不動産登記法

概要

不動産登記法(ふどうさんとうきほう)とは、土地や建物など不動産に関する権利関係や物理的現況を公の登録簿に記録し、その情報を一般に公開するための手続きを定めた法律です。不動産の所在や面積、所有者、抵当権などの権利を法務局(登記所)で管理する制度の根拠となっており、第三者対抗要件として登記が広く利用されています。2024年の法改正により、相続登記の義務化など所有者不明土地問題に対応する新たなルールも導入されました。

不動産登記法の目的と役割

不動産登記法の主目的は、不動産に関する重要な情報(権利関係等)を公示することで取引の安全と円滑を図ることにあります。土地や建物は高価な資産であり、所有権や担保権の所在が不明確だと取引に大きなリスクが伴います。登記制度によって誰がどの不動産を所有し、どんな権利が設定されているかを明確にし、権利の公信力と取引の安全性を高めています。具体的には、不動産の売買や抵当権設定などが行われた際に当事者が登記申請を行い、法務局の登記官が登記簿にその内容を記録します。この公式な記録によって第三者にも権利変動を示せるため、例えば同一不動産が二重に売られてしまうような詐欺被害の防止や、担保設定状況の確認によるローン審査の円滑化などに寄与しています。
なお、民法上は不動産の物権変動は登記がなくとも当事者間では有効ですが、第三者に対抗するには登記が必要です。そのため実務上、売買や相続後は速やかに登記することが強く求められます。従来は登記申請義務が緩やかだったため、相続登記漏れなどから権利者が不明な土地が生じ社会問題化しました。こうした背景から不動産登記法は近年改正が行われ、権利関係を最新の状態に保つべく登記申請の義務化が段階的に導入されています。

登記の手続きと基本制度

不動産登記は法務局が所管し、登記官が審査・記録を行います。登記申請は権利者や義務者(売主・買主など)が共同で行うのが原則ですが、実務では専門家である司法書士に依頼するケースがほとんどです。例えば不動産を購入した場合、買主は司法書士に登記手続きを委任し、売主から渡された必要書類(登記原因証明情報や本人確認情報等)を用いて所有権移転登記を申請します。問題無く受理されれば登記簿上の所有者名義が買主に変更され、以後は買主が正式な登記上の権利者となります。
登記簿は「表題部」「権利部(甲区・乙区)」に分かれ、表題部には土地・建物の所在地や面積、構造など物理的事項が、権利部には所有権や抵当権など権利に関する事項が記載されます。登記簿の情報は誰でも閲覧・取得(登記事項証明書の交付請求)でき、不動産取引の際の事前調査に利用されます。例えば購入検討者は登記を確認することで、その不動産の真の所有者や抵当権等の有無を把握し、安心して契約交渉に入ることができます。

相続登記の義務化と所有者不明土地対策(2024年改正)

近年、不動産登記法の大きな改正として相続登記の義務化が挙げられます。2024年4月1日施行の改正により、不動産を相続や遺贈によって取得した相続人は、その事実を知った日から3年以内に所有権の移転登記を申請することが法律上の義務となりました。正当な理由なく申請を怠ると10万円以下の過料(行政上の罰金)が科される可能性があります。この改正は、放置された相続未登記の土地が増加し所有者不明土地問題が深刻化したことを受けた措置です。相続登記を促進することで、将来的に土地の権利者が追跡不能になる事態を防止しようとしています。フィリアコーポレーションでも、過去に登記名義人が故人のままで相続人調査に苦労した事例があり、相続登記の放置が取引を難航させる原因となることを実感しています。この義務化によって将来的にそうしたケースが減り、円滑な取引につながることが期待されます。
また、2026年4月からは住所変更登記の義務化も予定されています。所有者の住所や氏名に変更があった場合、2年以内に変更登記を申請しないと5万円以下の過料を科される仕組みです。従来、所有者の住所変更登記は義務ではなかったために登記簿上の住所が古いままというケースも多々ありました。今後は所有者情報を最新に保つことが求められ、不動産登記簿の実態との一致度が高まるでしょう。なお、法人については商業登記と連動して職権で変更が反映される特例があります。

フィリアコーポレーションの現場視点

当社フィリアコーポレーションでは、不動産の買取や仲介の際に登記簿の内容を必ず精査し、権利関係や面積に齟齬がないか確認しています。もし登記簿が古く、所有者死亡による相続未登記や地番・地積の更正漏れが判明した場合には、司法書士と連携して早急に適正な登記手続きを進めます。近年の法改正により相続登記等が義務化されたことから、売主様にも早めの対応を促しつつ、買主様に安心して物件をご購入いただける環境づくりに努めています。不動産登記は一見地味な手続きですが、権利の根拠そのものであり、これをおろそかにすると取引後に所有権紛争が起こるリスクがあります。当社のような現場の不動産業者にとっても、登記制度の知識と遵守は欠かせないものとなっています。今後も最新の法制度に対応し、適正な登記と権利保全をサポートしてまいります。

よくある質問

Q

相続登記をしないとどうなりますか?

A

2024年の法改正により相続登記**の申請が義務化されました。相続などで不動産を取得した人は、取得を知ってから3年以内に登記を申請しないといけません。正当な理由なくこの期限を過ぎると、10万円以下の過料(罰金)が科される可能性があります。また、登記を放置すると所有者が誰なのか公的に証明できず、いざ売却しようとしても相続人全員の協力が必要になるなど手続きが煩雑化します。最悪の場合、利害関係者が多すぎて合意がまとまらず土地が利用できなくなるケースもあります。相続登記を怠ることは法的な罰則リスクだけでなく、将来の資産活用を困難にする要因となるため、早めに登記手続きを済ませましょう。

Q

不動産の登記簿上の住所変更も義務がありますか?

A

はい。2026年施行の改正により、所有者の住所や氏名が変わった場合にも変更登記の申請義務が課されます。具体的には、住所等の変更があってから2年以内に登記をしないといけません。怠ると5万円以下の過料**の対象となります。例えば引っ越しで所有者の住所が変わった場合や、結婚等で氏名が変わった場合には忘れずに変更登記を申請する必要があります。これまでは住所変更登記を放置しても罰則はありませんでしたが、新制度では速やかな変更が求められるようになります。ただし、法人については商業登記を行えば登記官の職権で不動産登記も変更される仕組みが用意されており、別途申請は不要となるケースがあります。いずれにせよ、所有者情報を最新に保つことが不動産の適正管理には重要です。

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