コラム記事

連棟式建物(連棟住宅)とは?デメリットまで完全解説

公開日 2026年2月4日

最終更新日 2026年2月4日

監修者
越川直之

越川直之(宅地建物取引士 / 空き家相談士)

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訳アリ不動産1,000件以上の相談実績を持つ、空き家・再建築不可・長屋・共有持分の専門家。株式会社フィリアコーポレーション代表取締役。現場経験に基づき、訳アリ不動産売却の正しい知識を監修しています。

連棟式建物とは

連棟式建物(れんとうしきたてもの)とは、その名の通り2戸以上の住宅が横に連なり、隣家と壁を共有して一棟の建物を構成している形式を指します。建築基準法上の用語では「長屋」に該当し、一戸建てのような独立した玄関を持ちながら、構造上は隣家と「一心同体」になっているのが最大の特徴です。

マンションやアパートなどの共同住宅との決定的な違いは、エントランスや階段、廊下といった共用部分を持たない点にあります。各住戸が直接道路や敷地に出られるため、プライバシーを確保しやすいというメリットがある一方で、壁や柱を共有しているという物理的な制約が、将来の解体やリフォーム、そして売却において複雑な問題を引き起こす要因となります。

また、ひとえに連棟式建物といっても、その建てられた年代や「土地の持ち方」によって、その性質は大きく二つに分類されます。見た目は同じように連なっている建物であっても、権利の形態が異なれば、資産価値や売却時の戦略も全く変わってくるのです。

ここからは、連棟式建物の代表的な二つの形態である「テラスハウス」と「タウンハウス」の違いについて、詳しく解説していきます。

テラスハウスとタウンハウスの違い

見た目の構造こそほとんど同じですが、不動産としての価値や権利の面で決定的に異なるのが、「敷地が住人ごとに明確に分けられているかどうか」という点です。

タウンハウスは、マンションに近いイメージの所有形態です。敷地全体を住人全員で「共有」しており、庭や駐車場、ゴミ置き場などは共有スペースとして全員で利用します。そのため、マンションと同様に管理組合が存在し、維持管理のための管理費や修繕積立金が発生するのが一般的です。

一方、テラスハウスは、敷地が住戸ごとに「分筆(分割)」され、それぞれが独立した土地の権利を持っています。各住戸には専用の庭や駐車場が割り当てられており、自分の区画については(構造上の制限はあれど)単独で権利を主張しやすいのが特徴です。

項目タウンハウステラスハウス
土地の権利全員で共有(持分)住戸ごとに独立(単独所有)
庭・駐車場共有利用(規約による)専用利用(自分の敷地内)
管理費・積立金有ることが多い原則として不要

売却において、テラスハウスは土地が独立している分、隣人との調整次第では切り離しや建て替えの議論が進めやすいと言えます。対してタウンハウスは土地全体が共有のため、一戸だけを切り離すことは法的にほぼ不可能です。ご自身の物件がどちらの形態かを知ることは、売却戦略を立てる第一歩となります。

連棟式建物のメリット

連棟式建物(長屋)は、売却の難しさが語られがちですが、住まいとしての実用性やコストパフォーマンスの面では、非常に優れた特徴を持っています。特に「戸建ての独立性」と「集合住宅の合理性」をバランスよく兼ね備えている点が、根強い人気の理由です。

最大のメリットは、構造の一部を隣家と共有していることによる経済性です。建築費やメンテナンス費用を抑えられるため、一般的な戸建て住宅よりも手が届きやすい価格帯で提供されることが多く、合理的な住まい選びをしたい層に支持されています。

また、共同住宅とは異なり、各住戸に独立した玄関があり、専用の庭や駐車場が備わっているケースがほとんどです。「隣家と壁を共有している」という点を除けば、生活のスタイルは一戸建てとほとんど変わりません。集合住宅でありながら、一戸建てに近い自由な暮らしを享受できる。それが連棟式建物の大きな魅力です。

ここからは、その具体的なメリットを以下の3つのポイントから深掘りしていきましょう。

  • 戸建て住宅よりもコストが低い
  • プライバシー性が高い
  • 戸建て住宅に近い暮らしができる

戸建て住宅よりもコストが低い

連棟式建物の最大の武器は、何と言ってもその「圧倒的なコストパフォーマンス」にあります。一般的な一戸建て住宅の場合、四方の壁すべてを自前で建築しなければなりませんが、連棟式建物は隣家と壁を共有する構造をとっています。

「壁を一枚共有する」ということは、それだけでお互いに外壁材や断熱材、柱などの材料費、そして職人の手間代が丸ごと一面分浮く計算になります。この建築コストの抑制は、最終的な販売価格の安さに直結します。同じ立地、同じ専有面積であっても、独立した一戸建てに比べて手頃な価格設定になることが多く、これが購入検討者にとっての大きなメリットとなります。

また、コストメリットは購入時だけではありません。土地を効率的に利用しているため、一戸あたりの土地評価額が低く抑えられる傾向があり、毎年のランニングコストである固定資産税や都市計画税も、一戸建てと比較して安くなるケースが多々あります。「住居費は賢く抑えつつ、一戸建てのような独立性も手に入れたい」という層にとって、この初期費用と維持費の両面での安さは、非常に強力な魅力となるのです。

プライバシー性が高い

連棟式建物のプライバシー性の高さは、マンションやアパートなどの共同住宅と比較するとその差は歴然です。最大の理由は、エントランスや廊下、階段といった「共用部分」が存在しないことにあります。マンションであれば、エレベーター内での気まずい沈黙や、共有廊下での鉢合わせが避けられませんが、テラスハウスは玄関が直接外に面しているため、外出や帰宅のタイミングで他の住人と顔を合わせる機会が劇的に少なくなります。

また、専用の庭やテラスが各住戸の専有スペースとして確保されている点も大きな魅力です。共用のベランダとは異なり、自分だけのプライベート空間として活用できるため、外からの視線を遮りやすく、心理的な安心感はもちろん防犯面でも大きなメリットとなります。

さらに、住戸内がメゾネット形式(2階建て)になっていることが多いため、「階数による空間の切り分け」が容易です。例えば、1階を家族が集まるリビング、2階を個室や仕事部屋と分けることで、家族間でも程よい距離感を保つことができます。これにより、テレワークや受験勉強など、静かに集中したい場面でも邪魔されにくい環境を構築しやすく、現代のライフスタイルに非常にマッチした住形態と言えます。

戸建て住宅に近い暮らしができる

マンションなどの共同住宅では、多くの住人が快適に過ごすために厳しい「管理規約」が設けられています。「ペットは1匹まで、体高〇〇cm以内」「楽器の演奏は禁止、または19時まで」といった細かなルールに縛られ、窮屈な思いをすることも少なくありません。しかし、連棟式建物であれば、基本的には一戸建てと同じような自由度の高い暮らしが叶います。

マンションでは諦めざるを得なかった大型犬の飼育や多頭飼い、あるいは趣味の楽器演奏なども、近隣への常識的な配慮さえあれば、自分たちのライフスタイルに合わせて自由に楽しむことができます。また、構造上の大きな利点として「上下階に他人が住んでいない」ことが挙げられます。マンションで最も多いトラブルは階下への足音ですが、連棟式建物なら子供が走り回ったり階段を上り下りしたりしても、下の階を気にする必要がありません。これは子育て世代にとって、精神的に非常に大きなメリットです。

玄関前のスペースや専用庭を自由に使える点も、マンションのベランダにはない魅力です。ガーデニングを楽しんだり、趣味の道具をメンテナンスしたりと、「自分の家」という感覚を強く持ちながら、独立した戸建て住宅と遜色ない自由な暮らしを謳歌できます。

連棟式建物のデメリット

メリットがある一方で、デメリットもしっかり把握しておくことが、後悔しない不動産取引の鍵となります。連棟式建物(長屋)が抱える問題の多くは、やはり「隣家と構造を共有している」という点に集約されます。この独特な造りが、日々の暮らし心地だけでなく、将来的な資産価値や売却のしやすさにまで大きな影を落とすからです。

物理的な距離の近さがストレスを生むこともあれば、法的な制約が所有者の自由を奪ってしまうこともあります。具体的に注意すべきデメリットは、主に以下の4点です。

  • 生活音が聞こえやすい

壁一枚を隔てて隣り合っているため、一戸建てに比べて隣人の生活音や気配が伝わりやすい傾向にあります。

  • 住宅ローンが通りにくい

担保評価が低くなりやすく、買い手が資金調達に苦労するため、売却時の大きな障壁となります。

  • 資産価値が低い

土地の自由度が低く「再建築不可」に近い扱いを受けることが多いため、市場価格は低めに見積もられます。

  • 日当たりや風通しが悪い

両隣を住戸に挟まれている構造上、開口部(窓)が前後しか取れず、室内が暗くなりがちです。

これらのデメリットは、連棟式建物(長屋)を売却する際に「買い手から必ず突かれる弱点」でもあります。ここからは、それぞれの項目について詳しく深掘りしていきます。

生活音が聞こえやすい

連棟式建物(長屋)の構造上の宿命とも言えるのが、この「音」の問題です。独立した一戸建てであれば、隣家との間に物理的な空間(隙間)がありますが、壁を共有している連棟式建物(長屋)にはそれがありません。文字通り「壁一枚」で隣の世帯と接しているため、どうしても生活音が伝わりやすくなります。

特に築年数が経過している古い連棟式建物(長屋)の場合、壁の中に防音材が十分に入っていなかったり、建物の骨組みである柱を共有していたりすることも珍しくありません。そうなると、隣の家のテレビの音や話し声、階段を上り下りする振動、さらには掃除機をかける音や水回りの音までがダイレクトに響いてくることがあります。「一戸建て感覚」を期待して購入した方にとって、この「隣人の気配」を常に感じる生活は、想像以上のストレスになり得ます。

売却の際も、この点は非常にシビアにチェックされます。内見時にたまたま隣の生活音が大きく聞こえてしまうと、買い手は一気に購入意欲を削がれてしまうからです。マンションのような鉄筋コンクリート(RC)造の遮音性能とは根本的に異なり、「お互いの配慮」が必要な住まいであるという点は、連棟式建物(長屋)における最大の懸念事項と言えます。

住宅ローンが通りにくい

連棟式建物が住宅ローンの審査において極めて不利になる最大の理由は、その「出口戦略(再販価値)」の不透明さにあります。金融機関が融資を行う際、最も重視するのは物件の担保価値ですが、連棟式建物は構造上、隣家と壁や基礎を共有しているため、自分一人の意思で自由に解体したり建て替えたりすることができません。

建築基準法上の「再建築不可」に近い扱いを受けるケースも多く、銀行から見れば「万が一の際に売却して資金を回収するのが難しいリスク物件」とみなされてしまいます。特に、切り離し解体に隣人の同意が必要な点や、単独での建て替えが制限される点は、担保評価を著しく押し下げる決定的な要因となります。

その結果、多くの大手銀行では融資を断られるか、承認されたとしても借入可能額が大幅に減額されるのが一般的です。買い手がローンを組めないということは、購入できる人が「現金一括」で支払える層に限定されてしまうことを意味します。ターゲットとなる買い手が極端に絞られるため、結果として相場よりも価格を下げざるを得なかったり、売却までに長い時間がかかったりするのが、連棟式建物売却の厳しい現実です。

資産価値が低い

一般的に連棟式建物は、同エリアの独立した一戸建てと比較して、市場価格が2割から3割程度低くなるのが現実です。不動産における「資産価値」とは、突き詰めれば「その土地や建物をどれだけ自由に活用できるか」という自由度に比例します。

連棟式建物の場合、隣家と壁や基礎を共有しているため、自戸だけの判断で解体して更地にしたり、最新の住宅に建て替えたりすることが極めて困難です。この「不自由さ」が、資産としての評価を大きく押し下げる決定的な要因となります。たとえ駅近の好立地であっても、買い手が「将来的に自由に土地を扱えない」と判断すれば、価格は更地価格を大きく下回るケースがほとんどです。

また、建物が老朽化している場合、解体コストが足かせとなり、市場では「価値のある資産」ではなく、むしろ「処分に手間がかかる負債」に近い扱いを受けてしまうことすらあります。相続の際にも、流動性が低いために現金化が難しく、親族間でのトラブルに発展しやすい点も、資産価値を語る上で見逃せないリスクです。このように、物理的な制約が所有者の自由を奪っている状態そのものが、連棟式建物の市場価値を構造的に押し下げているのです。

日当たりや風通しが悪い

連棟式建物の構造上、どうしても避けられない弱点が「採光」と「通風」の制限です。独立した一戸建てであれば、四方の壁に窓を設けて光や風を取り込めますが、連棟式建物(長屋)は左右の壁を隣家と共有しているため、窓を設置できる場所が「前面」と「背面」の二面に限定されてしまいます。

特に三軒以上が連なる連棟式建物(長屋)の「中部屋」の場合、この問題は顕著です。部屋の奥まで太陽の光が届かず、日中でも照明が必要なほど薄暗いケースも珍しくありません。また、風の通り道が直線的なルートに限られるため、空気が滞留しやすく、湿気が原因でカビや結露が発生しやすいのも大きなデメリットです。

これは単に「暗くてジメジメする」という住み心地だけの問題ではありません。長年の通風の悪さは、建物の骨組みである柱や土台を蝕み、シロアリ被害や腐食を招く原因となります。売却の際、こうした「構造へのダメージ」は買い手が最も警戒するポイントであり、結果として査定価格をさらに引き下げる要因となってしまいます。角部屋であれば多少は緩和されますが、それでも独立した一戸建てのような開放感を得るのは、構造的に極めて難しいのが現実です。

連棟式建物を購入する前の留意点

連棟式建物は、その手頃な価格やレトロな風情が魅力ですが、購入を決める前に「所有者としての自由度がどれほど制限されるか」を冷静に見極める必要があります。一戸建ての感覚で「自分の家なのだから、好きに直したり壊したりできるだろう」と安易に考えてしまうと、将来的に売却や建て替えを検討する際、取り返しのつかない後悔をすることになりかねません。

連棟式建物を所有するということは、文字通り「隣家と運命を共にする」ことに他なりません。物理的な構造だけでなく、権利や将来のコスト面においても、隣人の意向や建物の状態に大きく左右されることになります。これは単なる不便さの問題ではなく、将来的な資産価値の毀損や、予期せぬ多額の出費を強いられるリスクを孕んでいます。

購入後に「こんなはずではなかった」と頭を抱えないために、特に理解しておくべきシビアな留意点は以下の3点です。

  • 改修・解体の制約が生じやすい
  • 解体費が割高になりやすい
  • 解体後も隣家が越境状態になる

これらは連棟式建物(長屋)特有の構造が引き起こす、避けては通れない「現実」です。具体的にどのような落とし穴があるのか、詳しく解説します。

改修・解体の制約が生じやすい

連棟式建物の所有者が直面する最も高い壁は、建物の切り離しや解体に際して「隣人全員の承諾」が必要になるという点です。法律上の義務はもちろんですが、実務の現場レベルで言えば、この承諾を得られるケースは「まずない」と考えておくべきです。

隣人からすれば、切り離し工事によって自分の家の壁が剥き出しになり、断熱や防音性能が下がるだけでなく、雨漏りや壁の亀裂、さらには耐震性の低下といった甚大なリスクを負わされることになります。相手に何のメリットもない以上、交渉が難航するのは当然の結果と言えます。

もし承諾を得ずに強引に工事を進めたり、工事によって隣家に損害を与えたりした場合、多額の損害賠償を請求される恐れがあります。実際に、テラスハウスの切り離し・建て替えを巡る裁判では、施工主に対して約500万円もの賠償金支払いを命じた判例も存在します。「自分の持ち家だから好きにできる」という常識は、連棟式建物の前では通用しません。こうした法的・金銭的なリスクを負ってまで改修や解体を行うのは、個人レベルでは極めて困難であり、購入前に最も覚悟しておくべき留意点です。

解体費が割高になりやすい

一戸建ての解体であれば大型の重機で一気に壊すことができますが、連棟式建物(長屋)の場合はそうはいきません。まず、連棟式建物(長屋)が密集している地域は道が狭く、重機自体が進入できない現場がほとんどです。また、スペースがあったとしても、隣家と壁を共有しているため、誤って棟全体を傷つけたり倒壊させたりしないよう、職人が慎重に手作業で解体していく「手壊し」が必要になります。人件費が高騰している昨今、この手作業による工期の長期化は、解体費用を跳ね上げる直撃弾となります。

さらに、自分の建物を解体した後に必ず発生するのが「隣家の壁の補修費用」です。

共有壁を切り離すと、それまで隣家の「室内」だった部分が、いきなり「外壁」として剥き出しになります。当然、そのままでは断熱性もなく雨漏りも防げないため、防水処理を施し、新たな外装材を貼って「まともな外壁」に仕上げなければなりません。この補修費用は、原則として解体を行う側が負担する慣習があります。

「壊すだけで数百万円」という本体の解体費に加え、隣家への手厚い養生や補修費まで積み重なれば、一般的な一戸建ての解体費の2倍、3倍と膨らむことも珍しくありません。この高額なコストが足かせとなり、更地にして売ることすら困難にさせているのが連棟式建物(長屋)の実態です。

解体後も隣家が越境状態になる

連棟式建物の解体において、意外と知られていない落とし穴が「解体後も土地がスッキリしない」という問題です。連棟式建物(長屋)の多くは、隣家との境界線の「中心」に共有の柱や壁が建っているケースがほとんどです。

自分の住戸を解体する際、これらの共有柱は隣家の建物を支える不可欠な構造体であるため、勝手に撤去することはできません。たとえ自費で解体を行ったとしても、柱の半分(半径分)は隣家の所有物として自分の敷地内に残ることになります。その結果、解体して更地になった後も、「隣家が自分の土地に越境している状態」が解消されずに続いてしまうのです。

注意すべきポイント:有効面積の減少越境している部分には当然ながら新しい建物を建てることはできません。ただでさえ限られた敷地面積が、さらに数センチ、数十センチと削られることになり、設計上の大きな制約となります。

「更地にすれば高く売れる」と考えて解体したものの、実際には「越境物あり・建築可能面積縮小」という、買い手が敬遠したくなる条件が揃ってしまうリスクがあります。この構造的な「縛り」は、連棟式建物(長屋)を売却・活用する上で避けては通れない、非常に根深い問題なのです。

連棟式建物の売却方法

「権利関係が複雑で、ローンも通りにくい連棟式建物(長屋)を本当に売ることができるのか?」と不安に思われるかもしれませんが、決して諦める必要はありません。連棟式建物(長屋)には、その特殊な構造ゆえの「出口(売却)」の作り方が確実に存在します。

私たち株式会社フィリアコーポレーションは、連棟式建物(長屋)を中心に、これまで1,000件以上の「訳あり不動産」を専門に扱ってきました。一般的な不動産会社が匙を投げるような難解な物件を、数多く成約させてきた自負があります。その経験から導き出した「机上の空論ではない、現場のリアルな売却方法」は、大きく分けて以下の4つです。

  • 建物全体を購入する

隣家を買い取って一棟の建物とし、土地の価値を最大化させる

  • 隣人に引き取ってもらう

境界や共有壁の悩みを一気に解消できる、最も身近な解決策

  • 切り離して売却する

物理的・法的なハードルを越え、独立した物件として価値を高める

  • 不動産会社に買い取ってもらう

手間やリスクを一切負わず、確実に現金化する最短ルート

それぞれの方法には、メリットだけでなく特有の「落とし穴」もあります。ご自身の状況に最適な選択ができるよう、プロの視点から詳しく解説していきます。

建物全体を購入する

連棟式建物の価値を最大化させる「王道」とも言える手法が、隣接する住戸をすべて買い取り、一棟丸ごとの所有者になることです。連棟式建物の最大の弱点は「自分一人で解体や再建築ができないこと」にありますが、全戸を所有してしまえば、それは単なる「一戸建ての広い敷地」へと姿を変えます。古家を解体して更地にすれば、ハウスメーカーが好むような注文住宅用地として高値で売却できるため、一戸単位で売るよりも遥かに大きな利益が見込めるでしょう。

しかし、この手法には非常に高い壁が立ちはだかります。最大のネックは「莫大な購入資金」です。そもそも売却を検討されている方の多くは、資産を整理して現金化したいと考えているはずです。その状況で、隣家を買い取るために数千万円単位の資金を工面し、リスクを負ってまで勝負できるケースは、現実的にはほとんどありません。

さらに、隣人が売却に同意してくれる保証もなく、足元を見られて相場以上の価格を要求されるリスクも伴います。理論上は最も賢い出口戦略ですが、資金力と交渉力の両面においてハードルが高すぎて、一般の売主様にとっては「絵に描いた餅」になってしまうのが実情です。

隣人に引き取ってもらう

自分の持ち分を隣人に買い取ってもらうことは、最もトラブルが少なく、理想的な解決策に見えます。隣人にとっても、隣を買い取ることで敷地が広くなり、将来的に一戸建てとして建て替えられる可能性が生まれるなど、大きなメリットがあるからです。

しかし、ここでもやはり「資金の壁」が立ちはだかります。隣人の方が購入を希望したとしても、手元に潤沢な現金があるケースは稀です。また、連棟式建物である以上、隣人が購入資金をローンで賄おうとしても、銀行の厳しい担保評価によって融資が下りないことがほとんどです。結局、「欲しくても買えない」という結論に至ってしまうのが現実です。

さらに近年、現場で増えているのが「所有者との接触不能」という問題です。連棟式建物の多くは築年数が経過しており、隣家がすでに空き家になって久しいことも珍しくありません。相続が繰り返された結果、登記簿上の所有者がすでに亡くなっており、現代の相続人がどこにいるのか、誰が管理しているのかすら分からないといったケースが多発しています。交渉のテーブルにすら着けない相手を待っていては、売却のチャンスを永遠に逃し続けることになりかねません。

切り離して売却する

連棟式建物を物理的に切り離し、一戸の独立した土地として独立させることができれば、資産価値は劇的に向上します。「再建築不可」という最大の弱点が解消され、通常の住宅ローンも利用可能になるため、一般市場での売却も極めてスムーズになるでしょう。

しかし、現場の実情を知る立場から言えば、この手法が成功する確率は限りなくゼロに近いと言わざるを得ません。最大の障壁は「隣人の承諾がまず得られない」という点にあります。

隣人にとって、切り離し工事に協力するメリットは一つもありません。それどころか、共有している壁や柱を強引に切り離せば、隣家の構造的な強度が著しく低下し、最悪の場合は倒壊を招く深刻なリスクを背負うことになります。また、それまで室内だった壁が外壁として剥き出しになるため、断熱性や防音性の低下も避けられません。リスクと不利益しかない提案に対し、二つ返事で首を縦に振る隣人はまず存在しないでしょう。

このように、切り離し売却は「自分の土地を自由に使いたい」という売主様の希望と、「今の住まいを安全に守りたい」という隣人の権利が真っ向から衝突するため、個人レベルで進めるにはあまりに現実味に欠ける手法なのです。」

不動産会社に買い取ってもらう

これまで挙げた「隣人との交渉」や「多額の修繕費用」といった難題を、一瞬で解決できる唯一の現実的な選択肢が、専門業者による直接買取です。一般的な不動産会社にとって、連棟式建物は「リスクが大きく、手間ばかりかかる物件」です。そのため、査定を依頼しても門前払いをされたり、リスクを過剰に見込まれて極端に低い価格を提示されたりするのがオチです。

しかし、私たちフィリアコーポレーションのように連棟式建物を専門に扱う会社であれば、特有の複雑な権利関係や構造的な制約を熟知しているため、即座に適切な判断が可能です。最大のメリットは、売主様が「契約不適合責任」を一切負わなくて済む(免責)という点です。築年数が古く、雨漏りやシロアリ被害が隠れている可能性が高い連棟式建物でも、売却後に修繕費用を請求される心配は一切ありません。

また、隣人からの切り離し承諾を得る必要も、多額の費用をかけてリフォームする必要もありません。「今のまま、ありのまま」の現況でスピーディーに現金化できるのは、専門業者ならではの強みです。長年抱えてきた「売れない悩み」を最短距離で解消し、精神的なストレスから解放されるためにも、まずは実績豊富な専門会社へ相談することが、最も賢明な出口戦略と言えます。

監修者
越川直之

越川直之(宅地建物取引士 / 空き家相談士)

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株式会社フィリアコーポレーション代表取締役の越川直之です。
当社は空き家や再建築不可物件、共有持分など、一般的に売却が難しい不動産の買取・再販を専門とする不動産会社です。 これまでに1000件以上の相談実績があり、複雑な権利関係や法的・物理的制約のある物件にも柔軟に対応してきました。 弊社ホームページでは現場経験に基づいた情報を発信しています。
当社は地域社会の再生や日本の空き家問題の解決にも取り組んでおり、不動産を通じた社会貢献を目指しています。

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