市街化区域

概要

市街化区域とは、都市計画法に基づいて指定される「すでに市街地を形成している区域」または「おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」のことです。この区域では、原則として建築行為が自由にでき、インフラ整備も積極的に行われます。そのため、住宅や商業施設、工場などが計画的に配置され、都市活動の中心となるエリアに指定されることが多く、不動産の売買や活用において重要な区分となります。

市街化区域の目的と特徴

都市計画法は、無秩序な都市の拡大を防ぎ、計画的な街づくりを進めるために、都市計画区域を「市街化区域」と「市街化調整区域」に区分しています。市街化区域は、都市の発展を促進するためのエリアとして位置づけられています。


市街化区域の主な目的

都市機能の集約:住宅、商業、業務、工業など、都市活動に必要な機能を集約し、効率的な都市運営を促進します。

インフラ整備の推進:道路、上下水道、電気、ガスなどの公共インフラが計画的に整備され、利便性の高い生活・事業環境を創造します。

良好な市街地の形成:計画的な建築物の配置や用途制限を通じて、秩序ある街並みと良好な住環境を形成します。


市街化区域の主な特徴

1.建築行為の原則自由:原則として、建築物の建築や開発行為が自由に許可されます。ただし、後述する用途地域や建ぺい率・容積率などの制限は受けます。

2.インフラ整備の積極的な推進:道路、公園、下水道などの公共施設の整備が優先的に行われるため、生活利便性が高いのが特徴です。

3.都市的な土地利用:住宅地、商業地、工業地など、様々な都市機能が集積しています。

4.地価の傾向:インフラ整備が進み、利便性が高いため、市街化調整区域に比べて一般的に地価が高い傾向にあります。

市街化区域における用途地域と建築制限

市街化区域内では、さらに土地の利用目的を細かく定める「用途地域」が指定されます。用途地域は全部で13種類あり、それぞれに建築できる建物の種類や建ぺい率、容積率、高さなどが厳しく制限されています。


用途地域の例

第一種低層住居専用地域:低層住宅の良好な住環境を保護するための地域。建ぺい率・容積率が最も厳しく、高い建物は建てられません。

商業地域:商業施設やオフィスビルなどが集積する地域。建ぺい率・容積率が最も高く、高層ビルも建築可能です。

工業地域:工場の利便を図るための地域。住宅の建築は制限されることがあります。


建築制限の具体例
市街化区域内の土地に建物を建てる際には、用途地域ごとに以下の制限を受けることになります。

建ぺい率:敷地面積に対する建築面積の割合の上限。日照、通風、防災確保のために設けられます。

容積率:敷地面積に対する延床面積(各階床面積の合計)の割合の上限。都市の人口密度や規模を調整します。

高さ制限:道路斜線制限、隣地斜線制限、日影規制などにより、建物の高さや形状が制限されます。

絶対高さ制限:特定の用途地域では、建物の絶対的な高さが定められています。

用途制限:建築できる建物の種類(住宅、店舗、工場など)が定められています。


これらの制限は、都市計画に基づいており、計画的な街づくりを進める上で非常に重要な役割を果たしています。不動産を取得したり、建物を建築したりする際には、その土地が属する用途地域と、それに応じた建築制限を正確に把握することが不可欠です。

市街化区域の「訳アリ不動産」と売却

当社フィリアコーポレーションが専門とする「訳アリ不動産」は、市街化区域内にも存在します。市街化区域は基本的に土地の利用価値が高いとされますが、以下のような特定の課題を抱えることで「訳アリ」となり、市場での売却が困難になることがあります。


老朽化した空き家:市街化区域内であっても、長期間放置され、雨漏りや構造躯体の劣化が著しい空き家は、解体・リフォーム費用が高額になるため、買い手が見つかりにくいです。特に、アスベスト含有の可能性や、土壌汚染リスクを抱える工場跡地などは、さらに売却が難航します。

再建築不可物件:市街化区域内でも、建築基準法上の接道義務を満たさない土地に建つ建物は、建て替えができないため「再建築不可物件」となり、価値が著しく低下します。これは、いくら利便性の高い市街化区域内であっても、大きなデメリットとなります。

共有持分物件:相続によって複数人が共有する物件の場合、たとえ市街化区域内であっても、共有者全員の合意形成が難しいため、売却や活用が滞ることがあります。

狭小地や不整形地:市街化区域内の土地でも、極端に狭い土地やいびつな形状の土地、旗竿地などは、有効活用が難しく、建築制限も厳しくなるため、一般の買主には敬遠されがちです。

既存不適格建築物:過去の法改正により、現在の建ぺい率や容積率などの基準を満たさなくなった建物は、建て替えや大規模増改築時に現在の基準に合わせる必要があるため、売却の障壁となることがあります。


当社フィリアコーポレーションは、このような市街化区域内に存在する「訳アリ不動産」の買取を専門としています。市街化区域の物件は本来高いポテンシャルを秘めているにもかかわらず、上記の課題により売却が困難となっているケースが多々あります。

私たちは、1,000件以上の相談・査定実績から得た実務に基づいたリアルな知見を活かし、これらの複雑な問題を抱える不動産を、契約不適合責任の免除、残置物の処理不要、隣人交渉不要といった形で、売主様の心理的・実務的負担を大幅に軽減しながら直接買い取ります。机上の理論だけでなく、現場で培った対応力と解決事例に基づいて、他の不動産会社では対応が難しい市街化区域内の「訳アリ不動産」の売却をサポートすることが当社の強みです。

よくある質問

Q

市街化区域の土地であれば、どんな建物でも建てられますか?

A

いいえ、市街化区域内であっても、どんな建物でも自由に建てられるわけではありません。市街化区域内は、さらに「用途地域」と呼ばれるエリアに細分化されており、それぞれの用途地域ごとに建築できる建物の種類、建ぺい率、容積率、高さなどが厳しく定められています。例えば、「第一種低層住居専用地域」では住宅以外の店舗や事務所の建築が制限されたり、「商業地域」では工場が建てられなかったりします。また、道路斜線制限や日影規制などの「高さ制限」も適用されます。不動産を購入したり、建物を新築したりする際は、必ずその土地の用途地域と、それに伴う建築制限を事前に確認することが不可欠です。

Q

市街化区域と市街化調整区域では、どちらの不動産に投資する方が良いですか?

A

市街化区域と市街化調整区域のどちらの不動産に投資する方が良いかは、投資目的やリスク許容度によって異なります


市街化区域
メリット:インフラが整備されており、交通の便が良く、生活利便性が高いため、賃貸需要が高く、比較的安定した賃料収入が見込めます。土地の流動性も高く、売却しやすい傾向にあります。
デメリット:地価が高いため、初期投資額が大きくなり、利回りが低くなる傾向があります。

市街化調整区域
メリット:地価が安いため、高い利回りを狙える可能性があります。広大な土地を取得しやすい場合もあります。
デメリット:原則として建築行為が制限されるため、建物を建てたり、既存建物を大規模に改築したりすることが難しいです。インフラ整備も遅れていることが多く、賃貸需要も限定的です。そのため、売却が非常に困難となるリスクが高いです。一般的には、安定した収益と流動性を重視するなら市街化区域、高いリスクを許容して大きなリターンを狙うなら市街化調整区域という選択になりますが、市街化調整区域の物件は専門知識とリスクヘッジが不可欠です。

Q

市街化区域に指定されると、地価は上がりますか?

A

はい、市街化区域に指定されると、一般的に地価は上昇する傾向にあります。その主な理由は以下の通りです。


1.開発・建築の自由度:市街化区域では、原則として建築行為や開発行為が認められるため、土地の有効活用が進みやすくなります。

2.インフラ整備の期待:道路、上下水道、電気、ガスなどのインフラ整備が優先的に行われるため、利便性や快適性が向上し、土地の魅力が高まります。

3.需要の増加:住宅地や商業地としての需要が高まり、買い手が増えることで、地価が上昇しやすくなります。ただし、地価の上昇幅や時期は、その地域の具体的な都市計画、経済情勢、周辺の開発状況など、様々な要因によって異なります。また、すでに十分に開発が進んだ市街化区域では、急激な地価上昇は期待しにくい場合もあります。

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