換価分割

概要

換価分割(かんかぶんかつ)とは、共有状態にある不動産などの財産(共有物)を売却して金銭に換え、その売却代金を各共有者(または相続人)の持分割合に応じて分配することで、共有関係を解消する方法です。現物分割や代償分割が難しい場合や、共有者全員が現金化を希望する場合に選択されます。「代金分割」とも呼ばれます。特に相続財産に不動産が含まれる場合に用いられることが多い方法です。

換価分割とはどのような方法か

換価分割は、共有状態にある不動産を「お金に換えて分ける」という、共有解消のための具体的な方法の一つです。相続や共同購入などで不動産を共有することになった場合、共有者の間で意見の対立が生じやすく、管理や処分が困難になることがあります。そのような状況を解消するために、換価分割が検討されます。


換価分割の主な流れは以下の通りです。

1.共有物全体の売却:共有者全員の合意のもと、共有不動産全体を第三者(買主)に売却します。

2.売却代金の取得:不動産が売却され、その代金が共有者に入金されます。

3.代金の分配:得られた売却代金から、不動産仲介手数料、測量費用、印紙代、譲渡所得税などの売却にかかる諸経費や税金を差し引いた後、残りの金額を各共有者の持分割合に応じて公平に分配します。


換価分割の大きなメリットは、不動産を現金化できるため、公平な遺産分割が可能になる点です。不動産は立地条件や建物の状態によって評価が大きく異なるため、現物のまま公平に分割することが難しい場合があります。しかし、売却して現金化すれば、1円単位で各共有者に分配できるため、不公平感が生まれにくいとされています。また、代償分割のように、特定の共有者が他の共有者へ代償金を支払うための資金を用意する必要がないため、相続人の中に多額の資金を用意できない人がいる場合でもスムーズに進めやすいという利点もあります。

ただし、売却価格が市場の状況に左右されることや、売却にかかる費用が発生すること、そして不動産を手放すことになる点には注意が必要です。

換価分割が「訳アリ不動産」の最終手段となるケース

換価分割は、共有関係を解消するための有効な手段ですが、特に共有物分割請求訴訟において、現物分割や代償分割が困難または不適切な場合の「最終手段」として裁判所から命じられることがあります。これが、不動産を「訳アリ不動産」と見なされる状況につながる場合があります。


このようなケースは、主に以下のような状況で発生します。

・物理的な分割が困難:土地が狭小で現物分割が難しい場合や、建物のように物理的に分割することができない共有物の場合です。無理に分割すると、各部分の価値が著しく低下したり、建築基準法上の問題(接道義務違反など)が生じたりするリスクがあります。

・代償金の用意ができない:特定の共有者が他の共有者の持分を買い取る「代償分割」を希望しても、代償金を用意できないために実現できない場合です。

・共有者間の意見対立が激しい:共有者全員が売却に合意しない、あるいは売却価格や費用負担で意見がまとまらない場合、話し合いによる任意売却は困難になります。


このような状況で共有物分割請求訴訟が提起され、裁判所が換価分割を命じる場合、その売却方法は多くが「競売」となります。競売は、一般市場での売却とは異なり、以下のようなデメリットがあります。


・売却価格の低減:競売物件は、買主が内部を確認できない、契約不適合責任が免除されるなどのリスクを考慮するため、市場価格よりも大幅に低い価格でしか落札されない傾向にあります。結果として、共有者全員の手元に残る金額が目減りしてしまう可能性があります。

・手続きの複雑さと長期化:競売手続きは、裁判所を介するため、売却が完了するまでに時間と費用がかかります。また、共有者自身が直接関与する場面が少なく、透明性が低いと感じられることもあります。

・強制的な売却:共有者が不動産を手放したくないと思っていても、裁判所の命令があれば強制的に売却されてしまうため、感情的な負担も大きいです。


当社フィリアコーポレーションがこれまで取り扱ってきた空き家の中には、まさにこのような換価分割、特に競売寸前、あるいは競売開始決定が出た、複雑な共有関係の問題を抱えたものが数多く存在します。

換価分割(競売)を回避し、共有不動産を解決する当社の専門性

換価分割、特に競売による解決は、共有者にとって大きな経済的・精神的負担を伴います。当社フィリアコーポレーションは、まさにこのような権利関係に課題のある不動産、特に換価分割(競売)の危機にある共有不動産(空き家)の買取と問題解決に特化しています。

当社が提供する解決策の一つは、共有者のうちの一人(または複数人)から、その持分を直接買い取ることです。これにより、売主様は、共有物分割訴訟の複雑な手続き、競売による低価格売却のリスク、そして多額の費用負担といった多岐にわたる問題から解放され、速やかに自身の共有持分を現金化することができます。一般の不動産会社では、共有持分のみの買取や、競売寸前の物件の扱いは敬遠されることがほとんどですが、当社は豊富な経験とノウハウを活かし、積極的に買取を検討します。

具体的には、当社が共有持分を取得した後、新たな共有者として残りの共有者と交渉し、裁判所による競売に頼らない、より有利な任意売却による共有関係の解消を目指します。場合によっては、他の共有者の持分も順次買い取って単独所有化を図ったり、物件全体を一般市場で売却できるよう調整したりします。当社は、1000件以上の相談・査定実績を通じて培った実務に基づいたリアルな知見を強みとしています。単なる法律の説明に終わらず、「どんな場面で問題になるのか」「売主にとっての影響」「どう解決してきたか」を明確に示しながら、売主様に寄り添った最適な解決策をご提案いたします。

売主様にとっては、残置物の処理が不要であったり、契約不適合責任を免除したりするなど、売却における心理的・実務的な負担を大幅に軽減する提案が可能です。

よくある質問

Q

換価分割のメリットとデメリットは何ですか?

A

換価分割の最大のメリットは、不動産を現金化することで、各共有者(相続人)が公平に分配を受けられる点です。不動産の評価をめぐる争いを避けられ、代償金を準備する必要もありません。一方のデメリットとしては、まず不動産を手放すことになる点です。思い入れのある実家などでも売却が必要です。また、売却には仲介手数料、登記費用、測量費用などの諸経費がかかります。さらに、急いで売却しようとすると市場価格より安くなる可能性があることや、売却益が出た場合には譲渡所得税が発生することもデメリットとして挙げられます。

Q

換価分割で不動産を売却する場合、共有者全員の名義にするべきですか、それとも代表者名義にするべきですか?

A

換価分割で不動産を売却する場合、一般的には一度、代表者の単独名義に登記変更してから売却する方法と、共有者全員の共有名義のまま売却する(共同名義売却)方法の2通りがあります。代表者名義にする場合は、遺産分割協議書に「換価分割のために便宜上、代表者名義とする」旨を明記しないと、代表者への贈与税が発生するリスクがあるため注意が必要です。共同名義売却は贈与税のリスクはありませんが、全員が売買契約に署名・押印し、決済に立ち会う必要があるなど、手続きが煩雑になる可能性があります。どちらの方法も一長一短があるため、状況に応じて司法書士や税理士などの専門家と相談して決定することが重要です。

Q

換価分割で売却した不動産に、譲渡所得税はかかりますか?

A

はい、換価分割で不動産を売却し、売却益(譲渡益)が出た場合には、譲渡所得税がかかります。譲渡所得税は、売却価格から不動産の取得費(購入代金や建築費など)と譲渡費用(仲介手数料、測量費用など)を差し引いた利益に対して課税されます。税率は、その不動産の所有期間によって異なり、長期譲渡所得(所有期間5年超)と短期譲渡所得(所有期間5年以下)で税率が変わります。また、自宅(居住用不動産)の売却には、一定の要件を満たせば3,000万円の特別控除などの特例が適用され、税負担が軽減される場合があります。税金計算は複雑なため、税理士に相談することをお勧めします。

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