現物分割

概要

現物分割(げんぶつぶんかつ)とは、共有状態にある不動産(共有物)を、物理的に複数の部分に分け、それぞれの共有者が単独で所有する形にすることです。特に土地の場合に用いられ、一つの土地を分筆(ぶんぴつ)して、それぞれの共有者がその一部を所有する形になります。これは、共有物分割請求における最も基本的な分割方法の一つであり、他の分割方法(代償分割、換価分割)が困難な場合や、共有者全員の合意がある場合に検討されます。

現物分割とはどのような方法か

現物分割は、共有不動産の共有関係を解消する際に行われる、最も直接的な分割方法です。文字通り、共有物を「現物として分ける」ことを意味します。


土地の現物分割を例にとると、以下のようになります。

・測量と分割案の作成:まず、専門家である土地家屋調査士が対象の土地を測量し、共有者の持分割合や利用状況、将来的な利用計画などを考慮して、土地をどのように分割するか(分割後の形状、面積など)の案を作成します。

・隣地所有者・共有者との合意:分割によって新しくできる土地の境界線は、既存の隣地との境界にも影響するため、隣地所有者との境界確定の合意形成も重要です。そして、何よりも共有者全員が分割案に合意することが不可欠です。

・分筆登記の申請:合意が形成された後、法務局に分筆登記を申請します。これにより、元の地番の土地が複数の新しい地番の土地に分かれ、それぞれの共有者が単独でその土地を所有する形に登記が変更されます。


現物分割は、土地の形状や広さ、あるいは共有者の利害関係によっては、実施が困難な場合もあります。例えば、狭小な土地をさらに分割すると、建築基準法上の接道義務を満たせなくなったり、それぞれの土地の価値が著しく低下したりする可能性があります。また、建物の場合、物理的な分割は非常に難しく、原則として現物分割は適用されません(マンションの区分所有などは最初から分割された状態の所有形態です)。

現物分割が円満に進むためには、共有者間の協力関係と、将来を見据えた合理的な判断が求められます。

現物分割が困難な「訳アリ不動産」の問題

現物分割は理想的な共有解消方法に見えますが、現実にはその実施が難しく、結果的に不動産を「訳アリ不動産」としてしまうケースが多々あります。


最も典型的なのは、土地の物理的な制約です。例えば、

・狭小な土地:土地が小さすぎる場合、さらに分割すると、それぞれの区画が建築基準法上の接道義務(原則として幅員4m以上の道路に2m以上接すること)を満たせなくなり、再建築不可となってしまうリスクがあります。再建築不可の土地は、利用価値が著しく低下し、売却も困難になります。

・変形地や高低差のある土地:土地の形状が複雑であったり、高低差があったりする場合、公平かつ有効な分割案を作成することが非常に難しくなります。

・利用状況の複雑さ:土地の一部に建物が建っていたり、駐車場として利用されていたりするなど、既存の利用状況が複雑だと、それを考慮した上で公平な分割をすることが困難になります。


また、共有者間の意見対立も大きな障害となります。たとえ物理的に分割が可能であっても、どの部分を誰が所有するか、分割後の土地の価値評価をどうするかなどで意見がまとまらないケースは少なくありません。感情的な対立があると、合意形成が困難となり、現物分割による共有解消は事実上不可能となります。このような場合、共有物分割請求訴訟に発展し、最終的に競売という形になることもあります。当社フィリアコーポレーションが取り扱う空き家の中には、このような現物分割が難しい複雑な共有関係の問題を抱え、一般の市場では売買が難しいとされているものが多数あります。

現物分割が困難な不動産の解決と当社の専門性

現物分割が困難な不動産の問題解決には、法律的な知識だけでなく、物理的な制約や共有者間の利害調整を行う実務的なノウハウが不可欠です。当社フィリアコーポレーションは、まさにこのような権利関係に課題のある不動産、特に現物分割が難しい共有不動産(空き家)の買取と問題解決に特化しています。

当社が提供する解決策の一つは、現物分割が困難な共有物件を直接買い取ることです。これにより、売主様は、土地家屋調査士による測量費用、共有者全員との複雑な分割交渉、そして万が一交渉がまとまらなかった場合の共有物分割訴訟といった多岐にわたる問題から解放され、速やかに自身の共有持分を現金化することができます。一般の不動産会社では、現物分割が難しい物件の扱いに難色を示すことがほとんどですが、当社は豊富な経験とノウハウを活かし、積極的に買取を検討します。

具体的には、当社が共有持分を取得した後、新たな共有者として残りの共有者と交渉し、合理的な共有関係の解消を目指します。例えば、当社が単独所有者となるべく他の持分を順次買い集めたり、あるいは物件全体を一般市場で売却できるよう調整したりします。現物分割が難しい場合でも、当社が柔軟な提案を行うことで、売主様にとって最適な解決策を見つけ出します。

売主様にとっては、残置物の処理が不要であったり、契約不適合責任を免除したりするなど、売却における心理的・実務的な負担を大幅に軽減する提案が可能です。当社は、1000件以上の相談・査定実績を通じて培った実務に基づいたリアルな知見を強みとしています。単なる法律の説明に終わらず、「どんな場面で問題になるのか」「売主にとっての影響」「どう解決してきたか」を明確に示しながら、売主様に寄り添った最適な解決策をご提案いたします。

よくある質問

Q

現物分割できない土地でも、共有状態を解消する方法はありますか?

A

はい、現物分割が難しい場合でも、共有状態を解消する方法はあります。主な方法としては、代償分割と換価分割(競売)があります。代償分割は、共有者の一人(または複数人)が他の共有者の持分を買い取り、単独所有となる方法です。換価分割は、共有物全体を売却し、その売却代金を共有持分割合に応じて各共有者に分配する方法で、話し合いでまとまらない場合は裁判所の命令による競売も含まれます。当社フィリアコーポレーションにご自身の共有持分を売却していただくことで、これらの複雑なプロセスを経ずに、共有状態から脱却し現金化することが可能です。

Q

現物分割をする際に、注意すべき点は何ですか?

A

現物分割の際に最も注意すべき点は、分割後の土地の価値や利用可能性です。特に、分割後のそれぞれの土地が建築基準法上の接道義務を満たすかどうか、建ぺい率や容積率の制限に適合するかどうかは非常に重要です。分割によって土地の価値が著しく低下したり、再建築が不可能になったりするリスクを避ける必要があります。また、分割後の土地に公平な価値を持たせるための評価や、測量費用、分筆登記費用なども考慮に入れる必要があります。これらの点は、土地家屋調査士や不動産鑑定士、弁護士といった専門家と十分に相談して決定することが不可欠です。

Q

現物分割をめぐって共有者間でトラブルになった場合、どうすればいいですか?

A

現物分割をめぐって共有者間で意見が対立し、話し合いで解決が困難になった場合は、共有物分割請求訴訟を検討することになります。この訴訟では、裁判所が共有者間の利害関係を調整し、最も適切な分割方法を決定します。ただし、訴訟は長期化し、多額の費用がかかるだけでなく、最終的に競売による解決となる可能性もあります。このような事態を避けるためにも、できるだけ早い段階で、当社フィリアコーポレーションのような共有持分買取の専門業者にご相談いただくことをお勧めします。当社にご売却いただければ、ご自身は複雑なトラブルから解放され、速やかに共有関係を解消できます。

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