コラム記事
共有持分とは?共有不動産をスムーズに処分する全知識
公開日 2025年7月22日
最終更新日 2025年7月29日
目次
共有名義の実家処分に悩むあなたへ
実家を相続したものの、兄弟姉妹との共有名義になっていて処分に困っていませんか?自分は住んでいない空き家なのに固定資産税だけ払い続け、早く売却して現金化したいのに他の共有者の同意が得られず途方に暮れている…そんな不安や焦りを抱える方は少なくありません。共有者同士で話し合おうとしても意見がまとまらず、関係がぎくしゃくしてしまうケースもあります。
ご安心ください。同じように「共有持分の不動産をどう扱えばいいかわからない」という悩みを持つ方はたくさんいます。本記事では宅地建物取引士である筆者(不動産業界歴10年)が、共有持分の基礎知識からスムーズに不動産を処分・売却する方法まで丁寧に解説します。さらに、空き家専門の不動産買取会社として1000件以上の相談を受けてきた実績から、共有不動産の問題解決事例も紹介します。この記事を読めば、共有名義の不動産に関するモヤモヤが解消し、円満に問題を乗り越える具体的な道筋が見えてくるでしょう。
共有持分とは?複数人で一つの不動産を所有する権利割合
まず共有持分(きょうゆうもちぶん)とは何かを押さえておきましょう。共有持分とは、一つの不動産を複数人で共同所有している場合の「各所有者が持つ所有権の割合」のことです。たとえば3人で平等に実家の土地建物を相続したなら、各人の持分は1/3ずつということになります。持分割合は不動産登記簿にも記載されており、共有名義人それぞれが何分のいくつの権利を持つか数字で確認できます。
ポイント:持分は割合であり物理的区分ではない。
共有持分が「1/3」だからといって、家や土地の1/3部分だけを切り取って自由に使えるわけではありません。各共有者は持分割合に応じて、不動産全体を利用する権利を有します。極端に言えば、1/4の持分でも不動産全体を使う権利が認められる一方、他の共有者の権利も同じ不動産全体に及んでいるため、単独では処分や変更ができないという独特の性質があります。
共有名義になる典型ケース
共有持分の不動産が生じるケースとしては、主に次のような状況が挙げられます。
相続
親の不動産を子どもたちが法定相続分で共同相続し、そのまま共有状態になったケース。
共同購入
夫婦や兄弟姉妹、友人同士で資金を出し合ってマイホームや投資用不動産を購入したケース。
離婚の財産分与
離婚後も元夫婦が以前の自宅を共有名義のまま持ち続けるケース(処分方法が決まらないまま共有状態が継続)。
出資による持分設定
不動産投資を複数人で行い、出資額に応じて持分を割り振ったケース。
このように共有名義自体は珍しくありません。特に相続では「ひとまず兄弟で共有」という形で実家を受け継ぐことが多く見られます。ただ、時間の経過や各人の生活環境の変化に伴い、「当初は問題なかった共有」が思わぬ悩みやトラブルの種になってしまうことも少なくないのです。
共有持分のメリットは限定的
共有名義にはデメリットが多い一方、わずかながらメリットも存在します。代表的なものは以下のようなケースです。
相続税や固定資産税の負担軽減
例えば不動産を単独相続すると評価額全てに対して相続税負担がありますが、持分を分け合えば各人の負担評価額が按分され相続税負担が軽減されることがあります。固定資産税も持分割合に応じて負担するため、一人で全額払うよりは一人当たりの負担が減ります
住宅ローン控除や税特例を共有者それぞれ受けられる
夫婦で共有名義購入すれば双方が住宅ローン減税を受けられますし、自宅売却時の3,000万円特別控除(譲渡益控除)も共有者それぞれ最大3,000万円まで適用可能です。つまり夫婦共有なら合計最大6,000万円まで譲渡益が非課税になるメリットがあります。
もっとも、こうしたメリットが活きるのは相続直後やマイホーム購入・売却時など特定の場面に限られるでしょう。長期間にわたり不動産を共有し続けること自体に積極的なメリットは多くなく、次章で述べるようにむしろデメリットや問題点の方が大きくなりがちです。
共有不動産の問題点・デメリット
共有名義の不動産には、単独所有にはない様々な制約やリスクがあります。ここでは、共有持分を所有することで生じがちな主な問題点を見ていきましょう。
1.不動産を売却したくても全員の同意が必要で身動きが取れない
最も深刻な問題は、共有不動産を売却したい時に自由に売れないことです。不動産全体を売却するには共有者全員の合意が必要であり、共有者の一人でも反対すれば勝手に売ることはできません。たとえば共有者3人のうち1人が「売りたい」と思っても、残る2人が首を縦に振らなければ売却活動すら始められないのです。
実際、共有者の意見不一致はよくある話です。「兄は売って現金化したいが、弟は思い出の実家を残しておきたい」「自分はもう管理できないので手放したいが、他の共有者は将来誰かが住むかもしれないと処分を渋っている」など、方向性の違いから議論が平行線になるケースは少なくありません。さらに困るのは、共有者の一人と連絡が取れない場合です。遠方に住んでいたり音信不通だったりすると意思確認すらできず、物理的に売却の同意を得られません。このように共有不動産は資産として流動性・換金性が低いことが大きなネックになります。
2.利用方法や管理費負担を巡ってトラブルになりやすい
共有不動産では、日常の利用や維持管理に関しても対立が生じがちです。共有者それぞれに事情や考え方があるため、「誰がどのように使うか」「維持費用をどう分担するか」で揉めることがあります。
典型例として、共有者の一人が不動産を占有的に使っている場合の不満があります。例えば「弟が共有の実家にそのまま住み続けて家賃も払わないので、兄としては面白くない」というケースです。民法249条の規定では「各共有者は共有物の全部を使用できる」とされており、自分の持分がある以上、弟さんは他の共有者に賃料を払わず住み続けることも法的に不可能ではありません。しかし住んでいない兄からすれば不公平感が募りますし、話し合いで退去を求めても弟が応じなければどうしようもありません(共有者に対して明渡請求訴訟を起こすのは非常に難しいのが現実です)。
また、維持管理費や税金の負担もトラブルの種です。固定資産税や修繕費を誰がどれだけ負担するか取り決めていないと、「自分ばかり税金を払っている」「あの人は一切お金を出さないのに…」といった不満が蓄積します。実際に、共有者の一人(遠方に住む兄弟だけ)が毎年固定資産税を肩代わりしているうちに嫌気がさし、兄弟仲が悪化したケースもあります。共有状態が続く限り、こうした費用面・精神面の負担が延々とかかり続ける点も見逃せません。
3.相続が重なると権利関係がさらに複雑化する
このまま共有状態を放置すると、次世代に移って問題が深刻化するリスクもあります。例えば現在共有者が兄弟3人ならまだ顔ぶれも把握できますが、そのうち一人が亡くなり配偶者や子どもたちがその持分を相続すると、共有者の総数が一気に増えて意思統一はますます困難になります。さらに時間が経ち他の共有者にも相続が発生すれば、権利関係は芋づる式に細分化していくでしょう。共有持分の連鎖相続により「共有者が多すぎて誰が誰だかわからない」「中には所在不明の相続人もいる」といった事態になると、不動産の処分や管理は一層身動きが取れなくなってしまいます。
4.共有者の事情に自分の資産が巻き込まれる可能性
共有名義では、他の共有者の事情が自分に影響を及ぼすリスクもあります。例えば共有者の一人が多額の借金を抱えていると、その人の持分に金融機関の抵当権が設定されたり、最悪その持分が差し押さえ・競売にかけられる恐れがあります。そうなると、自分は何もしていなくても不動産全体が競売手続きに巻き込まれ、望まぬ形で失ってしまうリスクもゼロではありません。共有者各人が独立した権利者である以上、お互いの状況によって資産の安全性が左右される点にも注意が必要です。
以上のように、共有不動産には「自由に売れない・自由に使えない・トラブルが起きやすい」というデメリットがつきまといます。こうしたストレスから解放されるために、「いっそ自分の持分だけでも手放してしまいたい」と考える方が多いのも頷けます。では、具体的に共有状態を解消したり共有不動産を処分したりするには、どんな方法があるのでしょうか?次章で考えてみましょう。
共有不動産を処分・共有状態を解消する主な方法
共有名義の不動産を巡る悩みを解決するには、最終的には「共有関係を解消する」しかありません。つまり不動産を単独所有の状態に戻すか、売却して現金に換えて各自別々に分配する形に持っていく必要があります。共有状態の解消・処分の方法として考えられる主な選択肢は次の4つです。
1.共有者全員で不動産を売却する(共同売却)
共有者全員が協力してその不動産全体を売却し、得た代金を持分割合に応じて分配する方法です。全員が同意しているならこれが最もシンプルで高値で売れる解決策になります。一般の買主にとっても権利が一本化された物件の方が購入しやすく、市場価格に近い値段で売却できるでしょう。ただし前述の通り一人でも反対者がいれば成立しないため、「全員合意」というハードルが実質的に一番高い方法でもあります。
2.共有者の一人(または一部)が他の共有者の持分を買い取る
例えば兄弟3人共有なら、そのうちの1人が他の2人から持分を買い取り、自分一人の単独所有にする方法です(逆に自分以外の共有者に自分の持分を買い取ってもらって離脱するケースも含みます)。話し合いがまとまり、買い取る側に十分な資金力があれば有力な解決策です。不動産を売りに出す手間も省け、親族間でまとまるのでスムーズです。ただし実際には「そもそも買い取るお金が用意できない」「価格交渉で折り合えない」「感情的なしこりがあって話し合いにならない」などの理由で難航するケースも多々あります。
3.自分の持分だけ第三者に売却する
他の共有者との合意形成が難しい場合、自分の持分のみを不動産ごと第三者に売却する方法があります。法律上、共有者全員の同意がなくても自分の持分だけを自由に売却することは可能です。したがって他の共有者が反対していても、自分の判断で持分を手放し現金化してしまうことができます。これにより煩わしい共有関係から離脱し、自分だけ先にお金を手にすることができます。ただし、持分のみを買ってくれる第三者(買い手)を探す必要がある点が大きなハードルです。一般の人が「他人と共有状態の不動産の持分だけ」欲しがるケースは稀で、運良く見つかったとしても共有によるリスクを織り込んで安値で買いたたかれるのが通常です。後述するように、共有持分専門の買取業者や不動産投資家に相談してみるのが現実的な手段となるでしょう。
4.裁判所に共有物分割を申し立てる(競売等による強制的な処分)
どうしても話し合いがまとまらない場合、法的手段として「共有物分割請求訴訟」を起こす方法があります。民法第256条で各共有者に認められた権利で、家庭裁判所の調停を経ても解決しなければ最終的に裁判所が分割方法を決定します。分割の方法には以下の3つがあり、状況に応じて裁判所が採用します。
現物分割
不動産を物理的に分割し、それぞれ単独所有にする(広い土地を分筆して分ける等)。戸建住宅では現実には困難です。
代償分割
共有者の一人が不動産全体を取得し、他の共有者へ自分の持分相当額の代金を支払う方法。要は一人が買い取るのと同じ結果になります。
換価分割
不動産を競売にかけ、売却代金を持分割合で分配する方法(裁判所による強制売却)。
判決で競売になれば、市場価格よりかなり安い価格で落札されるのが通例です。時間も費用もかかり、当事者間の関係修復は不可能になるため、裁判による分割はまさに最後の手段といえます。「そこまで大事にしたくないが話し合いでは解決できない」という場合、前述の持分のみ第三者に売却する方法でまず自分だけでも早期に現金化するのが現実的な落としどころとなるケースが多いです。
共有持分を第三者に売却する際の注意点と手続き
上記の選択肢の中でも、他の共有者の賛同が得られない状況では「自分の共有持分だけを第三者に売る」という方法が現実味を帯びてきます。ここからは、実際に共有持分を売却すると決めた場合に知っておきたい注意点や進め方について解説します。
法律上は同意不要でも、事前に共有者へ配慮を
法律的には、自分の持分を売るのに他の共有者の同意は一切必要ありません。したがって極論すれば、共有者に無断で第三者へ持分譲渡することも可能です。ただ、現実問題として事後に共有者との関係が悪化するリスクは高いでしょう。突然見ず知らずの第三者が新たな共有者になるわけですから、感情的なわだかまりを残す恐れがあります。円満に物事を進めたいなら、事前に共有者へ事情を説明し、できれば最初に買取の打診をしてみるのが望ましい対応です。「自分としては売却を考えている。もし買い取ってもらえるなら話し合いたい」と持ちかけ、それでも難しければ第三者に売る、といったプロセスを踏めば、後々のトラブルも多少は緩和できるでしょう。
また、持分を第三者に売却する際は誰に売るかも重要です。共有持分の買取業者など専門会社であれば、売却後の共有者対応も含めて比較的スムーズに進めてくれる傾向があります。しかし中には、共有者間の対立に乗じて極端に安値で買い叩こうとする悪質な業者や、買い取った後に残る共有者を威圧して安値で全体を手放させようとするようなケースも耳にします。信頼できる実績豊富な相手かどうか、査定額の根拠を明示してくれるか、売却後のフォローまでしてくれるか、といった点をよく見極めて依頼先を選ぶことが大切です。
共有持分の売却価格は「全体価値×持分割合×調整率」
気になる売却価格ですが、共有持分の場合は通常の不動産より評価が低くなりがちです。一般的な算定プロセスは次のとおりです
1.不動産全体の市場価値の把握
まず対象不動産全体の評価額を、不動産会社の査定や不動産鑑定士の評価で算出します。これが基礎となる価格です。
2.持分割合の乗算
自分の持分割合を全体評価額に掛け合わせ、理論上の持分価値を求めます。例えば全体が2,000万円で持分50%なら理論値は1,000万円です。
3.共有による減価要因の調整
上記の理論値から、共有状態特有のリスク・制約を考慮して価格を割り引きます。買主にとって他の共有者との交渉リスクや不確実性があるため、その分ディスカウントされるイメージです。たとえば誰も住んでいない土地の持分より、他の共有者が居住中の家屋の持分の方がリスクが高いため大きく減額される、という具合です。
4.地域ニーズ等による調整
共有持分とはいえ需要が見込める人気エリアならやや高めになったり、過疎地域で流通性が低ければ一層低く評価されたりします。
こうした要素を総合して価格が決まるため、「持分割合が50%だから半分の金額」という単純計算にはなりません。買い手次第では理論値の数割程度(極端な場合は3割以下)の提示になることもあります。納得できる価格かどうか、複数の業者に査定を依頼して比較してみるのもよいでしょう。
売却時に準備すべき書類と手続きの流れ
共有持分の売却手続き自体は基本的に通常の不動産売買と同じ流れで進みます。必要な書類もほぼ共通で、以下のようなものを用意します。
登記事項証明書(登記簿謄本)
不動産の権利関係を確認するために必要です。共有者全員の氏名・持分割合や物件概要を把握できます。
公図・測量図
土地の場合、境界や形状を確認するために準備します。
身分証明書・印鑑証明書
売主本人確認と実印の証明のため必須です。
固定資産税納税通知書
毎年の固定資産税評価額や税額を確認できる書類。未納がないかの確認にも使います。
買主が見つかったら、宅地建物取引士による重要事項説明を受けたうえで売買契約書を取り交わします。契約締結後、残代金の支払いと同時に持分の所有権移転登記を行い、取引完了です。なお、共有持分を不動産会社に直接買い取ってもらう場合は仲介手数料が不要なことが多く、個人間売買と比べ手続きも簡略化されます。信頼できる不動産会社であれば、書類準備も含めて丁寧にサポートしてくれるはずです。
注意:他の共有者に事前通知なく持分を売却した場合、売却後に残った共有者から不満やクレームが出る可能性はあります。しかし売却手続き自体は適法に完了しているため、基本的に契約が取り消されることはありません。「売却後、他の共有者から『知らない人と共有するのは困るから持分を買い戻したい』と言われたらどうなるのか?」と心配されるかもしれませんが、その場合は新たな共有者(買主)と残った共有者間の交渉になります。売却したあなた自身は既に権利者ではなくなっていますので、その意味ではトラブルから解放されている状態です。
専門家に相談すべきケースとは?共有持分問題をプロに任せるメリット
ここまで共有持分不動産の様々な対処法を見てきましたが、現実には「自分たちだけでは解決が難しい…」というケースも多いでしょう。共有者間の話し合いが決裂していたり、法律手続きを検討せざるを得なかったりする場合、早めに専門家へ相談することを強くおすすめします。不動産の共有問題に詳しい専門家に任せることで、次のようなメリットがあります。
的確なアドバイスで最適解が見つかる
共有不動産の扱いには法律・税務・不動産市場それぞれの知識が必要です。専門家なら状況を客観的に分析し、「まず〇〇を試し、それがダメなら▲▲へ」といった筋道を示してくれます。素人判断で遠回りするリスクが減ります。
第三者の介入で話し合いがスムーズに
利害の対立している共有者同士だけでは感情的になりがちですが、プロが間に入ることで冷静な協議が進むこともあります(※弁護士でない不動産業者が共有者間の交渉代理人になることはできませんが、各種アドバイスやサポートは可能です)。
複雑な手続きを任せられる
裁判所への申立てや登記変更、測量など、自分で対応しきれない手続きも専門家ネットワークを通じてスピーディーに対応できます。弁護士・司法書士・土地家屋調査士などとの連携体制が整っている業者だと安心です。
買い手探しの負担が減る
特に共有持分の第三者売却を検討する場合、専門の買取業者に相談すれば自ら買い手を探す必要がなくなります。査定から契約までワンストップで進められ、思ったよりスムーズに現金化できるケースも多いです。
早めの相談が肝心です。共有状態の不安やストレスを抱え続けるほど、時間も労力も浪費してしまいます。実家が空き家になっている場合は、放置期間が長くなると建物の老朽化や防犯上のリスクも高まります。空き家は早期に対策しないと倒壊などで近隣に迷惑をかける恐れもあり、自治体から是正指導が入るケースもあります。そうなる前に、ぜひ専門家へ相談してみましょう。
ではここで、実際に専門業者の力を借りて共有持分問題を解決した事例を一つご紹介します。
【事例紹介】共有持分買取で空き家問題を解決したケース
最後に、実際に当社で対応した長屋物件の買取事例をご紹介します。長屋の売却がどのように進むのか、イメージをつかんでいただければと思います。
ケース
東京都新宿区にある築40年の戸建て(空き家)。両親の相続で兄弟二人が持分50%ずつ共有名義となっていました。兄は自宅を別に所有しており、この実家を早く売却して現金化したいと希望。しかし弟は「思い出の家を残したい」と反対し続け、話し合いは平行線のまま1年以上が経過。家は空き家のまま管理も行き届かず、庭は荒れ放題で近隣から苦情も出始めました。兄は固定資産税や維持費の負担に疲弊し、当社フィリアコーポレーションに相談が寄せられました。。
当社の対応
ご相談を受けた当社は早速物件の調査を実施。不動産市場的には老朽空き家+共有持分という難しい条件でしたが、立地や土地の評価を踏まえ当社が兄の持分50%を直接買取りする提案を行いました。弟さんには事前に兄から「自分の持分を手放す」意思を伝えていただき、当社が新たな共有者として弟さんと協議する形で進めることに。同意不要とはいえ事前説明いただいたことで、弟さんも「仕方ない」と状況を受け入れました。
結果
兄は当社との契約締結後、1週間で持分の売却代金を現金化できました。長年の空き家管理負担と税負担から解放され、ほっと胸を撫で下ろされています。一方弟さんは他社の知らない第三者と共有する形になりましたが、当社担当者が丁寧に今後の方針を説明し信頼関係の構築に努めました。その後約2年かけて弟さんとも協議を重ね、最終的には建物を解体して土地を当社と弟さんの共有名義で一般売却することで合意。無事に土地を買い手に引き渡し、弟さんにも売却代金から持分相当額をお渡しして、共有不動産は円満に整理されました。
ポイント
このケースでは、兄が持分を売却することで早期に経済的負担から解放され、弟さんも時間をかけて気持ちの整理をつけ、納得の上で不動産を手放すことができました。当社のような専門業者が間に入ることで、当初は対立していた共有者双方にとって結果的にプラスとなる解決が実現したのです。共有持分の買取は「共有者間の直接対決」を避ける有効な手段であり、プロの手に委ねることで泥沼化せずスマートに問題を解消できる好例と言えるでしょう。
よくある質問(FAQ)
Q
他の共有者の同意なく、私の持分だけを勝手に第三者に売却しても法的に問題ありませんか?
Q
共有持分の売却価格の相場はどのくらいになりますか?
Q
共有持分を売却したら税金(譲渡所得税)はかかりますか?
Q
共有者の一人が売却に反対しています。それでも自分の持分を売る方法はありますか?
まとめ:共有持分の処分は早めの行動でトラブル回避を
共有名義の不動産は、放置すると時間の経過とともに問題が深刻化しがちです。「売りたいのに売れない」「使っていないのに維持費だけかかる」といったストレスを抱え続けるほど、精神的な負担も大きくなります。幸い、共有持分だけでも売却する方法は法律で認められており、専門の不動産会社を活用すれば思ったよりスムーズに現金化できるケースも増えています。本記事で解説したように、共有不動産の処分にはいくつかの手段がありますので、現状に合わせて最適な方法を検討してみてください。
特に誰も住んでいない空き家状態の共有不動産は、早期に対策を講じることが肝心です。空き家は持ち続けるほど固定資産税等のコストがかさみ、建物が老朽化すれば思わぬ事故や災害時の危険も高まります。将来の相続で権利者が増える前に、今の世代できれいに整理しておくことがご家族全体の安心にもつながるでしょう。
共有者との話し合いが難しい場合でも諦める必要はありません。専門業者への相談や持分売却という選択肢を使えば、あなた自身は大切な思い出を胸に経済的・精神的負担から解放されることができます。そしてプロの手に委ねることで、残る共有者についても最終的には適切な落としどころへ導いてもらえる可能性があります。
共有持分の問題は一人で悩まず、ぜひ早めに信頼できる専門家へ相談してみてください。適切なアドバイスとサポートを受けて行動することで、きっと現在の行き詰まった状況を打開できるはずです。
監修者

越川直之
代表ブログへ
株式会社フィリアコーポレーション代表取締役の越川直之です。
当社は空き家や再建築不可物件、共有持分など、一般的に売却が難しい不動産の買取・再販を専門とする不動産会社です。
これまでに1000件以上の相談実績があり、複雑な権利関係や法的・物理的制約のある物件にも柔軟に対応してきました。
弊社ホームページでは現場経験に基づいた情報を発信しています。
当社は地域社会の再生や日本の空き家問題の解決にも取り組んでおり、不動産を通じた社会貢献を目指しています。