不動産取得税

概要

不動産取得税とは、土地や建物などの不動産を取得したときに、取得者に対して一度だけ課せられる地方税(都道府県税)です。売買、贈与、新築、増改築など、不動産を取得した原因を問わず課税されます。この税金は、取得の際に支払う必要があり、所有権移転登記費用や印紙税などと並んで、不動産購入時の初期費用の一つとして認識しておくべき重要な費用です。

不動産取得税の基本的な考え方と課税対象

不動産取得税は、不動産の「取得」という行為に対して課せられる税金であり、登記の有無にかかわらず発生します。

課税対象となる「不動産の取得」
「不動産の取得」とは、有償(売買)か無償(贈与・相続)か、登記したか否かに関わらず、物理的に不動産の所有権を得た場合を指します。具体的には、以下のようなケースが課税の対象となります。


売買による取得:中古の土地や建物を購入した場合。
贈与による取得:親子間などで土地や建物の贈与を受けた場合。
新築による取得:新しく家やビルを建てた場合。
増改築による取得:既存の建物を増改築し、価値が高まったとみなされる場合(増築部分など)。
交換による取得:不動産を交換した場合。


ただし、相続による不動産の取得は、原則として不動産取得税の課税対象外です。これは、相続は所有者の意思に基づかない、いわば偶発的な取得とみなされるためです。

納税義務者と納税時期
不動産取得税の納税義務者は、不動産を取得した者(買主、受贈者、新築者など)です。税金は、不動産を取得してから約3ヶ月~1年後に、都道府県から送付される納税通知書に基づいて納付します。一括で納付する場合と、複数回に分けて納付する場合があり、具体的な納税時期や回数は都道府県によって異なります。

不動産取得税の計算方法と軽減措置

不動産取得税の税額は、不動産の固定資産税評価額に所定の税率を乗じて算出されます。ただし、居住用不動産などには、負担軽減のための特例や軽減措置が設けられています。

計算式
不動産取得税=不動産の固定資産税評価額×税率



固定資産税評価額:市区町村が定める固定資産税の課税台帳に登録されている価格です。実際に不動産を購入した価格とは異なる場合がほとんどです。一般的には、時価の70%程度が目安とされます。

税率:原則として土地・建物ともに4%です。しかし、2027年3月31日までの取得については、以下の軽減税率が適用されます。
 ◯土地:3%
 ◯住宅:3%
 ◯非住宅(店舗・事務所など):4%


住宅(居住用)に関する主な軽減措置
不動産取得税には、居住用不動産(マイホームなど)の取得を促進するための大幅な軽減措置が設けられています。


1.土地の軽減措置:以下のいずれか高い額が、課税標準となる土地の価格から控除されます。
 ◯45,000円
 ◯土地1平方メートルあたりの価格×課税床面積の2倍(200平方メートルが限度)×3%さらに、特例として、土地の価格が固定資産税評価額の1/2となる措置も適用されます。

2.新築住宅の軽減措置
 ◯固定資産税評価額から1,200万円が控除されます。
 ◯認定長期優良住宅の場合は、さらに100万円が加算され、1,300万円が控除されます。

3.中古住宅の軽減措置:新築住宅と同様に、築年数に応じて固定資産税評価額から一定額が控除されます。控除額は、建物の建築時期によって異なります(例:1997年4月1日以降新築なら1,200万円、1981年1月1日以降1987年3月31日新築なら450万円など)。これらの軽減措置を受けるためには、床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下であることや、一定の耐震基準を満たしていることなどの要件を満たす必要があります。軽減措置の適用には、原則として取得後に都道府県への申請が必要となるため、忘れないように手続きを行うことが重要です。

不動産取得税と「訳アリ不動産」の取引

当社フィリアコーポレーションが専門とする「訳アリ不動産」は、不動産取得税を計算する上で特有の課題を抱えることがあります。

例えば、以下のようなケースです。


築古の空き家:長年放置され、老朽化が著しい空き家は、建物としての評価額が極めて低い場合が多く、結果として不動産取得税も低額になる傾向があります。しかし、前述の住宅の軽減措置の適用を受けるには、耐震基準を満たす必要があるなど、一定の要件を満たさなければなりません。老朽化した空き家の場合、この耐震基準を満たさないことがよくあります。

再建築不可物件:建築基準法上の接道義務を満たさない再建築不可物件は、建物を取り壊して建て替えができないため、土地の利用価値が著しく低いとされます。このため、土地の評価額が低くなる傾向にあり、結果的に不動産取得税も低額になることが多いです。

相続した「訳アリ不動産」:相続により取得した不動産は、原則として不動産取得税の課税対象外です。そのため、相続によって取得したものの、売却に困っている「訳アリ不動産」を売主様が所有している場合、取得時の税金負担は発生しません。しかし、その後の売却の難しさが課題となります。

共有持分物件:複数人で共有している物件を新たに取得する場合、その持分割合に応じて不動産取得税が発生します。複雑な権利関係の物件では、各共有者の税金負担の調整が必要になる場合があります。


当社フィリアコーポレーションは、このような不動産取得税に関する複雑な問題を抱える「訳アリ不動産」の買取を専門としています。私たちは、1,000件以上の相談・査定実績から得た実務に基づいたリアルな知見を活かし、売主様の状況に応じた税金の問題、特に軽減措置の適用可能性や、取得時の税金負担がどうであったかなどについて、税理士などの専門家と連携しながらアドバイスを提供することが可能です。

当社は、契約不適合責任の免除、残置物の処理不要、隣人交渉不要など、売主様の心理的・実務的負担を大幅に軽減することを強みとしています。不動産取得税を含め、様々な税金や手続きでお困りの場合でも、ぜひ当社にご相談ください。机上の理論だけでなく、現場で培った対応力と解決事例に基づいて、他の不動産会社では対応が難しい「訳アリ不動産」の売却をサポートすることが当社の強みです。

よくある質問

Q

不動産取得税は、いつまでに、誰が申請するのですか?

A

不動産取得税は、不動産を取得してから約3ヶ月~1年後に、都道府県から送付される納税通知書に基づいて納付します。基本的には、税額が算出され次第、自動的に納税通知書が送られてくるため、納税義務者(取得者)が自ら申請書を提出する必要はありません。ただし、軽減措置の適用を受ける場合は、自動的に適用されるわけではないため、取得者が自ら申請する必要があります。都道府県税事務所に備え付けの「不動産取得税申告書」に必要事項を記入し、住民票の写しや建物の登記事項証明書などを添付して提出します。この申請期間は、不動産を取得した日から原則として60日以内(都道府県によって異なります)と定められていることが多いので、取得後は速やかに手続きを行うことが重要です。

Q

相続で不動産を取得した場合、不動産取得税はかかりますか?

A

いいえ、相続で不動産を取得した場合は、原則として不動産取得税は課税されません。不動産取得税は「取得行為」に対して課される税金ですが、相続は「包括承継」という考え方で、個人の意思に基づかない移転であるため、課税対象外とされています。ただし、遺贈(遺言によって財産を贈与すること)のうち、相続人以外への遺贈や、死因贈与(死亡を原因とする贈与契約)については、不動産取得税が課税される場合があります。また、相続した不動産をその後売却した場合、その売却によって得た利益には譲渡所得税が課税される可能性があるため、注意が必要です。

Q

不動産取得税の軽減措置を受けるための「耐震基準」とは何ですか?

A

不動産取得税の軽減措置(特に中古住宅の場合)を受けるための耐震基準とは、その建物が新耐震基準に適合していることを指します。具体的には、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。


1.1982年(昭和57年)1月1日以降に新築された建物であること(この日付以降に建てられた建物は、原則として新耐震基準を満たしているとみなされます)。

2.1981年(昭和56年)12月31日以前に新築された建物で、建築士による耐震診断により新耐震基準に適合していると証明されたもの(「耐震基準適合証明書」の取得が必要)。

3.既存住宅売買瑕疵保険に加入していること(耐震性が一定の基準を満たしていると認められるため)。これらの要件は、中古住宅の築年数によって軽減される控除額が異なる場合があるため、自身の物件がどの軽減措置の対象となるか、事前に確認することが重要です。特に築古の空き家では、この耐震基準を満たさないために軽減措置が適用されず、不動産取得税が高額になるケースもあります。

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