不動産投資信託

概要

不動産投資信託とは、投資家から集めた資金でオフィスビル、商業施設、マンション、物流施設などの複数の不動産に投資し、そこから得られる賃料収入や不動産の売買益を投資家に分配する金融商品です。REIT(リート)とも呼ばれ、株式と同様に証券取引所に上場しており、少額から不動産への間接的な投資が可能となる点が大きな特徴です。

不動産投資信託(REIT)の基本的な仕組み

不動産投資信託は、文字通り「不動産を投資対象とする信託」であり、一般的な投資信託の一種です。投資家は、不動産投資信託を運営する「不動産投資法人」が発行する投資証券を購入することで、間接的に様々な不動産のオーナーになることができます。不動産投資法人は、投資家から集めた資金で、不動産運用の専門家が厳選した多数の不動産を購入・運用し、そこで得られた賃料収入や売却益を、配当金(分配金)として投資家に還元します。

この仕組みにより、個人投資家でも多額の資金や専門知識、物件管理の手間を必要とせずに、優良な不動産への投資に参加できる機会が提供されます。

不動産投資信託の主な仕組みをまとめると以下の通りです。


1.資金の募集:不動産投資法人が、証券会社を通じて投資家から投資資金を募ります。

2.不動産の取得・運用:集めた資金で、オフィスビル、商業施設、マンションなどの収益性の高い不動産を取得し、賃貸運営を行います。

3.収益の分配:運用によって得られた賃料収入や不動産の売却益から、経費や運営費用などを差し引いた利益を、投資口数に応じて投資家に分配します。日本の不動産投資信託(J-REIT)の場合、利益の90%超を分配することで法人税が実質免除される優遇措置があるため、高水準の分配金が期待できる傾向にあります。

4.上場と売買:証券取引所に上場しているため、投資家は株式と同様に市場で投資証券を売買し、いつでも現金化(換金)できます。

不動産投資信託(REIT)のメリットとデメリット

不動産投資信託は、不動産投資への間口を広げる魅力的な金融商品ですが、投資する際にはメリットとデメリットを理解しておくことが重要です。


メリット

少額からの投資が可能:通常の不動産投資では数千万円以上のまとまった資金が必要ですが、不動産投資信託は数万円から数十万円程度の少額で投資証券を購入できます。これにより、個人投資家でも手軽に不動産投資を始められます。

分散投資によるリスク低減:不動産投資法人は複数の不動産(異なる種類や地域の物件)に投資しているため、特定の物件の空室や賃料下落といったリスクを分散できます。実物不動産投資に比べて、ポートフォリオのリスク分散効果が期待できます。

高い流動性と換金性:証券取引所に上場しているため、株式と同様に市場が開いている時間内であればいつでも売買でき、必要な時に現金化しやすいという特徴があります。実物不動産のように、買い手を探す手間や時間がかかりません。

専門家による運用:不動産の選定、取得、管理、賃貸運営、売却などは、不動産運用のプロである専門家(資産運用会社)が行うため、投資家自身が物件管理の手間を負う必要がありません。

比較的安定した分配金:不動産の賃料収入が主な収益源となるため、比較的安定した分配金が期待できます。日本のJ-REITは税制上の優遇により、高分配性という特徴を持っています。


デメリット

価格変動リスク:不動産投資信託は株式市場に上場している金融商品であるため、株価と同様に市場の需給関係や景気変動、金利動向、不動産市況などの影響を受けて、投資口価格が変動します。場合によっては元本割れする可能性もあります。

収益変動リスク:組み入れられている物件の空室率の上昇、賃料の下落、大規模修繕費の発生、自然災害による被害など、不動産の運用状況によって分配金が減少する可能性があります。

投資法人の倒産・上場廃止リスク:不動産投資信託を運用する投資法人が経営破綻したり、証券取引所の上場廃止基準に該当したりした場合、投資口の価値が大幅に下落したり、換金が困難になったりするリスクがあります。

税制上のメリットの限定性:実物不動産投資に比べて、減価償却費による節税効果や、不動産所得の損益通算といった税制上のメリットは限定的です。不動産投資信託の分配金は配当所得として課税されます。

間接投資であること:物件の売買やリフォームなど、個別の不動産に対する直接的な意思決定は投資家が行えません。すべて運用会社に任せることになります。

不動産投資信託(REIT)と「訳アリ不動産」の関連性

不動産投資信託(REIT)は、基本的に安定した賃料収入が見込める優良な不動産を投資対象とします。これは、投資家に安定した分配金を還元し、投資口価格の安定を図るためです。

そのため、当社フィリアコーポレーションが専門とする「訳アリ不動産」、例えば以下のような物件は、通常、不動産投資信託の組み入れ対象となることは稀です。


老朽化が著しい空き家:大規模な修繕が必要で、高額な維持管理費用が見込まれるため、安定した収益が見込みにくい。

再建築不可物件:法的な制約があり、将来的な建て替えや再活用に大きなリスクが伴う。

共有持分物件:権利関係が複雑で、賃貸運営や売却に際して他の共有者との合意形成が困難。

長屋・連棟式建物:個別の評価が難しく、一括での管理・運用が複雑になる。

境界非明示の土地:土地の範囲が不明確で、トラブルのリスクが高い。


これらの物件は、収益性が低かったり、管理に手間がかかったり、将来のリスクが見通しにくかったりするため、不動産投資信託の厳格な投資基準には合致しません。

しかし、当社フィリアコーポレーションのような専門の買取会社が、こうした「訳アリ不動産」を買い取り、権利関係の整理、リノベーション、あるいは再開発の可能性を見出すことで、その物件の価値を再生します。これにより、これまで市場で流通しにくかった不動産が、将来的に優良な不動産として市場に供給され、結果として不動産市場全体の健全な活性化に貢献していると言えるでしょう。私たちは、不動産投資信託ではカバーできない領域の不動産において、売主様の抱える問題を解決し、円滑な取引を支援しています。

よくある質問

Q

不動産投資信託と実物不動産投資はどちらが良いですか?

A

不動産投資信託と実物不動産投資は、それぞれ異なる特性を持つため、どちらが良いかは投資家の目的、資金力、リスク許容度、運用にかけられる時間によって異なります。不動産投資信託は、少額から始められ、流動性が高く、専門家が運用するため手間がかかりません。分散投資効果も期待できます。しかし、市場の価格変動リスクを直接受けやすく、レバレッジを効かせた大きなリターンは期待しにくいです。一方、実物不動産投資は、物件を直接所有するため、収益や売却の自由度が高く、金融機関からの融資を活用して大きなリターン(レバレッジ効果)を狙える可能性があります。また、減価償却などによる節税メリットも期待できます。しかし、多額の初期費用が必要で、物件の管理や空室リスク、修繕リスクなどの手間と責任が伴い、売却には時間と労力がかかります。ご自身の状況をよく検討し、専門家のアドバイスも参考にしながら、最適な投資方法を選択することが重要です。

Q

J-REIT(日本の不動産投資信託)のメリットは何ですか?

A

J-REITの最大のメリットは、少額から日本の主要な不動産に投資できることです。東京のオフィスビルや全国の商業施設、物流施設など、個人では通常購入が難しい高額な優良不動産に、一口数万円から数十万円程度で投資できます。また、証券取引所に上場しているため、株式のように容易に売買でき、換金性が高い点も魅力です。さらに、J-REITは法律で利益の90%超を投資家に分配することで、法人税が実質免除される制度があるため、分配金利回りが比較的高い傾向にあります。これにより、安定したインカムゲインを期待できるため、配当収入を重視する投資家にとって魅力的です。不動産運用は専門のプロが行うため、物件管理の手間がかからない点も大きなメリットと言えるでしょう。

Q

不動産投資信託はどのように選べば良いですか?

A

不動産投資信託を選ぶ際には、いくつかのポイントを考慮すると良いでしょう。


1.投資対象:オフィス、住居、商業施設、物流施設、ホテルなど、どの種類の不動産に投資しているかを確認しましょう。それぞれのセクターで景気変動や市場の動向に対する影響が異なります。

2.分配金利回り:過去の分配金実績や現在の利回りを比較します。ただし、利回りが高いからといって安易に飛びつくのではなく、その背景にあるリスク(空室率、物件の築年数、借入比率など)も確認が必要です。

3.資産規模とポートフォリオ:組み入れられている不動産の数や資産規模が大きいほど、リスク分散が効いていると考えられます。また、ポートフォリオ(投資物件の構成)の内容を詳しく調べ、安定性や成長性があるかを確認します。

4.借入比率(LTV):投資法人の借入比率が高いと、金利上昇リスクや財務の健全性が懸念される場合があります。一般的にLTVが低い方が安全性が高いとされます。

5.スポンサー:大手不動産会社や金融機関などがスポンサーになっているREITは、安定した物件供給や運用ノウハウが期待できます。これらの要素を総合的に判断し、ご自身の投資目標やリスク許容度に合った不動産投資信託を選ぶことが大切です。

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