土壌汚染

概要

土壌汚染とは、土壌に有害物質が一定の基準を超えて含まれている状態を指します。工場跡地や化学物質を扱っていた土地などで問題となることが多く、人の健康被害や生活環境への影響を引き起こす可能性があります。不動産取引においては、土壌汚染が判明すると土地の利用が制限されたり、浄化義務が生じたりするため、土地の評価額に大きな影響を与え、売買が困難になる重大なリスク要因となります。

土壌汚染とは何か?その原因と有害物質

土壌汚染は、かつて工場や事業活動が行われていた土地、あるいは廃棄物が不適切に埋め立てられた場所などで発生することが多い環境問題です。土壌中に特定の有害物質が、国が定める環境基準や土壌汚染対策法の基準値を超えて含まれている状態を指します。


土壌汚染の原因となる主な有害物質と発生源

重金属類:カドミウム、鉛、六価クロム、水銀、セレン、ヒ素など。
発生源:金属精錬工場、めっき工場、化学工場、電池工場、鉱山、廃棄物処理場など。

揮発性有機化合物(VOC):トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ベンゼンなど。
発生源:ドライクリーニング工場、化学工場、自動車部品工場、ガソリンスタンドなど。

農薬類:PCB(ポリ塩化ビフェニル)など。
発生源:化学工場、かつての電気機器製造工場など。

:特定の鉱物油など。
発生源:ガソリンスタンド、工場、貯油施設など。


これらの有害物質は、土壌に浸透し、地下水を通じて広範囲に拡散する可能性があります。土壌汚染は、直接土壌に触れることによる健康被害だけでなく、汚染された地下水を飲用することによる影響や、汚染物質が揮発して室内空気質を悪化させるなど、様々な経路で人々の健康や生活環境に悪影響を及ぼすリスクがあります。

土壌汚染が不動産取引に与える影響と法的規制

土壌汚染の有無は、不動産、特に土地の売買において極めて重要な要素となります。土壌汚染が判明した場合、土地の所有者や売主には法的な義務や、経済的な負担が生じる可能性があります。


土壌汚染対策法と不動産取引
日本では、土壌汚染による健康被害を防止するために「土壌汚染対策法」が定められています。この法律は、土壌汚染が判明した場合の調査義務や、汚染の除去(浄化)義務などを定めており、不動産取引にも大きな影響を与えます。

調査義務の発生
◯特定の有害物質を取り扱っていた工場や事業場が廃止される場合。
◯3,000平方メートル以上の土地の形質変更を行う場合(条例により規模は異なる)。
◯地方公共団体の長が健康被害の恐れがあると判断した場合。これらのケースに該当すると、土壌汚染状況調査を実施する義務が生じます。

利用制限と浄化義務:土壌汚染が判明し、基準値を超過していると認められた土地は、「形質変更時要届出区域」や「要措置区域」などに指定されます。
形質変更時要届出区域:汚染拡散防止のため、土地の掘削などの形質変更を行う際に、都道府県知事への届出が義務付けられます。
要措置区域:健康被害の恐れがあるとして、汚染の除去や封じ込めなどの措置(浄化対策)を講じる義務が生じます。この浄化対策には、数千万円から数億円といった莫大な費用がかかることがあります。


不動産取引への影響
土壌汚染が判明した不動産は、以下のような影響を受けるため、売買が極めて困難になります。

売却価格の大幅な下落:浄化費用や利用制限のリスクを考慮すると、買主は大幅な価格交渉を求めてきます。

買主が見つからない:多くの買主は土壌汚染リスクのある土地の購入を避けるため、買い手探しが非常に難航します。特に一般の個人や中小企業は、土壌汚染の知識や対応能力がないため、敬遠されがちです。

金融機関の融資が困難:担保評価が低くなる上、将来の浄化費用発生リスクがあるため、金融機関は融資を渋るか、担保として評価しないことがほとんどです。

契約不適合責任のリスク:売買契約後に土壌汚染が判明した場合、売主は買主に対して契約不適合責任を問われ、損害賠償や契約解除を求められるリスクがあります。これを避けるためには、事前に土壌汚染調査を行い、買主へ正確な情報を提供し、理解を得た上で契約を締結することが不可欠です。

土壌汚染と「訳アリ不動産」の専門的解決

当社フィリアコーポレーションが専門とする「訳アリ不動産」の中には、土壌汚染のリスクを抱える土地や、実際に土壌汚染が判明している工場跡地などが少なくありません。これらの物件は、前述のような理由から一般的な不動産市場ではほとんど流通せず、「売れない土地」として長年放置されてしまうケースが多々あります。

当社は、このような土壌汚染の課題を持つ不動産の買取を専門としています。私たちは、1,000件以上の相談・査定実績から得た実務に基づいたリアルな知見を活かし、土壌汚染に関する複雑な調査や法的規制への対応、そして浄化対策の要否や費用負担の見極めまで、専門的な視点から対応することが可能です。

例えば、以下のような状況でお困りの売主様に対して、当社は最適な解決策をご提案します。

・工場跡地で土壌汚染の可能性があるため、売却を諦めていた。
・土壌汚染調査をすると費用がかかる上、汚染が判明した場合の責任が怖い。
・契約不適合責任を負わずに、土壌汚染リスクのある土地を売却したい。

当社は、契約不適合責任の免除、残置物の処理不要、隣人交渉不要といった形で、売主様の心理的・実務的負担を大幅に軽減することを強みとしています。土壌汚染という大きなリスクを抱える不動産であっても、当社が直接買い取ることで、売主様は安心して物件を手放すことができます。机上の理論だけでなく、現場で培った対応力と解決事例に基づいて、他の不動産会社では対応が難しい土壌汚染関連の不動産売却をサポートすることが当社の強みです。

よくある質問

Q

土壌汚染が判明したら必ず浄化しないといけないのですか?

A

土壌汚染が判明しても、必ずしも直ちに浄化(対策工事)しなければならないとは限りません。土壌汚染対策法では、汚染された土地が人の健康に具体的な影響を与える可能性があるかどうかで、区域指定と講じるべき措置が異なります。


形質変更時要届出区域:健康被害が生じる恐れがないと判断される場合でも、土地の掘削など形質変更を行う際には、事前に都道府県知事への届出と汚染拡散防止措置が義務付けられます。この区域では、必ずしも浄化工事は求められません。

要措置区域:健康被害が生じる恐れがあると判断された場合(特に汚染された地下水が飲用される可能性などがある場合)に指定されます。この区域に指定されると、汚染の除去、封じ込め、遮断などの対策工事(浄化対策)を講じる義務が生じます。したがって、まずは土壌汚染調査を行い、その結果に基づいて、行政からの指示や区域指定を確認することが重要です。浄化義務が生じるか否かは、汚染の種類、濃度、範囲、地下水への影響など、総合的な判断によって決まります。

Q

土壌汚染調査にはどのくらいの費用がかかりますか?

A

土壌汚染調査の費用は、土地の広さ、これまでの土地利用履歴、汚染が想定される有害物質の種類、調査の深度などによって大きく変動します。


概況調査(フェーズ1):主に文献調査やヒアリングで、汚染の可能性を判断する段階です。数十万円程度で実施できることが多いです。

詳細調査(フェーズ2):実際に土壌や地下水を採取し、分析を行う段階です。土地の広さや採取するサンプルの数、分析する有害物質の種類によって、数百万円から数千万円かかることも珍しくありません。

対策工事(浄化費用):万が一汚染が判明し、浄化対策が必要となった場合は、さらに多額の費用がかかります。数千万円から数億円規模になることもあり、これは土地の売却価格を大きく上回るケースも存在します。土壌汚染調査や対策工事の費用は非常に高額になる可能性があるため、土地の売却を検討する際は、専門家である当社フィリアコーポレーションにご相談いただくことで、費用負担のリスクを軽減できる可能性があります。

Q

土壌汚染のある土地を売却する際の注意点は何ですか?

A

土壌汚染のある土地を売却する際には、以下の点に特に注意が必要です。


1.正確な情報開示:売主は買主に対して、土壌汚染の有無や内容について正確な情報開示義務があります。これを怠ると、売却後に契約不適合責任を問われ、損害賠償請求や契約解除のリスクが生じます。

2.浄化義務と費用負担:汚染が判明し、要措置区域に指定されている場合は、売主(または現所有者)に浄化義務が生じます。この費用負担を誰がするのか、売買契約時に明確に定めておく必要があります。

3.買主の探しにくさ:土壌汚染リスクがある土地は、一般の個人や企業は敬遠するため、買い手を見つけるのが非常に困難です。また、融資もつきにくいため、購入できる層が限られます。

4.売却価格への影響:浄化費用や利用制限のリスクを考慮し、売却価格が大幅に引き下げられる傾向にあります。これらの課題があるため、土壌汚染のある土地の売却は非常に専門的な知識と経験を要します。当社フィリアコーポレーションは、このような複雑な問題を抱える土地の買取を専門としており、売主様がこれらのリスクを負うことなく、安心して売却できるようサポートいたします。

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