使用されておらず、樹木が生い茂っていたり、物置が置かれていたりして、通行ができない状態になっていることがあります。このような場合、要役地の所有者が通行を主張しても、承役地の所有者との間でトラブルになる可能性が高いです。

また、古い時代に設定された地役権の中には、その内容が現在の土地利用状況にそぐわないものや、地役権の範囲や利用方法が曖昧なものも存在します。承役地の所有者からすれば、自分の土地の一部が制限されるため、売却しにくくなったり、再建築や開発の妨げになったりすることがあります。境界が不明確なまま地役権が設定されているケースでは、新たな紛争の火種となることもあります。当社フィリアコーポレーションが取り扱う空き家の中には、このような地役権にまつわる複雑な問題を抱え、一般の市場では売買が難しいとされているものが多数あります。

地役権付き不動産の解決と当社の専門性

地役権が絡む不動産の問題解決には、法律的な知識だけでなく、現場の実情を把握し、関係者間の調整を行う実務的な経験が不可欠です。当社フィリアコーポレーションは、権利関係に課題のある不動産の買取を専門としており、地役権に関する複雑なケースについても豊富な解決実績を有しています。

当社が提供する解決策は、まず問題のある地役権付きの物件を直接買い取ることです。これにより、売主様は、地役権のトラブルに巻き込まれることなく、速やかに物件を現金化することができます。例えば、通行地役権が設定されているにもかかわらず通行できない土地や、地役権の範囲が不明確で隣地との関係が悪化している土地など、一般の不動産会社では敬遠されがちな物件でも、当社が積極的に検討し、買取りを行います。

具体的な解決策としては、地役権の内容を正確に調査し、必要に応じて隣地所有者との交渉を行い、地役権の利用方法を明確化したり、場合によっては地役権の消滅や移転を提案したりすることもあります。当社の強みは、1000件以上の相談・査定実績から得た実務に基づいたリアルな知見です。机上の理論だけでなく、「どんな場面で問題になるのか」「売主にとっての影響」「どう解決してきたか」を具体的に示しながら、売主様に寄り添った最適な解決策をご提案いたします。売主様には、契約不適合責任を免除するなど、心理的・実務的な負担を軽減するサポートを提供しています。

よくある質問

Q

地役権が設定された土地を売却できますか?

A

はい、地役権が設定された土地でも売却は可能です。地役権は土地に付随する権利であるため、土地の所有者が変わっても地役権自体は消滅せず、新しい買主がそのまま引き継ぐことになります。しかし、地役権の内容によっては、買主の土地利用に制約が生じるため、一般の市場では買い手が見つかりにくかったり、通常の相場よりも価格が低くなる傾向があります。特に、通行が困難な通行地役権や、用途が限定される地役権などは、買主に敬遠されがちです。当社フィリアコーポレーションのような訳アリ不動産専門の買取会社であれば、地役権付きの物件でも積極的に買い取り、売主様の負担なくスムーズな売却を実現できます。

Q

地役権は誰でも設定できますか?

A

地役権は、要役地と承役地のそれぞれの土地の所有者間の合意によって設定されます。つまり、地役権を設定したい側(要役地側)が一方的に設定できるものではなく、地役権を設定される側(承役地側)の所有者の承諾が必要です。合意が形成された後、地役権の内容を明確にした契約書を作成し、登記を行うことで、第三者に対しても地役権の存在を主張できるようになります。設定の際には、地役権の範囲、利用目的、存続期間(期間を定めないことも可能)、対価の有無などを明確に定めることが重要です。

Q

地役権をなくすことはできますか?

A

地役権をなくす方法はいくつかあります。最も一般的なのは、要役地と承役地の所有者全員が合意し、地役権の抹消登記を行う方法です。また、承役地の利用が長期間(20年間)にわたって継続的に行われなかった場合や、地役権の目的が達成不可能になった場合など、法律で定められた一定の要件を満たせば、時効によって消滅することもあります。ただし、時効による消滅を主張するには、その事実を証明し、裁判手続きが必要となる場合が多いです。地役権の抹消は、土地の利用制限を解消し、不動産の価値を高めることに繋がるため、当社のような専門業者にご相談いただくことで、適切な解決策をご提案できます。

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