国土利用計画法

概要

国土利用計画法は、土地の投機的な取引や地価の高騰を抑制し、適正かつ合理的な土地利用を計画的に誘導することを目的とした法律です。特に、一定規模以上の土地取引を行う場合、都道府県知事への事前の届出(事前届出制)や、事後の届出(事後届出制)が義務付けられており、無秩序な土地利用や地価の急激な変動を防ぐ役割を担っています。

国土利用計画法の目的と規制対象

国土利用計画法は、我が国の国土を、将来にわたって国民が健全で文化的な生活を営めるよう、計画的に利用することを目的としています。バブル期のような地価の異常な高騰や、無秩序な開発を防ぐために制定されました。


法律の目的

投機的取引の抑制:土地の投機的な売買を規制し、地価の不自然な高騰を防ぎます。

適正な土地利用の誘導:国土利用計画に基づいて、農業用地、工業用地、商業用地、住宅用地など、それぞれの土地が最も適した目的で利用されるよう誘導します。

計画的な国土の形成:国土全体のバランスの取れた発展と、災害に強い安全な国土の形成を目指します。


規制の対象となる土地取引

国土利用計画法における規制の対象となるのは、土地の所有権、地上権、賃借権など、土地に関する権利の移転または設定であり、対価を伴う取引(売買、交換、営業譲渡、共有持分の譲渡など)が主な対象です。特に、以下のいずれかの面積要件に該当する土地取引を行う場合、都道府県知事への届出が義務付けられています。

区域の種類  届出が必要な面積
市街化区域  2,000平方メートル以上
市街化調整区域  5,000平方メートル以上
都市計画区域外  10,000平方メートル以上
その他の都市計画区域  5,000平方メートル以上


※注:上記の面積は、個々の土地の面積だけでなく、一体の土地利用として計画されている場合(例:一つの大規模開発で複数の土地を順次取得する場合など)は、合計面積で判断されます。

届出制度の種類と手続き

国土利用計画法には、「事後届出制」と「事前届出制」の2種類の届出制度があります。


1.事後届出制(一般的な土地取引の場合)

対象:上記の面積要件を満たす土地取引を行った場合。

届出時期契約締結後2週間以内に、土地の所在地の都道府県知事(政令指定都市の場合は市長)に届け出なければなりません。

届出内容:土地の所在、面積、権利の種類、対価の額、利用目的などを記載します。

審査:都道府県知事は、届出された利用目的が国土利用計画や都市計画などに照らして適正であるかを審査します。

勧告:利用目的が不適切であると判断された場合、知事は利用目的の変更を勧告することがあります。勧告に従わない場合は、公表されることもあります。

罰則:届出を怠ったり、虚偽の届出をしたりした場合は、6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられることがあります。


2.事前届出制(監視区域・注視区域の場合)

地価が急激に上昇する恐れがある地域や、投機的取引が特に活発な地域として、国や都道府県が指定する「監視区域」「注視区域」に該当する場合に適用されます。

対象:監視区域・注視区域内で、都道府県が指定した面積以上の土地取引を行う場合。指定された面積は、一般的な届出対象面積よりも小さくなることが多いです(例:監視区域では200平方メートル以上など)。

届出時期:契約締結前に都道府県知事(政令指定都市の場合は市長)に届け出なければなりません。

審査:知事は、土地の利用目的だけでなく、価格水準(地価)についても審査し、投機的な取引でないか、適正な価格であるかを判断します。

勧告:不適当と判断された場合、利用目的や価格について変更を勧告します。この勧告は、事後届出制よりも拘束力が強いとされています。

罰則:監視区域内での事前届出義務を怠って契約を締結した場合は、6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられることがあります。

これらの届出制度は、土地の公正な取引と計画的な利用を確保するために重要な役割を果たしています。

国土利用計画法と「訳アリ不動産」の取引

当社フィリアコーポレーションが専門とする「訳アリ不動産」は、一般的に個々の土地の面積が比較的小さく、また市場価値も低いため、国土利用計画法による届出義務の対象とならないケースが多いです。しかし、以下のような特殊な状況においては、本法の影響を受ける可能性もあります。


大規模な空き家や、複数筆にまたがる土地:長年放置された空き家や、複数の地番にまたがる広い土地の場合、その面積が上記で定められた届出対象面積を超えることがあります。この場合、売却に際しては、国土利用計画法に基づく届出が必要となります。

再開発や区画整理事業が予定されているエリア内の物件:当社が扱う「訳アリ不動産」の中には、将来的に再開発事業や土地区画整理事業の対象となる可能性があるエリアに位置する物件も存在します。これらのエリアが「監視区域」や「注視区域」に指定された場合、通常よりも小さな面積の取引でも事前届出義務が生じ、売却プロセスに影響を与える可能性があります。

隣地との同時売却や一括売却:例えば、共有持分を複数取得し、隣地と合わせて一体の土地として売却する場合など、複数の土地を合算した面積が届出対象面積を超えることがあります。


このような状況において、国土利用計画法に基づく届出義務が発生した場合、売主様は専門的な知識がないと手続きに戸惑うことがあります。当社フィリアコーポレーションは、1,000件以上の相談・査定実績から得た実務に基づいたリアルな知見を活かし、国土利用計画法に関する届出の要否判断から、必要な手続き、そして行政との連携まで、売主様の負担を軽減しながら適切に対応することが可能です。

当社は、契約不適合責任の免除、残置物の処理不要、隣人交渉不要といった形で、売主様の心理的・実務的負担を大幅に軽減することを強みとしています。国土利用計画法が関わるような複雑な土地取引であっても、当社が直接買い取ることで、売主様は安心して物件を手放すことができます。机上の理論だけでなく、現場で培った対応力と解決事例に基づいて、他の不動産会社では対応が難しい「訳アリ不動産」の売却をサポートすることが当社の強みです。

よくある質問

Q

国土利用計画法による届出をしないとどうなりますか?

A

国土利用計画法に基づく届出義務を怠ったり、虚偽の届出をしたりした場合には、罰則が科せられます。具体的には、6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる可能性があります。また、特に監視区域内での事前届出を怠って契約を締結した場合は、その契約行為自体が無効となるわけではありませんが、行政からの指導や勧告、そして罰則の対象となります。土地取引を円滑に進めるためにも、届出が必要な場合は、必ず期限内に正確な情報で届け出ることが重要です。

Q

国土利用計画法の届出は、誰が行うのですか?

A

国土利用計画法に基づく届出は、原則として土地の「権利取得者(買主)」が行う義務があります。これは、土地の利用目的が適正であるか、価格が不当に高くないかなどを審査する目的があるためです。ただし、不動産会社が売買の媒介を行う場合、実務上は不動産会社が代理で届出書を作成し、手続きをサポートすることが一般的です。売主としては、買主が適切に届出を行うかを確認し、協力する義務があります。届出の義務は買主側にありますが、売却をスムーズに進めるためにも、不動産会社と連携して適切な手続きを進めることが重要です。

Q

国土利用計画法による勧告を受けたら、どうなりますか?

A

国土利用計画法による勧告を受けた場合、都道府県知事(または市長)は、届け出られた土地の利用目的や価格について、是正を求めることができます。勧告には、以下の2つのケースがあります。


1.利用目的の変更勧告:届け出られた利用目的が、国土利用計画や都市計画に適合しない場合や、周辺地域の環境保全に支障を及ぼす恐れがある場合などに勧告されます。

2.価格の変更勧告:特に監視区域や注視区域において、届け出られた土地の価格が周辺の地価水準と比較して著しく高かったり、投機的な取引と判断されたりした場合に勧告されます。勧告を受けた場合、原則としてそれに従う努力義務があります。もし勧告に従わない場合は、その旨が公表されることがあります。これは、社会的な信用を失う可能性があるため、通常は勧告に従うことが望ましいとされています。勧告に従うことで、行政指導が終了し、土地取引を継続できます。

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