コラム記事

再建築不可物件の価格をまるごと解説

公開日 2026年3月15日

最終更新日 2026年3月15日

監修者
越川直之

越川直之(宅地建物取引士 / 空き家相談士)

代表ブログへ

訳アリ不動産1,000件以上の相談実績を持つ、空き家・再建築不可・長屋・共有持分の専門家。株式会社フィリアコーポレーション代表取締役。現場経験に基づき、訳アリ不動産売却の正しい知識を監修しています。

再建築不可物件の価格相場

再建築不可物件の価格は、一般的な不動産相場と比べると「3割から7割引き」という、時に衝撃的とも言える安さで取引されるのが通例です。この割引率にこれほど大きな幅があるのは、土地のポテンシャルやエリアに左右されるためで、「相場がいくら」と方程式のように算出できないのが実務のリアルな難しさです。

実務において特筆すべきは、5,000万円を超える再建築不可物件にはまず出会わないという点です。これまで数多くの物件を見てきましたが、どんなに都心の好立地であっても、このラインが一つの高い壁になります。なぜなら、再建築不可物件は住宅ローンの審査を通すのが極めて難しく、購入者のほとんどが「現金一括」での決済を前提としているからです。ローンが使えない以上、数億円といった高価格帯は成立せず、必然的に「現金で買える範囲」に価格が抑え込まれます。

都心で「少し工夫すれば再建築可能になる」物件なら3割引き程度で踏みとどまることもありますが、地方の出口が見えない物件では7割引きでも買い手がつかないことも珍しくありません。このように、通常の不動産市場のルールが通用しない特殊な値動きこそが、再建築不可物件の最大の特徴と言えるでしょう。

では、なぜそこまで極端に価格が下がってしまうのでしょうか。次は、その決定的な理由について深掘りしていきましょう。

再建築不可物件の価格が安くなる理由

再建築不可物件が相場より大幅に安くなる理由は、単純に「古いから」だけではありません。不動産の価値とは、その土地を「どう使えるか」という自由度と将来性に直結しているからです。

通常、土地の価格には「新しく建物を建てる権利」という価値が含まれています。しかし、再建築不可物件はこの権利が法的に制限されているため、土地としてのポテンシャルが根底から損なわれています。万が一、火災や地震で家を失っても二度と建て直せないというリスクは、買い手にとって極めて重い心理的・経済的な負担となります。

また、市場原理として「買い手が極端に限定される」ことも価格を押し下げる大きな要因です。一般的な住宅ローンが使えないため、ターゲットは「現金一括で購入できる投資家」や「特殊な事情を持つ近隣住民」などに絞られてしまいます。需要が少なければ、価格を大幅に下げざるを得ないのが不動産取引の現実です。

こうした「法的な縛り」と「市場の狭さ」に加え、具体的にどのようなリスクやコストが価格を下落させているのか、以下の4つのポイントから詳しく見ていきましょう。

  • 増改築ができない
  • 住宅ローンの審査が通りにくい
  • 老朽化が進み活用が制限される
  • 改修コストがかさむ場合がある

増改築ができない

2025年の法改正は、再建築不可物件の資産価値に決定的な打撃を与えました。これまで木造2階建て住宅などの小規模建築物で認められていた「4号特例(建築確認の簡略化)」が事実上廃止され、多くの物件が「新2号建築物」という枠組みに組み込まれたからです。

これにより、壁や柱などの構造部に手を加える「大規模な修繕」や「模様替え」を行う際には、必ず建築確認申請が必要になりました。しかし、再建築不可物件はそもそも接道義務を満たしていないため、申請を出しても許可が下りることはありません。つまり、柱が腐食したり耐震性能を高めたかったりしても、法的に「根本的なメンテナンスができない」という行き止まりの状態に陥るのです。

買い手からすれば、建物の寿命を延ばすためのリノベーションが禁じられている物件に高い金額は払えません。この「将来的に直せなくなる」という確実なリスクが、現在の取引価格を押し下げる最大の足かせとなっています。古い建物を騙し騙し使うしかないという制約は、不動産としての評価を最低レベルまで引き下げてしまうのです。

住宅ローンの審査が通りにくい

再建築不可物件の価格が安くなる最大の要因の一つが、住宅ローンの審査が極めて通りにくいことです。金融機関にとって、不動産融資は「土地と建物」を担保にする行為ですが、再建築不可物件は「建物がなくなれば、更地としての活用価値が著しく低い」と評価されます。万が一、火災や震災で家を失った際、二度と新しい建物を建てられない土地は、銀行にとって債権回収不能に陥るリスクが非常に高いのです。

そのため、一般的なメガバンクや地方銀行では門前払いされることが多く、融資を受けられるのは「L&Fアセットファイナンス」などの一部の専門的な金融機関や、ノンバンクに限られます。しかも、こうした機関の融資は、通常の住宅ローンよりも高い金利が設定されることが一般的であり、借り手の月々の負担は大きくなります。

このように「ローンが組めない=現金で購入できる限られた層しか買えない」という市場の制約が、物件の流動性を著しく下げ、結果として価格を大幅に押し下げる決定的な要因となっています。

老朽化が進み活用が制限される

再建築不可物件の多くは昭和の時代に建てられたものであり、現代では深刻な老朽化という現実に直面しています。「建て替えも大規模リフォームも難しいなら、建物を壊して別の用途で活用すればいい」という声も聞かれますが、ここにも厳しい制約が待ち構えています。

例えば倉庫としての活用ですが、昨今は最新設備のコンテナハウスや宅配型トランクルームといった競合が激化しており、管理の行き届かない古家を流用しただけでは、得られる収益は極めて限定的です。また、更地にして駐車場にするという案も、そもそも「再建築不可」の最大の原因が「道路の狭さ」にあるため、車が進入できない、あるいは駐車が困難であるといった物理的な問題で、駐車場としての体をなさないケースが大半です。

結局のところ、住居としても、あるいはビジネス用途としても「活用の選択肢」が極端に狭まってしまうのです。この「出口のなさ」が、物件の資産価値をさらに削り取っていると言わざるを得ません。そして、たとえこのまま使い続けるために最低限のメンテナンスを選んだとしても、特殊な立地ゆえに避けては通れない「費用の壁」が存在します。

改修コストがかさむ場合がある

再建築不可物件の多くは、昭和以前の古い建物であり、現代の基準から見ると「満身創痍」な状態が珍しくありません。一見、内装を綺麗にするだけで住めそうに見えても、実は基礎や構造部分がボロボロで、修繕箇所が雪だるま式に増えていくのは「この業界のあるある」です。しかも、建物自体の寿命が限界に近いため、一度直しても別の場所で不具合が再発しやすく、まさに「底の抜けたバケツ」に資金を投じるようなリスクを常に孕んでいます。

さらに、工事費用を劇的に跳ね上げる最大の要因が、その「立地」です。再建築不可の原因が道路の狭さにある場合、工事用のトラックや重機が自宅の前まで辿り着けません。

  • 資材の手運び(小運搬):離れた広い道路にトラックを停め、そこから職人が人力や台車で資材を運ぶ必要があります。
  • 人件費の増大:通常ならクレーン一回で終わる搬入に数人の職人が半日以上拘束されるため、人件費は相場の1.5倍〜2倍に膨らむことも珍しくありません。

こうした「直すためのコストが異常に高いのに、直しても再建築不可のまま」という投資効率の悪さが、買い手の意欲を削ぎ、物件価格を押し下げる決定的な要因となっているのです。

再建築不可物件の価格が決まる要素

再建築不可物件の価格は、一般的な不動産以上に「一点モノ」の性質が強く、複数の要素が複雑に絡み合って決まります。単に「再建築不可だから一律〇〇%引き」という単純な計算では、その真の価値を測ることはできません。

特に2025年の法改正で「4号特例」が廃止された今、建物のコンディションはこれまで以上に価格を左右する決定的な要因となりました。かつては「ボロボロでもフルリノベーションして再生する」という力技が通用しましたが、今後は確認申請が必要な大規模改修が実質的に封じられるため、現況の良し悪しがそのまま資産価値に直結します。あまりに損傷が激しい物件は、修繕のしようがないため専門業者ですら買い取りを躊躇するほど、査定の現場はシビアになっています。

具体的にどのようなポイントが、あなたの物件の「最終的なプライス」を左右するのか。実務的な視点から、価格形成に欠かせない4つの重要指標を順に解説していきます。

  • 立地の環境
  • 建物のコンディション
  • 敷地の形状
  • 隣地との交渉状況

立地の環境

再建築不可物件の評価において、最も大きなウエイトを占めるのが「立地の環境」です。こうした物件は、自ら住むマイホームとしての需要以上に、賃貸に出して利回りを狙う不動産投資家からの注目が集まります。特に弊社がメインとしている一都三県(東京・埼玉・神奈川・千葉)のエリアは、全国でも類を見ないほど賃貸需要が厚いため、立地が良ければ「再建築不可」というハンデを吹き飛ばすほどの価格で取引されることもあります。

投資家が重視するのは、将来の建て替え可能性よりも「今の稼働力」です。具体的には、最寄り駅から徒歩10分圏内であることや、乗降客数が多く活気のあるターミナル駅が生活圏内にあるかどうかが、査定額に直結します。駅から近い物件であれば、2025年の法改正で大規模改修に制限がかかったとしても、「多少古くても安く住みたい」という層からの安定した家賃収入が見込めるからです。

逆に、利便性が低いエリアの再建築不可物件は、投資対象からも外れてしまい、価格は一気に底を這うことになります。立地の良さは、出口の見えにくい再建築不可物件における最大の「セーフティネット」と言えるでしょう。

建物のコンディション

再建築不可物件の査定において、今や最も重要な指標となっているのが「建物のコンディション」です。前述した2025年の「4号特例」廃止により、法的な許可が下りない再建築不可物件では、建物の骨組みに及ぶような大規模な修繕が事実上不可能となりました。この法改正のインパクトは凄まじく、私たちのような専門の買取業者であっても、構造部分がボロボロな物件は「法的に再生の手段がない」と判断し、取り扱いを断念せざるを得ないケースが増えています。

再建築不可物件の価格が内装状況に強く依存するのは、それが「投資利回りに直結するから」です。

  • 内装が良好な場合:軽微なクリーニングや表面的な設備の交換だけで賃貸に出せるため、即戦力の収益物件として高く評価されます。
  • 構造や内装が崩壊している場合:多額の修繕費がかかる上に、法規制によって直せる範囲に限界があるため、投資効率が極めて悪く、価格は二束三文になります。

つまり、「直せるうちに適切にメンテナンスされてきたか」という現況が、再建築不可物件における価値のすべてと言っても過言ではありません。

敷地の形状

再建築不可物件の査定において、土地の「形状」は資産価値を左右する極めて現実的な指標となります。法的に「建てられない」という点では同じでも、その土地が持つ物理的なスペックによって、買い手のつきやすさと価格には天と地ほどの差が生まれるからです。

例えば、目の前の通路が建築基準法上の道路ではなくても、幅員が4メートル近くある場合は「見た目」が通常の住宅と変わりません。救急車も入りやすく、圧迫感がないため、再建築不可の中では最も高く評価される「優等生」な物件といえます。

対して、価格が大きく下落するのが以下のようなケースです。

  • 狭小な間口(敷地延長型):道路に接する間口が2メートルに満たない、いわゆる「旗竿地」の竿部分が極端に狭い物件です。日当たりが悪く、自転車の出し入れすら不便なため、居住用としての評価は著しく低くなります。
  • 高低差のある崖地:崖の上に位置する物件は、日当たりや眺望こそ抜群ですが、崩壊のリスクや擁壁(ようへき)のメンテナンス費用が重くのしかかります。「建て替えられない家を崖の上に持ち続ける」というリスクを嫌気され、二束三文の値を付けられることも珍しくありません。

一概に「再建築不可だから安い」と片付けることはできず、その土地の個性をプロの目でどう読み解くかが、適正価格を導き出す鍵となります。

隣地との交渉状況

再建築不可物件の価格を劇的に跳ね上げる「魔法」があるとするなら、それは隣地との合意です。隣地の一部を買い取ったり、借りたりして接道義務を満たすことができれば、その土地は「普通の土地」へと化け、資産価値は何倍にも膨れ上がります。

しかし、ここで最も注意すべきなのが「交渉の有無」というポイントです。我々専門業者が査定を行う際、現在の状況と同じくらい「将来の可能性」を重視します。もし、所有者の方がすでに隣人に打診して「絶対に協力しない」と断られていた場合、その物件の価値向上ルートは完全に閉ざされたとみなされ、査定額はシビアに下がります。逆に、まだ誰も手を付けておらず、プロが交渉する余地が残っている物件は、その「期待値」の分だけ価格が高くつくのです。

現場を知る人間としてお伝えしたいのは、「素人による隣地交渉は、原則としてしない方が良い」ということです。隣人にとっては、自分の敷地を削ってお隣さんの資産価値を上げるメリットは乏しく、下手に動くと感情的なもつれから交渉が決裂するケースが大半だからです。

一度断られて「可能性ゼロ」のレッテルを貼られてしまう前に、交渉のカードは伏せたままプロに託す。これが、再建築不可物件を少しでも高く評価してもらうための、鉄則とも言える戦略です。

再建築不可物件の価格を相場よりも高く方法

再建築不可物件を「相場より高く売る」ことは、現実的に難しいのが事実です。しかし、戦略次第でその価値を最大化し、一般的な「二束三文」の評価を覆すことは十分に可能です。大切なのは、物件の弱みを隠すのではなく、特定のニーズを持つ買い手や、その弱みを解決できるノウハウを持ったプロをいかに味方につけるかという「出口戦略」の構築です。

再建築不可物件は、買い手から見れば「リスク」の塊ですが、適切な対策を講じることで、そのリスクを「管理可能なコスト」や「将来の伸び代」へと変換できます。特に2025年の法改正以降、これまで以上に「物件をどう見せるか」「誰に売るか」の選択が重要になっており、初期段階での動き方が最終的な手残りの金額を大きく左右します。

単なる値下げ競争に巻き込まれず、あなたの物件が持つポテンシャルを最大限に引き出し、納得のいく価格を引き出すための具体的な4つのステップを解説します。

  • 複数業者の査定額を比較する
  • 担当者の対応姿勢を確認する
  • 改修・修繕で資産価値を高める
  • 再建築不可となる理由を取り除く

複数業者の査定額を比較する

再建築不可物件の価格査定は、一般的な不動産会社にとって非常に難易度の高い作業です。通常の物件であれば「周辺の取引事例」や「公示地価」をベースに機械的に算出できますが、再建築不可物件には標準的な計算式が存在しません。そのため、大手不動産会社や地元の一般業者に依頼すると、リスクを過大に評価して極端に低い査定額を提示されたり、最悪の場合は「取り扱い不可」と断られたりすることも珍しくありません。

価格が業者によって数百万円単位で大きくばらつくからこそ、弊社のような「再建築不可物件を専門に扱う会社」に絞って、複数社に相談することを強くお勧めします。専門業者はそれぞれ、独自の低コスト修繕ノウハウや、特定のエリアでの賃貸運営ルート、隣地交渉の成功データを持っています。ある業者にとっては「出口が見えない物件」でも、別の業者にとっては「得意な収益パターン」に合致し、驚くような高値がつくケースも多々あります。

1社だけの言い値を信じてしまうのは、本来手にできるはずの利益を捨ててしまうようなものです。複数の専門家の視点を比較し、その物件が持つ「隠れた価値」を最も高く評価してくれるパートナーを見つけることが、高値売却を実現するための鉄則です。

担当者の対応姿勢を確認する

不動産売却において、最も大切なのは「会社名」よりも「誰が担当するか」という担当者個人の質です。特に再建築不可物件のような難易度の高い案件では、この人間力が結果を180度変えてしまいます。

正直なところ、再建築不可物件は一般的な不動産業界では「不人気な商材」です。物件価格が安いために仲介手数料も少額になりがちで、その割に引き渡し後のトラブルリスクや法的調査の難易度が極めて高いからです。多くの担当者は「手間ばかりかかって実入りが少ない」と敬遠し、内心では「早く終わらせたい」と、熱意を持って取り組んでくれないのが現実です。

だからこそ、査定を依頼した際の担当者の反応を鋭く観察してください。通り一遍の減点方式で安値を提示するだけか、それとも物件の個性を面白がり、解決策を必死に模索してくれるか。私のような専門家からすれば、誰でも扱えるような普通の不動産は正直つまらなく、お断りすることすらあります。一癖も二癖もある難件にこそ、プロとしての腕の見せ所があり、パズルを解くような情熱が湧くものです。

「面倒な物件ですね」と顔をしかめる担当者ではなく、リスクを理解した上で「どう価値を最大化しようか」と前向きに提案してくるパートナーを選べるかどうかが、売却成功の分岐点となります。

改修・修繕で資産価値を高める

再建築不可物件において、建物の状態を良くすることは価値向上に直結しますが、「売主側でどこまでリフォームすべきか」は非常に慎重な判断が求められます。

最大の懸念点は、売主が良かれと思って施したリフォームが、買主の「センスや好み」と合致しないリスクです。内装のデザインや間取りの好みは人それぞれ。売主が多額の費用を投じてピカピカに直したとしても、買主が「もっとヴィンテージ風にしたかった」「DIYを楽しみたかった」と感じれば、リフォーム費用分が価格に上乗せされることを敬遠されてしまいます。

あえて修繕前の状態で引き渡しを行うことは、今の不動産市場では非常に有効な戦略です。買主は「自分好みの空間に作り替える楽しみ」を享受でき、売主は「リフォーム費用を回収できない」というギャンブルを避けられます。特に再建築不可物件を探す層には、低予算で手に入れて自分の手で再生させたいというニーズが多いため、未完成の状態の方がむしろ引き合いが強いこともあります。

ただし、雨漏りやシロアリ被害といった「建物の寿命を縮める致命的な不具合」は別問題です。表面的な化粧ではなく、「次に住む人が安心してカスタマイズを始められる土台」が整っているか。この視点で最小限のメンテナンスに留めることが、結果として手残りの現金を最大化する賢い方法と言えるでしょう。

再建築不可となる理由を取り除く

再建築不可物件は、法的な制約や接道義務の不備など、さまざまな要因から「資産価値が低い」とみなされています。しかし、逆を言えば、それらの要因を一つずつ紐解いて解決し、再建築ができる状態に整えることができれば、その資産価値は劇的に高まります。不動産取引において、これほどリターンの大きい「価値の転換」は他にありません。

「建てられない」というレッテルを剥がすことができれば、買い手の対象は一気に広がり、住宅ローンの利用も可能になります。その結果、相場より数割安かった物件が、一転して通常の市場価格で取引される「一級品」へと生まれ変わるのです。もちろん、すべての物件で解決策があるわけではありませんが、法的な出口を正しく見極め、物理的なハードルを越えることができれば、眠っていた資産を黄金に変えることも夢ではありません。

ここからは、再建築不可という足かせを外して資産価値を最大化させるための、具体的かつ現実的な3つのアプローチについて詳しく解説していきます。

  • セットバックを行う
  • 接道要件の特例許可を申請する
  • 隣地の一部を買い取る

セットバックを行う

「セットバック」は、再建築不可というハンデを一気に解消し、資産価値を劇的に跳ね上げ1つの解決策です。

特に「42条2項道路」に面している場合、道路の中心線から2メートル後退(セットバック)して将来の道路幅を確保する約束をすることで、正式に「建て替え可能な土地」として認められます。敷地面積こそ少し削られますが、それ以上に「自由に建て直せる」という権利が付加されるため、不動産としての評価は一気に跳ね上がり、将来の売却も格段にスムーズになります。いわば、土地の一部を差し出すことで、資産全体のポテンシャルを解放する「攻めの投資」と言えるでしょう。

ただし、この「価値向上の魔法」を確実に成功させるためには、一つだけ冷静に確認すべき注意点があります。それは、目の前の道が建築基準法上の「法律に定められた道路」であるかどうかです。

  • 意味のあるセットバック:42条2項道路など、法的な指定がある道路。
  • 注意が必要なケース:法的な指定がない、ただの「通路」や「空地」。

法律上の道路ではない単なる通路で、独断で敷地を下げても、役所からの再建築許可は下りず、ただ土地を狭くするだけに終わってしまうリスクがあります。せっかくの前向きな計画を無駄にしないためにも、まずは自治体の建築指導課などの窓口で、目の前の道が「セットバックによって救済される道なのか」を正確に把握することから始めましょう。

接道要件の特例許可を申請する

「道に接していないから諦める」のはまだ早いです。物理的に道路を広げられなくても、法的な「例外」を勝ち取ることで建て替えを可能にするのが、この「接道要件の特例許可」(建築基準法第43条第2項第2号許可など)です。

これは、敷地と道路の間に水路や「赤道(あかみち)」と呼ばれる古い公有地が挟まっていて、形式上は接道義務を満たしていない場合などに適用されます。たとえ法律上の道路に接していなくても、敷地の周囲に広い空地がある、あるいは避難や防火に支障がないと判断され、自治体ごとの厳しい許可基準をクリアすれば、例外的に「建てて良い」というお墨付きが得られるのです。

この許可を得られる見込みが立つだけで、物件は「一生直せない家」から「適法に建て替えられる資産」へと劇的な変貌を遂げ、価格相場も一気に跳ね上がります。ただし、許可の基準は各自治体の「特定行政庁」によって驚くほど細かく異なり、申請から許可が下りるまでには最短でも1か月程度の時間を要します。

自分一人で役所と交渉するのはハードルが高いですが、専門知識を持つプロを介して「許可の可能性」を明確に提示できれば、買い手への大きなアピールポイントとなるでしょう。

隣地の一部を買い取る

再建築不可物件という難問に対する1つの解決策が、この隣地購入です。

現在の敷地が道路と接している幅(間口)が2メートルに満たない場合でも、隣地の一部を買い足して間口を広げることで、建築基準法が定める「接道義務」を正式にクリアできます。たとえ買い取る面積がわずか数十センチであっても、その瞬間に物件は「再建築可能」な資産へと昇格し、価格が数倍に跳ね上がることも珍しくありません。

しかし、この方法は「諸刃の剣」でもあります。前述した通り、不用意に交渉を持ちかけて断られてしまうと、「将来も解決の見込みがない物件」というレッテルを貼られ、かえって資産価値を下げてしまうリスクがあるからです。隣地所有者との関係が非常に良好であれば、まずは世間話の延長で相談してみる価値はありますが、少しでも不安がある場合は、中立的な立場からメリット(測量費の負担や境界の確定など)を提示できるプロに間に入ってもらうのが賢明です。

「隣の土地を少し手に入れる」という一見シンプルなアクションが、出口の見えない再建築不可物件における最大の突破口になるのです。

再建築不可物件の価格に関するよくある質問

再建築不可物件を買うメリットは何ですか?

再建築不可物件を購入する最大のメリットは、何と言っても「購入価格の圧倒的な安さ」にあります。一般的な物件相場よりも3割から7割ほど安く手に入るため、限られた予算で利便性の高いエリアに拠点を持ちたい方にとって、非常に有力な選択肢となります。

特に弊社のお客様で多いのが、高齢者の方が「終の棲家」として購入されるケースです。今後建て替えをする予定がなく、今の建物を維持しながら静かに暮らしたいという方にとって、取得コストを抑えられる再建築不可物件は、老後資金を圧迫しない賢い買い物となります。

また、投資用物件としてのポテンシャルの高さも見逃せません。

  • 高利回り運用:購入価格は格安ですが、貸し出す際の家賃は近隣相場から極端に下がるわけではありません。そのため、投資額に対するリターン(利回り)が10%を超えるような高収益を実現しやすくなります。
  • 税負担の軽減:資産価値が低く見積もられるため、毎年かかる固定資産税や都市計画税も安く抑えられ、維持費のコストパフォーマンスが非常に高いのが特徴です。

将来の「建て替えができない」という制約を、「安く買って、賢く使う」ための条件としてポジティブに捉えられる人にとって、これほど魅力的な不動産は他にありません。

再建築価格の目安はどのくらいですか?

再建築価格とは、対象となる建物を「今(2026年時点)新築した場合にいくらかかるか」を算出した価格のことです。これは不動産の「積算評価」において、建物の担保価値を決定するための重要な基準となります。

一般的に、金融機関が融資審査の際に用いる構造別の基準単価は以下の通りです。

【構造別:再建築価格の目安(1平米あたり)】

  • 鉄筋コンクリート造(RC):20万円
  • 重量鉄骨造:18万円
  • 軽量鉄骨造:15万円
  • 木造:15万円

建物の現在の評価額(積算価格)を算出する際は、この再建築価格に「残された法定耐用年数」を掛け合わせて計算します。

【積算価格の計算式】積算価格=(再建築価格×延床面積)×(残法定耐用年数÷法定耐用年数)

例えば、延床面積1,000平米・築19年の鉄筋コンクリート造(法定耐用年数47年)の場合、計算上の積算価格は「2億円×(28年÷47年)」となり、約1億1,914万円となります。

ただし、これらの単価はあくまで銀行が評価を下すための「定規」に過ぎません。2026年現在の首都圏では、資材価格の高騰や人件費の上昇により、実際の建築費はこの目安を大幅に上回っているのが実情です。そのため、銀行の評価額と、実際に市場で取引される価格には大きな乖離が生じやすい点に注意が必要です。

再建築不可物件は2025年からどうなりましたか?

2025年4月の建築基準法改正により、再建築不可物件を取り巻く環境は激変しました。最大の変化は、これまで木造2階建て住宅などに認められていた「4号特例」が事実上廃止され、新たに「新2号建築物」という区分が導入されたことです。

これにより、柱や壁といった構造部に手を加える「大規模な修繕」や「模様替え」を行う際には、原則として建築確認申請が必要になりました。しかし、再建築不可物件はそもそも接道義務を満たしていないため、申請を出しても許可が下りません。つまり、ボロボロになった家を根本から直すことが法的に「不可能」になったのです。この影響で、老朽化が激しい物件は取り扱える不動産会社が激減し、市場価格も大幅に下落する傾向にあります。

ただし、弊社が注力している「一都三県」エリアについては、少し状況が異なります。もともとの土地需要が非常に強いため、内装の傷みが軽微で、表面的なリフォームだけで十分に住める、あるいは貸し出せる状態であれば、投資家や実需層からの需要は依然として高いままです。法改正によって「直せる物件」と「直せない物件」の格差が広がった今、早めのコンディション確認が資産価値を守る鍵となっています。

監修者
越川直之

越川直之(宅地建物取引士 / 空き家相談士)

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株式会社フィリアコーポレーション代表取締役の越川直之です。
当社は空き家や再建築不可物件、共有持分など、一般的に売却が難しい不動産の買取・再販を専門とする不動産会社です。 これまでに1000件以上の相談実績があり、複雑な権利関係や法的・物理的制約のある物件にも柔軟に対応してきました。 弊社ホームページでは現場経験に基づいた情報を発信しています。
当社は地域社会の再生や日本の空き家問題の解決にも取り組んでおり、不動産を通じた社会貢献を目指しています。

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