耐用年数

概要

耐用年数とは、国が定める「減価償却資産」を使用できる期間のことです。特に不動産においては、建物の構造や用途によって税法上の「法定耐用年数」が定められています。これは、建物の取得費用を毎年少しずつ経費として計上していく「減価償却」の計算に用いられるものであり、実際の建物の寿命とは異なる点に注意が必要です。

耐用年数とは何か、その目的

耐用年数とは、機械設備や建物などの固定資産が、その価値を維持しながら機能的に使用できる期間として、税法上で定められた年数のことを指します。特に不動産の場合、建物はその購入金額が一度に経費となるわけではありません。時間の経過とともに価値が減少していくものと考えられ、その価値の減少分を毎年少しずつ経費として計上していくのが「減価償却」です。この減価償却費を計算する際に必要となるのが、それぞれの資産に定められた耐用年数なのです。 耐用年数が設定されている主な目的は、課税の公平性を保つことにあります。もし各企業や個人が自由に資産の価値が減る期間を設定できてしまうと、税金を不公平に操作できてしまうため、国が統一的な基準を設けています。この国が定めた年数を「法定耐用年数」と呼びます。

法定耐用年数と実際の建物の寿命

法定耐用年数は、あくまで税務上の会計処理のために定められた年数であり、建物の実際の物理的な寿命とは異なります。例えば、鉄筋コンクリート造(RC造)の住宅用建物は法定耐用年数が47年とされていますが、適切な維持管理が行われていれば、60年以上、中には100年を超える建物も存在します。木造住宅の法定耐用年数は22年ですが、これも実際の寿命とは乖離があります。 では、なぜ法定耐用年数と実際の寿命が異なるのでしょうか。それは、法定耐用年数が、税務上の「資産価値が減少する期間」を示すものだからです。建物が物理的に使える年数(耐久年数や物理的耐用年数)とは、考慮する要素が違うため、数字が異なってきます。

耐用年数が不動産に与える影響

不動産、特に賃貸物件や事業用物件を所有する上で、耐用年数は非常に重要な意味を持ちます。

まず、減価償却費の計上に直結します。減価償却費は、建物の取得費用を耐用年数に応じて分割して経費計上するため、不動産所得の計算において税負担を軽減する効果があります。耐用年数が短い物件ほど、毎年の減価償却費が大きくなり、初期の節税効果が高まる傾向にあります。

次に、不動産投資における融資の判断にも影響します。多くの金融機関は、不動産購入時の融資期間を設定する際に、法定耐用年数を基準にします。特に中古物件の場合、「法定耐用年数-築年数」で残りの耐用年数を計算し、それを融資期間の上限とすることが一般的です。残りの耐用年数が短いと融資期間も短くなり、毎月の返済額が大きくなるため、投資効率に影響を与えることがあります。

また、売買においても、買主側が融資を組む際に耐用年数は考慮されます。法定耐用年数を大幅に経過した物件は、金融機関の融資が得にくく、市場での流動性が低くなる傾向にあります。当社フィリアコーポレーションは、このような融資がつきにくい築古の空き家や、再建築不可物件共有持分といった権利関係に課題のある不動産の買取を専門としています。耐用年数が過ぎた、あるいは残りが少ない物件でも、当社は独自の査定基準と豊富な取引実績に基づき、適正な価格で買い取ることが可能です。売主様が抱える「売却できるのか」「ローンが残るのではないか」といった不安に対し、実務に基づいたリアルな知見と売主に寄り添う姿勢で、解決策を提案しています。

よくある質問

Q

中古物件の場合、耐用年数はどのように計算しますか?

A

中古物件の場合の耐用年数の計算方法は、大きく分けて2通りあります。


1.法定耐用年数の一部が経過している場合:「(法定耐用年数-築年数)+築年数×20%」で計算します(端数は切り捨て)。例えば、築10年の木造住宅(法定耐用年数22年)を購入した場合、耐用年数は(22年-10年)+10年×20%=12年+2年=14年となります。

2.法定耐用年数をすべて経過している場合:「法定耐用年数×20%」で計算します(端数は切り捨て)。例えば、築30年の木造住宅(法定耐用年数22年)を購入した場合、22年×20%=4.4年となり、端数を切り捨てて4年となります。この中古物件の耐用年数は、減価償却費の計算期間を短縮し、早期に多額の減価償却費を計上できる場合があるため、不動産投資の節税対策として注目されることがあります。

Q

耐用年数が過ぎた建物は価値がゼロになるのですか?

A

税務上、法定耐用年数を過ぎた建物は、減価償却が完了し、帳簿上の価値(未償却残高)が1円(備忘価格)となります。これは、会計上、固定資産としての価値がほぼゼロになったとみなされることを意味します。しかし、これはあくまで税務・会計上の話であり、建物の実際の価値がゼロになるわけではありません。適切にメンテナンスされていれば、耐用年数を過ぎても問題なく使用できる建物は多く存在します。ただし、融資の際には金融機関の評価が厳しくなる傾向があり、また、売却の際には買い手が見つかりにくくなる可能性も考慮する必要があります。当社は、こうした耐用年数を超過した物件についても、その物件の持つ潜在的な価値を見極め、買取を通じてオーナー様の売却ニーズに応えています。

Q

耐用年数と耐久年数、寿命の違いは何ですか?

A

これらは混同されがちですが、それぞれ意味合いが異なります。


耐用年数(法定耐用年数):税法で定められた、減価償却を行うための期間です。会計上の概念であり、建物の実際の劣化状況とは直接関係ありません。

耐久年数:建物や設備が、その機能を維持できると想定される物理的な期間を指します。一般的な使用状況やメンテナンスを前提とした、設計上の性能維持期間に近い概念です。

寿命:建物が物理的に使用できなくなるまでの実際の期間を指します。これは立地条件、日々の使い方、メンテナンス状況、災害の有無など、様々な要因によって大きく変動します。法定耐用年数は税金計算のための数字であり、建物の実際の寿命や耐久性を直接示すものではないことを理解しておくことが重要です。

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