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共有持分だけ売ることはできる?単独売却の方法と注意点

公開日 2025年9月8日

最終更新日 2025年9月5日

「もう、他の共有者と顔を合わせるのも限界で…」そう涙ながらにご相談に来られる方は、決して少なくありません。共有名義の不動産は、大切な家族との関係までこじらせてしまうことがあります。ですが、ご安心ください。問題を解決する方法は、必ずあります。この記事では、あなたを長年苦しませてきた共有持分の悩みから解放され、新たな一歩を踏み出すための具体的な「売却方法」について、実例を交えながらお話しします。

目次

結論、共有持分は第三者の同意不要で売れる!民法で認められたあなたの権利

この章では、共有持分の売却に関する基本的な権利について、以下の3つのポイントから解説します。

  • あなたの財産である「共有持分」の正体とは
  • なぜ他の共有者の同意がなくても売却できるのか
  • ただし「不動産全体」の売却には全員の同意が必要

まず大切な結論として、あなたの「共有持分」は、他の誰の許可も得ずに売却することが法律で認められています。これは、れっきとしたあなた個人の財産権だからです。ただし、不動産そのものを丸ごと売却する場合とは根本的にルールが異なります。この章で、その権利の根拠と、トラブルを避けるために正しく理解しておくべき境界線について、わかりやすくご説明します。

あなたの財産である「共有持分」の正体とは

共有持分とは、一つの不動産を複数人で所有している場合の「各自が持つ所有権の割合」を指します。土地や建物を物理的に分割しているのではなく、目には見えない権利を割合で持っている状態とイメージしてください。例えば、ご兄弟2人で実家を相続した場合、特に取り決めがなければそれぞれの共有持分は2分の1ずつとなります。この持分は、土地や建物と同じくあなた個人の独立した財産として法的に認められています。そのため、ご自身の持分割合に応じた固定資産税を支払う義務がある一方、その持分だけを売却したり、担保に入れたりする権利も持っているのです。

なぜ他の共有者の同意がなくても売却できるのか

ご自身の共有持分を売却する際に、他の共有者の同意が一切不要なのは、民法で所有者の権利が保障されているためです。民法第206条では「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する」と定められています。あなたの持分は、法的にあなた自身の「所有物」にあたります。したがって、他の共有者が売却に反対していようとも、ご自身の判断だけで売却(処分)することが法的に可能なのです。これは株の売買に似ており、自分が持つ株を売るのに他の株主の許可が必要ないのと同じ理屈です。

ただし「不動産全体」の売却には全員の同意が必要

ご自身の持分だけなら自由に売却できますが、土地や建物といった「不動産そのもの」を売却するとなると話は全く別です。不動産全体を売却する場合、共有者全員の同意が絶対に必要となります。これは民法第251条で、共有物を処分するような「変更行為」には、共有者全員の同意を得なければならないと定められているためです。たとえあなたの持分が半分以上あっても、一人でも反対する共有者がいれば、不動産全体を売ることはできません。多くの方が「共有不動産は売却が難しい」と感じる最大の理由が、まさにこの点にあるのです。

あなたの持分を円満に売却する3つの方法

では、実際にあなたの持分を売却するには、どのような方法があるのでしょうか。この章では、主に以下の3つの方法について、それぞれの特徴を解説していきます。

  • 方法1:他の共有者に買い取ってもらう
  • 方法2:不動産仲介で一般の買主を探す
  • 方法3:【最善策】共有持分専門の買取業者に直接売却する

ご自身の共有持分を売却するには、主に3つの方法が考えられます。それぞれにメリットとデメリットがありますが、あなたの状況、特に「他の共有者とこれ以上関わりたくない」「とにかく早く問題を解決したい」というお気持ちを最優先に考えるなら、どの方法が最適かは自ずと見えてきます。それぞれの方法を比較し、あなたにとって最善の選択肢は何かを一緒に見つけていきましょう。

方法1:他の共有者に買い取ってもらう

まず考えられる最もシンプルな方法は、他の共有者にあなたの持分を買い取ってもらうことです。すでに不動産を共同で所有している相手のため、話がまとまれば手続きはスムーズに進みます。外部の第三者が関わることを嫌う共有者であれば、この提案を受け入れてくれるかもしれません。しかし、この方法には大前提があります。それは、相手に「買い取る意思」と「買い取るだけの資金力」があることです。そもそも関係性がこじれて売却を考えている場合や、相手に資金的な余裕がなければ、この方法で解決することは難しいでしょう。

方法2:不動産仲介で一般の買主を探す

次に、不動産仲介会社に依頼して、一般の市場であなたの持分を買ってくれる人を探す方法です。しかし、この方法は現実的には極めて困難と言わざるを得ません。一般の買主が探しているのは、自由に利用できる「完全な所有権」だからです。わざわざ他の共有者がいる「権利の一部」だけを購入する人は、まず現れないでしょう。多くの不動産仲介会社も、買い手が見つかる可能性が非常に低いため、共有持分のみの売却依頼は断るケースがほとんどです。時間と労力がかかるだけで、成果に繋がらない可能性が非常に高い方法です。

方法3:【最善策】共有持分専門の買取業者に直接売却する

他の共有者との関係に悩み、早く問題を解決したい方に最も有効なのが、私たちのような共有持分を専門に扱う買取業者へ直接売却する方法です。私たちは、あなたの持分を直接「買い取る」ため、買主を探す必要がありません。査定額にご納得いただければ、スピーディーに現金化が可能です。売却後の他の共有者との交渉も、すべて私たちが引き継ぎます。あなたを長年悩ませてきた人間関係のストレスや、不動産を所有し続ける負担から、完全に解放されるのです。これが、最も現実的かつ確実な解決策と言えます。

共有持分の単独売却で失敗しないための3つの注意点

あなたの持分を売却できることが分かっても、「後から他の共有者ともめたくない」「損をしたり、だまされたりするのは絶対に嫌だ」とご不安に思われるのは当然です。この章では、あなたが安心して手続きを進め、売却後に後悔しないために、絶対に押さえておくべき3つのポイントを解説します。

  • 注意点1:他の共有者への事前通知は法的に必要か?
  • 注意点2:住宅ローンが残っている場合の対処法
  • 注意点3:信頼できる専門業者を見極める重要なポイント

共有持分の売却はあなたの正当な権利ですが、進め方を間違えると新たなトラブルの火種になりかねません。特に、他の共有者との関係性、金銭的な問題、そして「誰に売るか」というパートナー選びは非常に重要です。ここで解説する注意点をしっかり理解し、ご自身の権利と財産をしっかり守りましょう。

注意点1:他の共有者への事前通知は法的に必要か?

結論から言うと、あなたの持分のみを売却する場合、他の共有者へ事前に通知する法的な義務はありません。売却はあなたの自由な権利だからです。しかし、法的な義務と、感情的な問題は別です。ある日突然、見ず知らずの不動産会社が新たな共有者として現れたら、他の共有者は驚き、気分を害するかもしれません。それが新たなトラブルに発展する可能性も否定できないのです。私たちのような専門の買取業者にご売却いただく場合は、売却後の共有者とのやり取りはすべて業者が行いますので、ご安心いただけます。

注意点2:住宅ローンが残っている場合の対処法

不動産に住宅ローンが残っている場合、原則として、ご自身の持分を売却する前にローンを完済し、抵当権を抹消する必要があります。金融機関は不動産全体を担保に取っているため、一部の持分だけ抵当権を外すことには通常応じてくれません。まずは金融機関に相談し、ローン残債の返済方法について確認することが第一歩です。売却で得た資金をローン返済に充当することになりますが、手続きが複雑になるケースも少なくありません。この点についても、経験豊富な専門業者であれば、金融機関との調整も含めてサポートしてくれます。

注意点3:信頼できる専門業者を見極める重要なポイント

専門業者への売却は有効な手段ですが、残念ながら、中には不誠実な業者も存在します。信頼できるパートナーを見極めることが、成功の最も重要な鍵です。まず「宅地建物取引業の免許」がウェブサイトなどに明記されているか確認しましょう。例えば弊社は「東京都知事(4)第90538号」ですが、()内の数字が大きいほど業歴が長いことを示します。また、共有持分の買取実績が豊富か、査定の根拠やリスクについて丁寧に説明してくれるか、そして何より、あなたの悩みに親身に寄り添ってくれる担当者かどうか、という点も重要です。複数の会社に相談し、慎重に比較検討することをおすすめします。

専門の買取業者へ依頼する2つのメリットと1つのデメリット

ここまで、専門の買取業者への売却が、共有持分の問題を抱える多くの方にとって最も有効な解決策だとお伝えしてきました。では、具体的にどのようなメリットがあり、逆にどのような点に注意すべきなのでしょうか。この章では、良い面とそうでない面の両方を正直にお話しします。両方を天秤にかけることで、あなた自身が心から納得できる選択ができるはずです。

  • メリット1:共有者との交渉不要!ストレスフリーで早期に現金化
  • メリット2:契約不適合責任も免除!売却後の不安から解放される
  • デメリット:市場価格よりは安くなる可能性も

この選択肢の光と影を正しく理解することが、後悔のない売却への第一歩です。あなたにとって何が一番大切かを考えながら、読み進めてみてください。

メリット1:共有者との交渉不要!ストレスフリーで早期に現金化

専門業者に依頼する最大のメリットは、何と言っても「他の共有者と一切関わらなくて済む」という精神的な解放感でしょう。私たちがあなたの持分を買い取った瞬間から、あなたはその不動産に関するすべての交渉事から解放されます。その後の共有者とのやり取りは、すべて新しい所有者である私たちが責任を持って行います。長年あなたを悩ませてきたストレスの元凶から完全に手を引くことができるのです。また、買主を探す仲介と違い、私たちが直接買主となるため、査定から現金化までの期間が非常に短いのも大きな利点です。

メリット2:契約不適合責任も免除!売却後の不安から解放される

もう一つの大きなメリットが、「契約不適合責任」が免除される点です。通常、不動産を売却した後に、雨漏りやシロアリ被害といった隠れた欠陥が見つかると、売主が責任を問われる可能性があります。しかし、私たち専門業者が買い取る際は「現状有姿(げんじょうゆうし)」での取引が基本です。これは、たとえ売却後にどんな問題が見つかっても、買主である私たちがすべて受け入れ、売主様には一切責任を追及しない、という約束です。室内に残置物がある場合も、そのままの状態で構いません。売却後の不安から、完全に解放されるのです。

デメリット:市場価格よりは安くなる可能性も

もちろん、良い面ばかりではありません。唯一のデメリットは、売却価格が一般的な市場価格で計算した金額よりも安くなる可能性がある点です。不動産全体を円満に売却できた場合の、あなたの持分に見合う理論上の金額よりは低くなることがほとんどです。これは、私たちが買い取るのが、すぐに利用できる不動産そのものではなく、複雑な権利関係の解消を前提とした「共有持分」という権利だからです。解決にかかる費用や時間、リスクなどをすべて含んだ上での買取価格となるため、この点はご理解いただく必要があります。

【事例で解説】共有持分の売却、こんなケースがありました

これまでの説明で理論や方法はご理解いただけたかと思います。しかし、「本当に自分のケースでも解決できるのだろうか?」というご不安は、まだ残っているかもしれません。そこで、この章では、これまで私たちが実際に解決をお手伝いさせていただいたご相談の中から、特に多い3つの典型的なケースをご紹介します。(プライバシーに配慮し、内容は一部変更しています)

  • ケース1:兄弟間の意見対立(千葉県市川市のケース)
  • ケース2:連絡が取れない共有者(東京都町田市のケース)
  • ケース3:離婚による財産分与(神奈川県相模原市のケース)

あなたと似た状況が、きっとこの中に見つかるはずです。多くの方がどのように悩み、そしてどうやって解決への一歩を踏み出したのか。具体的な解決へのイメージを掴んでみてください。

ケース1:兄弟間の意見対立(千葉県市川市のケース)

50代のA様は、ご兄弟で相続した市川市のご実家を共有名義で所有されていました。A様ご自身は別の場所で暮らしており、固定資産税の負担から解放されたいと売却を希望。しかし、ご実家に住み続けている弟様が「絶対に売らない」と一点張りで、兄弟関係も悪化の一途を辿っていました。そこで私たちがA様の持分のみを買い取る形で介入。A様はまとまった現金を手にしただけでなく、税金の負担と、何より弟様と争い続ける精神的な苦痛から解放された、と安堵されていたのが印象的でした。

ケース2:連絡が取れない共有者(東京都町田市のケース)

60代のB様は、10年以上疎遠になっている甥御さんと町田市の土地を共有していました。利用する予定のない土地の固定資産税を払い続けることに疑問を感じ、売却を考えましたが、肝心の甥御さんの連絡先すら分からない状態でした。ご自身で探偵を雇ってまで探すのは大袈裟だと、途方に暮れてご相談に来られました。私たちはB様の持分をそのまま買い取らせていただき、B様は長年の悩みの種だった土地を現金化。その後の甥御さんの所在調査や交渉は、すべて私たちが引き継ぎました。

ケース3:離婚による財産分与(神奈川県相模原市のケース)

40代のC様は、離婚した元夫と相模原市のマンションを共有名義のままにしていました。元夫が住み続けており、売却の話を切り出しても「今は忙しい」とはぐらかされ、数年が経過。C様としては、精神的にも金銭的にも完全に独立するため、この関係を清算したいと強く願っていました。私たちはC様の持分を買い取ることで、元夫との関係を悪化させることなく、C様の「けじめをつけたい」という想いを実現。C様は新たな生活への一歩を、晴れやかな気持ちで踏み出すことができました。

共有持分売却に関するよくある3つの質問(FAQ)

最後に、これまでのご説明では触れられなかった細かい点や、実際にご相談の際にお客様からよくいただくご質問について、Q&A形式でお答えします。具体的なお金の話や、少し特殊なケースについても解説しますので、ご自身の状況と照らし合わせてみてください。ここまで読み進めていただいたあなたの、最後の疑問や不安を解消できれば幸いです。

  • Q1.売却にかかる費用や税金はどのくらいですか?
  • Q2.共有者が勝手に不動産を占有している場合でも売れますか?
  • Q3.査定を依頼したら、必ず売らないといけないのでしょうか?

ここで疑問をゼロにして、すっきりとした気持ちで次のステップを検討しましょう。

Q

1.売却にかかる費用や税金はどのくらいですか?

A

私たちのような専門業者への直接売却の場合、売主様の費用負担はほとんどありません。仲介手数料はもちろん不要ですし、所有権移転の登記費用なども私たちが負担するケースが一般的です。ただし、税金は別です。売却によって利益(譲渡所得)が出た場合には、所得税と住民税がかかります。特に、相続した不動産で取得費が分からないケースなど、計算が複雑になることもあります。そういった税金に関するご相談も、もちろん承りますのでご安心ください。

Q

2.共有者が勝手に不動産を占有している場合でも売れますか?

A

はい、問題なく売却可能です。むしろ、そういったご相談は非常に多く、私たちが最も得意とする分野の一つです。他の共有者が不動産に住み着いていたり、不法に占有していたりする場合でも、あなたの持分権を売却する権利には何の影響もありません。もちろん、私たちはその状況をすべて把握した上で、適正な価格を提示します。売却後は、その占有者との交渉もすべて私たちが引き継ぎますので、あなたは一切関わる必要がなくなります。

Q

3.査定を依頼したら、必ず売らないといけないのでしょうか?

A

いいえ、そのようなことは一切ありませんので、ご安心ください。当社の査定はすべて無料です。また、査定結果をお伝えしたからといって、売却を強要するようなことは決してございません。私たちの査定は、あくまであなたがご自身の財産の価値を知り、今後の選択肢を検討するための「判断材料」です。その上で、売却しないというご判断をされても、全く問題ありません。まずは「自分の場合はどうなんだろう?」という気軽なお気持ちで、お気軽にお問い合わせいただければと思います。

【まとめ】共有持分の悩みは「放置」が一番のリスクです

長年あなたを悩ませてきた共有持分の問題について、解決の道筋は見えましたでしょうか。最後に、この記事の重要なポイントを5つにまとめます。

  • 共有持分は、他の共有者の同意がなくても、あなた一人の意思で売却できます。
  • 売却方法にはいくつかありますが、人間関係に悩んでいるなら専門業者への直接売却が最善策です。
  • 専門業者に依頼すれば、面倒な交渉や売却後の責任から、すべて解放されます。
  • 売却価格は市場価格より安くなる傾向にありますが、それと引き換えに「時間」と「精神的な平穏」が得られます。
  • 一番やってはいけないのは「放置」です。問題を先送りしても、状況は悪化し、次の世代にまで負担を残すことになりかねません。

あなたはもう、一人で悩み続ける必要はありません。解決に必要な知識は、すべて手に入れました。あとは、小さな一歩を踏み出す勇気だけです。

1人で悩まず、まずは専門家である私たちにご相談ください

答えの出ない問題に、これ以上大切な時間を費やすのは終わりにしませんか?

私たち株式会社フィリアコーポレーションは、あなたのような共有持分の問題を専門に、これまで1000件以上解決してきたプロフェッショナルです。

ご相談はもちろん無料、秘密は厳守いたします。査定をしたからといって、売却を無理強いすることも決してありません。

まずは、あなたの持分にどれくらいの価値があるのか、そして、あなたがどうすればその重荷から解放されるのか、具体的な道筋を私たちにお話しさせてください。下のリンクから、わずか1分で第一歩を踏み出せます。

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監修者

越川直之

越川直之【宅地建物取引士】【空き家相談士】

代表ブログへ

株式会社フィリアコーポレーション代表取締役の越川直之です。
当社は空き家や再建築不可物件、共有持分など、一般的に売却が難しい不動産の買取・再販を専門とする不動産会社です。 これまでに1000件以上の相談実績があり、複雑な権利関係や法的・物理的制約のある物件にも柔軟に対応してきました。 弊社ホームページでは現場経験に基づいた情報を発信しています。
当社は地域社会の再生や日本の空き家問題の解決にも取り組んでおり、不動産を通じた社会貢献を目指しています。

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