現況測量
概要
現況測量とは、現在の土地の状況を測る測量のことです。具体的には、土地の寸法や高低差、隣地との境界線上の構造物(ブロック塀、フェンスなど)の位置を把握するために行われます。不動産取引や建築計画の際に、土地の現状を正確に図面に落とし込むことを目的としますが、法的な境界を確定するものではありません。
現況測量とはどのような測量か
現況測量とは、文字通り「現在の状況」を測る測量です。対象となる土地に現存するブロック塀やフェンス、電柱、マンホール、建物の外壁の位置、さらには高低差といった、現地にある構造物や地形の位置関係を測定し、その情報を図面に正確に表現します。もし境界標が現地で確認できれば、その位置も図面に記載されます。
しかし、現況測量が確定測量と決定的に異なるのは、あくまで「現状」を測るものであり、法的な境界を確定させるものではないという点です。確定測量(境界確定測量)は、隣地所有者との立会いのもとで境界標の位置を確定させ、その合意の証として署名捺印を得て作成されます。一方、現況測量は原則として土地所有者の依頼のみで実施されるため、隣地所有者の同意は不要です。このため、現況測量図には、法的な境界確定を伴わない旨が明記されているのが一般的です。
現況測量が行われる場面とメリット・デメリット
現況測量は、様々な場面で活用されます。
・不動産の売買時:買主が土地の正確な状況を把握するために実施されることがあります。特に、土地の形状が複雑だったり、隣地との高低差がある場合、買主は現況測量図を参考に、どのような建物が建てられるか、あるいはどのような造成工事が必要になるかを検討します。
・建築・開発計画時:建物の設計を行う際や、開発行為の許可申請を行う際に、敷地の高低差や既存構造物の正確な位置を把握するために不可欠な資料となります。
・現状把握:相続などで取得した土地の正確な状況を知りたい場合にも利用されます。
現況測量の最大のメリットは、短期間かつ比較的低コストで実施できることです。確定測量のように隣地所有者との複雑な調整や立会いが不要なため、測量作業がスムーズに進みます。そのため、急ぎで土地の状況を把握したい場合や、簡易的な確認で十分な場合に非常に有効です。
一方で、デメリットとしては、法的な境界確定ができない点が挙げられます。現況測量図はあくまで参考資料であり、これを根拠に境界紛争が発生した場合でも、法的な証拠能力は限定的です。当社のような空き家専門の買取会社には、「隣地との境界が曖昧で、売却時にトラブルにならないか心配」といったご相談がよく寄せられます。現況測量だけではこの境界の問題は解決せず、将来的な紛争のリスクが残る可能性があります。そのため、状況によっては買主様側から確定測量を求められるケースも少なくありません。
訳アリ物件における現況測量の注意点
当社フィリアコーポレーションが取り扱うような再建築不可物件や共有持分物件、長屋・連棟といった「訳アリ物件」の売買においては、現況測量だけでは十分に課題を解決できないケースが多々あります。
例えば、再建築不可物件の場合、接道義務違反が原因で再建築ができないことがありますが、現況測量ではその接道状況が法規に適合しているかを判断する情報は得られません。また、長屋・連棟のように複数の建物が一体となっている場合、それぞれの敷地と建物の位置関係を正確に把握する必要がありますが、現況測量では隣地との境界が確定されていないため、将来的なトラブルの火種となる可能性があります。
特に、境界が不明確な土地の場合、隣地とのトラブルを未然に防ぐためにも確定測量を実施することが望ましいとされています。しかし、確定測量には時間と費用がかかる上、隣地所有者全員の合意が必要となるため、スムーズに進まないことも少なくありません。当社では、このような境界問題のある物件についても、現況有姿売買や残置物の処理不要、隣人交渉不要といった形で、売主様の心理的・実務的負担を軽減しながら買取を進めることが可能です。現況測量図があれば物件の現状をある程度把握できますが、当社のような専門業者にご相談いただくことで、境界確定の有無にかかわらず、より具体的な解決策をご提案できることがあります。
よくある質問
Q
現況測量図があれば、境界に関するトラブルは防げますか?
Q
現況測量と確定測量では、費用や期間にどれくらいの差がありますか?
Q
中古の空き家を売却する際、現況測量は必要ですか?
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