既存不適格

概要

既存不適格とは、建築された時点では合法だったものの、その後に建築基準法などの法令が改正されたことで、現在の基準には適合しなくなった建築物や土地の状態を指します。法に違反している「違法建築物」とは異なり、直ちに改修や撤去を求められることはありませんが、増改築や大規模修繕を行う際には現行の法令に適合させる必要があります。

既存不適格とは何か、違法建築との違い

既存不適格とは、建物が建築された時点では当時の法令(建築基準法など)に適合していたものの、その後の法改正によって、現在の法令の基準を満たさなくなった状態の建築物や土地のことを指します。例えば、建築当時は適法だった建物の建ぺい率や容積率が、その後の法改正で現行の基準を超えてしまったり、耐震基準が強化されたことで旧耐震基準の建物が現在の基準を満たさなくなったりするケースなどがこれに該当します。

重要なのは、既存不適格が「違法建築物」とは異なる点です。違法建築物は、建築された時点ですでに当時の法令に違反していた建築物のことを指し、是正勧告や行政指導の対象となります。既存不適格の建物は、直ちに違法建築物として扱われたり、行政から是正や撤去を求められたりすることはありません。しかし、一度増築や大規模な改修を行う際には、その部分だけでなく建物全体が現行の法令に適合するように是正しなければならない、という制約が生じます。

既存不適格となる主なケース

既存不適格となる代表的なケースには以下のようなものがあります。


・建ぺい率・容積率の変更
建築後に都市計画が変更され、対象区域の建ぺい率や容積率の制限が厳しくなった場合、既存の建物が現在の基準を超過することがあります。例えば、住宅街だった場所に新しい商業施設ができ、周辺の規制が強化されるといったケースです。

・接道義務の変更
建築基準法では、建物が幅4m以上の道路に2m以上接していることを義務付けていますが、過去には接道義務の基準が緩かったり、特定の条件で例外が認められたりした時代もありました。法改正後に、既存の建物が現在の接道義務を満たさなくなることがあります。特に、当社フィリアコーポレーションが扱う再建築不可物件の多くは、この接道義務を満たさないために既存不適格となっているケースが非常に多いです。

・耐震基準の変更
1981年の新耐震基準や2000年基準の導入により、それ以前に建てられた建物(旧耐震基準の建物)は、現在の耐震基準には適合しない既存不適格の状態となります。

・用途地域の変更
例えば、住宅しか建てられなかった地域が商業地域に変わるなど、用途地域の変更によって、既存の建物(例えば飲食店)が現在の用途地域の建築制限に適合しなくなることがあります。

・日影規制・高さ制限の導入・変更
隣地の日当たりや通風を確保するための日影規制や、周辺環境を考慮した高さ制限などが後から導入または変更された場合、既存の建物がこれらに適合しなくなることがあります。

不動産売買と既存不適格

不動産を売買する際には、その物件が既存不適格であるかどうかを正確に把握し、買主に説明することが重要事項説明の項目に含まれます。特に、訳あり不動産を扱う当社フィリアコーポレーションのような会社にとっては、既存不適格であるかどうかは物件の評価に直結する重要な要素です。

既存不適格の物件は、通常の物件と比較して、以下のような影響が出ることがあります。


・増改築の制限と費用:増改築や大規模修繕を行う際に、現行の法令に適合させるための追加費用や、工事の制限が発生する可能性があります。例えば、建ぺい率オーバーの建物では、既存部分を減築しないと増築できない、といったケースも考えられます。

・住宅ローンの審査:金融機関によっては、既存不適格の度合いや内容によって、住宅ローンの審査が厳しくなったり、融資が受けられないケースもあります。特に再建築不可の物件は、担保価値が低いと見なされやすいため、ローンが非常に困難です。

・資産価値への影響:将来的な改修や再建築の制約があるため、一般的に既存不適格の物件は、同条件の適合物件に比べて市場価値が低く評価される傾向にあります。


当社は、空き家専門の買取会社として、このような既存不適格の物件を積極的に買い取っています。1000件以上の相談・査定実績に基づく実務に基づいたリアルな知見を活かし、複雑な法的・物理的制約を伴う不動産(再建築不可、共有持分、長屋・連棟など)を解決・取引することに特化しています。売主様が抱える「既存不適格で売れない」「建て替えができない」といったご不安に対し、契約不適合責任の免除残置物の処理不要隣人交渉不要といった形で、売主様の心理的・実務的負担を軽減する提案が可能です。既存不適格の物件の売却でお困りの際は、ぜひ当社にご相談ください。

よくある質問

Q

既存不適格の建物は、いつか取り壊さないといけなくなるのですか?

A

既存不適格の建物は、建築された時点では適法だったため、直ちに「取り壊しなさい」と行政から命じられることはありません。現行の法令に適合していなくても、そのまま使い続けることが可能です。しかし、建て替えや大規模な増改築を行う際には、現行の建築基準法に適合させる必要があります。例えば、建ぺい率がオーバーしている場合、その面積を減らさなければ建て替えができないといった制約が生じます。そのため、既存不適格の度合いによっては、将来的な再建築や改修が困難になるケースもあります。

Q

既存不適格の物件でも住宅ローンは組めますか?

A

既存不適格の物件でも住宅ローンを組める可能性はありますが、一般的に審査は厳しくなる傾向があります。特に、再建築不可の物件など、既存不適格の度合いが著しい場合は、金融機関が担保価値を低く評価するため、融資を受けるのが非常に困難になることが多いです。通常の住宅ローンではなく、特定の金融機関が提供する「つなぎ融資」や、担保価値が低い物件向けの特殊なローンを検討する必要がある場合もあります。購入を検討する際は、事前に金融機関に相談し、融資の可否や条件を詳しく確認することが不可欠です。

Q

既存不適格の物件を売却する際に、売主が注意すべきことは何ですか?

A

既存不適格の物件を売却する際には、売主は買主に対し、その物件が既存不適格であること、そしてその具体的な内容(例:接道義務違反、建ぺい率超過など)を正確に告知する義務があります。これは重要事項説明において必須の項目です。告知を怠ると、契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)を問われ、売却後に買主から損害賠償請求などを受けるリスクがあります。また、既存不適格であることが判明すると、購入希望者が限定されたり、売却価格が低くなる傾向があることを理解しておく必要があります。当社フィリアコーポレーションでは、売主様のこのような不安を解消するため、既存不適格の物件も積極的に買い取り、契約不適合責任を免除する形でスムーズな売却をサポートしています。

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