再開発事業

概要

再開発事業とは、老朽化した建築物が密集していたり、土地の有効活用がされていなかったりする市街地において、行政と民間が連携して、道路や公園などの公共施設の整備と合わせて、高層ビルや商業施設、マンションなどを一体的に建設し、都市機能の更新と向上を図る事業のことです。これにより、土地の高度利用を促進し、防災性の向上、景観の改善、経済活動の活性化など、多岐にわたる効果が期待されます。

再開発事業の目的と基本的な流れ

再開発事業の主な目的は、都市が抱える様々な課題を解決し、より魅力的で持続可能な都市空間を創造することにあります。具体的には以下のような課題解決を目指します。

防災性の向上:老朽化した木造家屋の密集地域や、幹線道路の未整備地域などで、地震や火災発生時の延焼リスクや避難経路の確保が困難な問題を解決します。

都市機能の更新と強化:商業施設、オフィス、住宅、公共施設などを集約・高層化することで、土地の高度利用を図り、都市全体の利便性や魅力を向上させます。

交通インフラの整備:幹線道路の拡幅や歩道の整備、公共交通機関へのアクセス改善など、都市の交通機能を円滑にします。

景観の改善と緑化:無秩序な建築物の混在を解消し、統一感のある街並みを形成するとともに、公開空地の設置や緑化を推進します。

経済活動の活性化:新たな商業施設やオフィスビルの誘致により、雇用創出や税収増加など、地域経済の活性化を図ります。


再開発事業は、一般的に以下のような段階を経て進行します。

1.計画の策定:行政が再開発の必要性を判断し、事業の基本方針や区域を設定します。

2.事業者の選定:民間のディベロッパーや地元地権者などが事業主体となり、具体的な計画(建築物の配置、用途、規模など)を策定します。

3.権利変換計画:地権者の権利(土地や建物の所有権など)を、再開発後の新しい建物の一室や権利金などに変換する計画を策定し、地権者の合意を得ます。この権利変換計画は、再開発事業において最も重要かつ複雑なプロセスの一つです。

4.工事の実施:既存建物の解体、公共施設の整備、新しい建物の建設を行います。

5.完成と入居・利用:建築物が完成し、地権者や新規入居者・テナントが入居・利用を開始します。


これらのプロセスは、数年から数十年といった長期にわたる場合が多く、関係者の合意形成が非常に重要となります。

再開発事業における地権者と投資家への影響

再開発事業は、そのエリアの不動産価値に大きな影響を与えるため、地権者や不動産投資家にとって注目すべき要素です。

地権者への影響
再開発事業の対象エリアに土地や建物を所有する地権者は、事業への参加を通じて様々な影響を受けます。

権利変換による資産の高度化:老朽化した低層の建物を所有していた場合でも、権利変換によって新しい高層マンションの一室や商業施設の一部、あるいは相応の権利金に変換されることが一般的です。これにより、資産価値が向上し、より高い収益性を持つ新しい不動産を取得できる可能性があります。

税制上の優遇:再開発事業に参加する場合、一定の要件を満たせば、譲渡所得税の軽減措置などの税制優遇を受けられることがあります。

居住環境・事業環境の改善:新しい街区は、インフラが整備され、防災性や利便性が向上するため、生活や事業を行う上での環境が大きく改善されます。


一方で、再開発は地権者にとって以下のような課題も伴います。

仮住まい期間の発生:工事期間中は、一時的に仮住まいが必要となる場合があり、その間の生活や事業の継続に負担が生じることがあります。

合意形成の難しさ:多数の地権者の利害を調整し、全員の合意を得ることは非常に困難であり、事業が長期化する原因となることがあります。

計画変更のリスク:経済情勢の変化や予期せぬ問題により、当初の計画が変更される可能性もゼロではありません。


不動産投資家への影響
再開発事業は、そのエリアの不動産価値全体を引き上げる効果があるため、投資家にとっても大きな機会となります。

不動産価値の上昇:再開発によって街全体の魅力や利便性が向上するため、周辺エリアの不動産(再開発エリア外の既存物件や、新しく供給される物件)の価値も上昇する傾向があります。

賃料収入の増加:新しい商業施設やオフィスビルができることで、周辺の賃料相場が上昇したり、新しいビジネスが生まれて需要が増加したりする可能性があります。

新たな投資機会:再開発エリア内で供給される新しい商業施設やオフィスビル、マンションなどは、新たな不動産投資の対象となり、高い収益性が期待できる場合があります。


投資家は、再開発計画の情報を早期に入手し、その進捗状況を注視することで、将来的な資産価値上昇の恩恵を受ける可能性があります。

再開発事業と「訳アリ不動産」の複雑な関係

当社フィリアコーポレーションが専門とする「訳アリ不動産」は、再開発事業と複雑な関係を持つことがあります。一見すると、再開発の対象となるような老朽化した物件は「訳アリ不動産」に該当しそうですが、その買取には特有の難しさがあります。

再開発事業は、地権者の合意形成が必須であり、特に権利関係が複雑な物件が多数含まれる地域では、その調整に多大な時間と労力がかかります。例えば、以下のような物件です。


共有持分が多数存在する土地・建物:相続などで細分化された共有持分が多く存在する土地や建物は、再開発事業を進める上で、個々の共有者の同意を取り付けるのが極めて困難です。

境界非明示の土地:土地の境界が不明確な場合、再開発計画における正確な土地利用計画の策定や、権利変換の前提となる土地評価が滞る原因となります。

再建築不可物件や接道義務違反の土地:これらの物件は、仮に再開発から外れた場合、単独での活用が極めて困難になるため、地権者が事業参加に強くこだわる傾向がありますが、事業への組み込みには法的・技術的な課題を伴うことがあります。


当社フィリアコーポレーションは、まさにこのような再開発事業の対象となりうる、あるいは対象となっているが故に複雑化した「権利関係に課題のある不動産」の買取を専門としています。私たちは、1,000件以上の相談・査定実績から得た実務に基づいたリアルな知見を活かし、再開発事業の専門家や地権者との交渉も含め、複雑な状況にある不動産の売却をサポートすることが可能です。

私たちは、単なる不動産売買だけでなく、契約不適合責任の免除、残置物の処理不要、隣人交渉不要といった形で、売主様の心理的・実務的負担を大幅に軽減することに尽力しています。再開発の動きがあるエリアで、ご自身の不動産が「訳アリ」で売却が進まないとお悩みの場合でも、ぜひ当社にご相談ください。机上の理論だけでなく、現場で培った交渉力と解決事例に基づいて、最適な解決策をご提案いたします。

よくある質問

Q

再開発事業の対象となる不動産は、どのようなメリットがありますか?

A

再開発事業の対象となる不動産(土地・建物)を所有する地権者には、複数のメリットがあります。


1.資産価値の向上:老朽化した不動産から、新しく建設される高層マンションや商業施設などの最新設備を備えた不動産に権利変換されることで、資産価値が大きく向上する可能性があります。場合によっては、新たな区分所有権を取得するだけでなく、権利金を受け取ることも可能です。

2.快適性・利便性の向上:新しい街は、道路、公園、広場などが整備され、商業施設や公共施設が一体的に配置されるため、生活環境や事業環境が格段に向上します。防災性も強化されることが一般的です。

3.税制上の優遇:再開発事業への参加を通じて、一定の要件を満たせば、譲渡所得税の軽減措置など、税制上の優遇を受けることができる場合があります。これらのメリットは、地権者にとって大きな経済的恩恵をもたらす可能性がありますが、その反面、事業が長期化する、仮住まいの手配が必要になるなどの負担も伴います。

Q

再開発事業のエリアにある物件は、必ず価値が上がりますか?

A

再開発事業のエリアにある物件は、一般的に価値が上昇する傾向が強いです。これは、再開発によって街全体の利便性、機能性、安全性、魅力が向上するため、需要が高まるからです。ただし、必ずしも全ての物件が均等に価値が上がるわけではありません。再開発エリアの中心部や、新しい施設に直結するような立地の物件は特に恩恵を受けやすいですが、エリア外縁部や、再開発の恩恵をあまり受けない古い物件などは、上昇幅が限定的となる可能性もあります。また、事業の進捗状況や、経済全体の動向、金利情勢なども不動産価格に影響を与えます。さらに、再開発計画が頓挫したり、計画が大幅に変更されたりするリスクも考慮する必要があります。そのため、再開発情報を鵜呑みにせず、専門家のアドバイスも参考にしながら、個別の物件について慎重に判断することが重要です。

Q

再開発事業に参加したくない地権者はどうなりますか?

A

再開発事業は、都市計画法や市街地再開発法に基づいて進められる公共性の高い事業ですが、原則として地権者の合意が求められます。特に「第一種市街地再開発事業」の場合、地権者の過半数の同意が必要であり、最終的な権利変換計画の決定には、一定割合以上の同意(通常は3分の2以上)が必要です。事業への参加を拒否する地権者(「反対地権者」と呼ばれることもあります)に対しては、事業主体が個別に交渉を重ね、買収を試みることが一般的です。多くの場合は、適切な補償や、別の場所での代替地の提供などによって合意形成を図ります。しかし、それでも合意が得られない場合は、最終手段として、法律に基づき「権利変換計画」の認可後に、その地権者の権利を強制的に買い取る「裁決申請」が行われる可能性があります。これは行政による介入であり、地権者としては強制的に権利を変換されることになります。そのため、再開発の計画が持ち上がった際には、自身の権利や意向を明確にし、専門家と相談しながら、早期に適切な対応をとることが重要です。

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