コラム記事
土地の制約を読み解く!接道義務の重要性
公開日 2025年7月22日
最終更新日 2025年07月29日
タグ:物件選びの知識不動産投資における重要な法的要件の一つである「接道義務」をご存じでしょうか。接道義務とは、建築基準法第43条で定められた重要な規定です。簡単に言えば、建物を建てる敷地が幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならないというルールです。
上記のような規定がある理由は、火災や災害時の消防活動や避難を円滑に行うためです。緊急車両がスムーズに通行できる幅を確保することで、安全性を高めているのです。
建築基準法上の道路には、以下のような種類があります。
- 道路法による道路
- 都市計画法による道路
- 建築基準法施行前からの既存道路
- 位置指定道路
- 特定行政庁が指定した道路
接道義務を満たしていない土地は「再建築不可」となる可能性が高く、不動産の価値に大きく影響します。具体的には、
- 建て替えができない
- 増改築の制限
- 将来的な売却が困難
- 融資を受けにくい
などといった不便があります。
特に注意が必要なのは、昔からの住宅地です。建築基準法適用以前からある細い道路に面した土地では、「セットバック」という対応が必要になることも。セットバックとは、道路中心線から2mセットバックして建築することで、実質的に道路幅を確保する方法です。ただし、この場合、建築可能な敷地面積が減少してしまいます。接道義務を満たしていない場合でも、以下のような対策を検討することができます。
- 建築基準法第43条ただし書きによる許可の取得
- 隣地からの通路確保
- 私道の拡幅
- 土地の一部を道路として寄付
不動産投資では、物件の収益性だけでなく、こういった法的制約も十分に理解しておくことが重要です。接道状況をしっかりチェックすることで、将来のトラブルを回避し、安全で価値の高い不動産投資を実現できるでしょう。物件購入前には、必ず以下の点を確認しましょう。
- 接道の有無と幅員
- 建築基準法上の道路であるかどうか
- セットバックの必要性
- 将来的な道路拡幅計画の有無
接道義務は、一見煩わしい規制に思えるかもしれません。しかし、この規制があることで、安全性が確保され、長期的には不動産の価値を保護することにつながります。賢明な投資家は、こういった法的要件を味方につけ、より良い投資判断を行うことができるのです。