コラム記事
共有者全員で不動産を売却するには?同意取り付けのポイント
公開日 2025年9月9日
最終更新日 2025年9月5日
「兄弟で相続した実家を、本当はスッキリ売却したいのに、なかなか話がまとまらない…」「他の共有者から売却の同意を得るには、一体どうすればいいのだろう?」
共有名義の不動産について、このようなお悩みで一歩も前に進めず、時間だけが過ぎていないでしょうか。
共有不動産の売却は、法律や税金の問題だけでなく、大切なご親族間の感情も絡むため、一筋縄ではいかないケースが後を絶ちません。しかし、ご安心ください。正しい知識と手順を踏めば、その膠着状態を打開し、あなたにとって最も良い形で問題を解決する道筋は必ず見つかります。
目次
共有不動産は同意なし?売却で変わる3つの選択肢
この章では、共有不動産の売却における基本的なルールと、同意が得られない場合の具体的な選択肢について解説します。主なポイントは以下の3つです。
- 【原則】不動産全体の売却には共有者全員の同意が必要
- 【選択肢1】ご自身の「共有持分のみ」を専門の買取会社へ売却する
- 【選択肢2】共有物分割請求をおこない法的に解決する
結論から言うと、共有している不動産「全体」を売却するには、共有者全員の同意が不可欠です。しかし、話がまとまらないからといって、諦める必要はありません。ご自身の権利である「共有持分」のみを売却する方法や、法的な手続きを通じて解決する方法が存在します。
それぞれの特徴を理解し、ご自身の状況に最も合った選択肢を見つけることが、問題解決の第一歩となります。
【原則】不動産全体の売却には共有者全員の同意が必要
共有している不動産「全体」を売却する場合、たとえご自身が一番多くの持分を持っていたとしても、単独の判断で進めることはできません。これは民法で定められたルールであり、共有不動産全体の売却は「処分行為」にあたるため、共有者全員の同意が必須となります。
例えば、兄弟3人で実家を相続し、長男が2分の1、次男と三男が4分の1ずつの持分を持っていたとします。この場合、長男と次男が売却に賛成しても、三男が一人でも反対すれば、実家全体を売却することはできません。
持分割合の大小にかかわらず、一人でも「NO」と言う共有者がいれば、話はストップしてしまいます。これが、共有不動産の売却が「塩漬け」になりがちな最大の理由です。したがって、不動産全体を売却するには、まず共有者全員の意思を揃えることが大前提となります。
【選択肢1】ご自身の「共有持分のみ」を専門の買取会社へ売각する
他の共有者の同意が得られず、不動産全体の売却が難しい場合でも、ご自身の権利である「共有持分」のみを売却することは法律で認められています。ご自身の持分は独立した財産権であり、その処分(売却)はご自身の判断で自由に行えるため、他の共有者の同意は一切不要です。
これにより、話し合いが平行線で進まない、あるいは他の共有者とこれ以上関わりたくない、といった状況から抜け出し、ご自身の資産だけを先に現金化することが可能になります。
ただし、権利関係が複雑になる「共有持分」を、一般の個人や不動産仲介会社が買い取ることはほとんどありません。そのため、主な売却先は、私たちフィリアコーポレーションのような「共有持分を専門に扱う買取会社」となります。専門の買取会社は、複雑な権利関係の調整にも慣れているため、スムーズな売却が期待できます。
【選択肢2】共有物分割請求をおこない法的に解決する
当事者間での話し合いによる解決がどうしても見込めない場合の最終手段として、裁判所に「共有物分割請求」を申し立てる方法があります。これは、共有状態そのものの解消を求める法的な手続きです。
まずは調停で話し合い、それでもまとまらなければ訴訟へと進みます。裁判所は、①不動産を物理的に分ける「現物分割」、②一人が不動産をすべて取得し、他の共有者へ代償金を支払う「代償分割」、③不動産を競売にかけ、売却代金を持分割合に応じて分配する「換価分割」のいずれかの方法で分割するよう命じます。
多くの場合、競売による「換価分割」となりますが、競売価格は市場価格の6~7割程度になることが多く、手元に残る金額が市場で売却するより少なくなる可能性が高いです。法的に解決できる一方、時間と費用、そして親族間の感情的なしこりを残すリスクも伴います。
共有不動産の売却で注意すべき3つのポイント
共有不動産の売却を進めるにあたり、思わぬ落とし穴にはまらないために、知っておくべき注意点があります。この章では、特に重要な3つのポイントに絞って解説します。
- ポイント1:無理な説得は兄弟・親族間の関係悪化を招く
- ポイント2:共有物分割請求は時間と費用がかかる最終手段
- ポイント3:「持分のみ売却」は専門の買取業者選びが最も重要
良かれと思って取った行動が、かえって状況を悪化させてしまうケースは少なくありません。特に、親族間の感情的なもつれは、一度こじれると修復が困難になります。また、法的な手続きや業者選びを安易に考えると、経済的な損失を被るリスクも潜んでいます。
ここで解説するポイントを事前に押さえておくことで、より安全かつ円滑に問題解決への道筋を描くことができるでしょう。
ポイント1:無理な説得は兄弟・親族間の関係悪化を招く
ご自身の「売りたい」という気持ちが強いあまり、売却に消極的な他の共有者を感情的に説得しようとすることは避けるべきです。なぜなら、一度こじれた親族関係は、修復が非常に困難になるからです。
相手が売却に反対するのには、「親との思い出が詰まった実家を手放したくない」「いずれ自分が住むかもしれない」といった、お金には代えがたい理由があるのかもしれません。こちらの都合だけを一方的に押し付けてしまうと、相手は心を閉ざし、話し合いのテーブルにすら着いてもらえなくなります。
親が残してくれた大切な不動産が原因で、兄弟の縁が切れてしまうといった事態は、誰にとっても本意ではないはずです。相手の気持ちを尊重し、冷静な対話が難しいと感じたら、専門家など第三者を介してコミュニケーションを図ることも検討しましょう。
ポイント2:共有物分割請求は時間と費用がかかる最終手段
共有物分割請求は、法的に認められた権利ではありますが、安易に選択すべきではありません。これは、時間・費用・精神的な負担が非常に大きく、あくまで「最終手段」と位置づけるべきだからです。
訴訟に発展した場合、解決までに1年以上の期間を要することも珍しくなく、弁護士費用もかさみます。そして、最も大きなデメリットは、裁判所の判断で不動産が「競売」にかけられてしまうリスクがあることです。
競売での売却価格は、一般的な市場価格よりも大幅に安くなる傾向があります。時間と費用をかけたにもかかわらず、手元に残るお金はごくわずか、ということにもなりかねません。親族間で裁判沙汰になったという事実は、関係性に決定的な亀裂を生じさせます。経済的にも精神的にも、得るものより失うものが多くなる可能性が高いのです。
ポイント3:「持分のみ売却」は専門の買取業者選びが最も重要
ご自身の共有持分のみを売却するという決断をした場合、その成否は「どの買取業者に依頼するか」というパートナー選びに懸かっています。共有持分の買取は、一般的な不動産取引とは全く異なる特殊な分野であり、高度な専門知識と交渉力が求められるからです。
経験の浅い業者や、利益優先の悪質な業者に依頼してしまうと、不当に安い価格で買い叩かれたり、他の共有者と新たなトラブルを引き起こしたりする危険性があります。
信頼できる専門業者を見極めるには、「共有持分の買取実績が豊富か」「査定額の根拠を明確に説明してくれるか」といった点を確認しましょう。私たちフィリアコーポレーションのように、売主様の心理的・物理的負担を軽くするための「契約不適合責任の免除」や「残置物処理の代行」といった提案をしてくれるかどうかも、重要な判断基準になります。
専門家への相談で得られる3つのメリット
ここまで共有不動産売却の選択肢と注意点を解説してきましたが、ご自身だけで進めるのは難しいと感じた方も多いのではないでしょうか。この章では、専門家に相談することで具体的にどのようなメリットが得られるのか、3つの側面に分けてご紹介します。
- メリット1:面倒な交渉や法的手続きをすべて一任できる
- メリット2:「契約不適合責任なし」「残置物もそのまま」で売却できる
- メリット3:他の共有者と顔を合わせずに現金化が完了する
専門家、特に私たちフィリアコーポレーションのような共有不動産の買取を専門とする会社は、単に不動産を買い取るだけではありません。複雑な権利関係の整理から、売主様が抱える精神的・物理的な負担の軽減まで、トータルでサポートすることを使命としています。
時間や労力、そして何より心の平穏を保ちながら問題を解決するために、専門家を頼ることがいかに有効かをご理解いただけるはずです。
メリット1:面倒な交渉や法的手続きをすべて一任できる
専門の買取会社に依頼する最大のメリットの一つは、精神的に最も負担の大きい「他の共有者との交渉」から解放されることです。親族間の話し合いは、どうしても感情論になりがちで、当事者同士では冷静な対話が難しいケースが少なくありません。
私たちフィリアコーポレーションのような専門家が第三者として間に入ることで、感情的な対立を避け、客観的な事実に基づいた合理的な話し合いを進めることが可能になります。例えば、売却に反対する方へは、固定資産税の負担や将来の資産価値の下落リスクといったデータを基にご説明します。
ご依頼者様に代わって私たちが交渉の窓口となるため、ご自身が直接、気まずい思いをしたり、厳しい言葉を投げかけられたりすることもありません。煩雑なやり取りをすべてお任せいただくことで、精神的なご負担を大幅に軽減できます。
メリット2:「契約不適合責任なし」「残置物もそのまま」で売却できる
通常の不動産売却では、売却後に雨漏りや建物の傾きといった欠陥が見つかった場合、売主がその責任を負う「契約不適合責任」という重い義務があります。しかし、専門業者による買取では、この責任を一切免除する特約を付けて売買するのが一般的です。
私たちフィリアコーポレーションでは、どのような状態の物件でも「現況有姿」で買い取らせていただきます。つまり、売却後にどんな問題が見つかっても、売主様が責任を問われることは一切ありません。
また、ご両親が遺した大量の家財道具や、処分が難しい大型家具なども、片付けていただく必要は一切ございません。荷物が満載のままで大丈夫です。売却後の不安や、売却前の面倒な準備から解放されることで、安心して、かつスピーディーに現金化を進められます。
メリット3:他の共有者と顔を合わせずに現金化が完了する
ご自身の「共有持分」のみを売却する場合、他の共有者の同意や関与は法的に一切不要です。そのため、査定から契約、決済まで、他の共有者と一度も顔を合わせることなく、すべての手続きを完了させることが可能です。
「他の兄弟とは関係がこじれてしまい、もう顔も見たくない」といった状況でも、ご心配は無用です。私たちにご依頼いただければ、他の共有者に知られることなく、また連絡を取る必要もなく、ご自身の資産だけを速やかに現金化できます。
プライバシーを完全に守りながら、複雑でストレスの多い共有関係から円満に離脱する。人間関係のストレスをゼロにして問題を解決したい方にとって、専門家への持分売却は最も有効な手段の一つです。
共有持分の売却で問題を解決した3つの実例
ここでは、実際に私たちが共有持分の買取を通じて、お客様のお悩みを解決した3つの実例をご紹介します。具体的なケースを知ることで、ご自身の状況と照らし合わせ、解決へのイメージをより明確にしていただけるはずです。
- 【東京都東久留米市の実例】長年空き家だった実家の持分を売却し、固定資産税の負担から解放されたケース
- 【千葉県鎌ケ谷市の実例】海外の共有者がいる不動産持分の売却をサポートしたケース
- 【埼玉県蕨市の実例】他の共有者が売却に無関心だったが、ご自身の持分だけをスムーズに現金化できたケース
共有不動産の問題は、一つとして同じものはありません。ご家族の状況、物件の状態、そしてお客様のお気持ちも様々です。しかし、どのような複雑な状況であっても、解決の糸口は必ずあります。これからご紹介する事例は、いずれも当初は解決が困難に思われたケースばかりです。お客様がどのようにして悩みから解放され、新たな一歩を踏み出すことができたのか、その過程をご覧ください。
【東京都東久留米市の実例】長年空き家だった実家の持分を売却し、固定資産税の負担から解放されたケース
東久留米市にあるご実家を、お兄様と2分の1ずつ共有されていたA様からのご相談です。ご自身は都心に家を構え、ご実家は10年以上も空き家の状態でした。お兄様は「いつか使うかもしれない」と売却に反対。A様は毎年課される固定資産税や、庭の雑草管理、建物の老朽化による倒壊リスクに、長年頭を悩ませておられました。
このままでは負担だけが増え続けると感じたA様は、お兄様の同意が不要な「ご自身の共有持分のみ」を売却する決断をされました。
私たちが査定の上で買取価格を提示すると、A様からは「これでようやく肩の荷が下ります」と安堵の言葉をいただきました。契約後は、私たちが新たな共有者としてお兄様と連絡を取り、今後の管理について協議。結果、A様はお兄様と直接やり取りすることなく、長年の懸案事項だった空き家の問題から完全に解放されました。
【千葉県鎌ケ谷市の実例】海外の共有者がいる不動産持分の売却をサポートしたケース
鎌ケ谷市のアパートを、海外在住の弟様と共有されていたB様からのご相談です。ご高齢のため管理の負担が大きく、売却を希望されていましたが、時差や距離の問題で弟様との話し合いがうまく進まずにお困りでした。
このままでは問題が先送りになるだけだと考えたB様は、ご自身の持分のみを売却する方向で弊社にご相談くださいました。私たちはB様の状況を丁寧にヒアリングし、B様ご自身が弟様にご説明される際のサポートをさせていただくことになりました。
弊社が用意した物件の査定資料や、今後の管理に関する客観的なデータを基に、B様が弟様とオンラインで話し合いの場を設定。私たちはその場で専門家としてB様の補佐に徹し、ご質問に回答する形で円滑なコミュニケーションをお手伝いしました。その結果、弟様にも状況をご理解いただき、最終的に弊社がB様の持分を買い取らせていただくことで円満に合意。B様は、海外の共有者との複雑な手続きの不安から解放され、アパート経営から引退することができました。
【埼玉県蕨市の実例】他の共有者が売却に無関心だったが、ご自身の持分だけをスムーズに現金化できたケース
蕨市にある月極駐車場を3姉妹で共有されていたC様。お子様の進学費用としてまとまった資金が必要になり、駐車場を売却したいとご姉妹に提案しました。しかし、ご姉妹の反応は「別に生活に困っていないから」「売る手続きが面倒」という、無関心なものでした。
姉妹の説得には時間がかかると判断したC様は、「ご自身の持分のみ」を迅速に現金化する方法を選択。弊社にご相談いただき、1週間後には契約、その翌週には決済と、非常にスピーディーに売却が完了しました。
結果として、C様は姉妹との関係をこじらせることなく、必要なタイミングで目的の資金を手にすることに成功しました。他の共有者が非協力的な場合でも、ご自身の持分だけを売却すれば、相手の都合に振り回されることなく資産を活用できます。
共有不動産の売却に関するよくある3つの質問
最後に、共有不動産の売却に関して、お客様から特によくいただく3つのご質問にお答えします。
- Q1.売却に反対している共有者へ、こちらから連絡する必要はありますか?
- Q2.共有者の中に認知症の者や行方不明者がいる場合はどうすれば良いですか?
- Q3.住宅ローンが残っている不動産でも共有持分の売却は可能ですか?
ここまで解説してきた内容以外にも、個別の状況に応じて様々な疑問や不安が生じることと思います。ここでは、特に多くの方がつまずきやすいポイントや、法的な判断が難しいケースについて、Q&A形式で分かりやすく解説します。ご自身の状況に近い質問があれば、ぜひ参考にしてください。
Q
1.売却に反対している共有者へ、こちらから連絡する必要はありますか?
Q
2.共有者の中に認知症の者や行方不明者がいる場合はどうすれば良いですか?
Q
3.住宅ローンが残っている不動産でも共有持分の売却は可能ですか?
まとめ:共有不動産の悩み、専門家への相談が解決の第一歩です
今回は、共有不動産の売却と同意取り付けのポイントについて解説しました。最後に、この記事の要点をまとめます。
- 共有不動産「全体」の売却には、共有者全員の同意が必ず必要です。
- もし同意が得られなくても、ご自身の「共有持分」のみであれば、単独の意思で売却することが可能です。
- 無理な説得や安易な裁判(共有物分割請求)は、親族関係の悪化や経済的な損失を招くリスクがあるため慎重な判断が求められます。
- 専門の買取会社に依頼すれば、面倒な交渉や手続き、売却後の責任まで、すべてを安心して任せることができます。
- 問題を一人で抱え込まず、まずは専門家に相談してみることが、複雑な状況を打開する最も確実な近道です。
共有不動産の問題は、時間が経てば経つほど解決が難しくなる傾向にあります。この記事が、あなたの悩みを解決する一助となれば幸いです。大切なのは、勇気を出して「相談する」という最初の一歩を踏み出すこと。その行動が、あなたを縛る重荷から解放し、より良い未来へ繋がる扉を開きます。
共有不動産のことで悩んだら、まずはフィリアコーポレーションへ
私たちフィリアコーポレーションは、東京・神奈川・千葉・埼玉エリアを中心に、共有持分や再建築不可物件といった、複雑な権利関係の不動産を専門に買い取っています。
「とりあえず、いくらになるのかだけ知りたい」「こんな状態でも売れるのか、話だけ聞いてみたい」「他の共有者に知られずに相談したい」
どのようなご相談でも構いません。査定やご相談はすべて無料、秘密厳守で対応いたします。無理な営業は一切いたしませんので、まずはお気軽にお客様の状況をお聞かせください。下のリンクから、簡単な情報入力だけで査定依頼が完了します。
監修者

越川直之【宅地建物取引士】【空き家相談士】
代表ブログへ
株式会社フィリアコーポレーション代表取締役の越川直之です。
当社は空き家や再建築不可物件、共有持分など、一般的に売却が難しい不動産の買取・再販を専門とする不動産会社です。
これまでに1000件以上の相談実績があり、複雑な権利関係や法的・物理的制約のある物件にも柔軟に対応してきました。
弊社ホームページでは現場経験に基づいた情報を発信しています。
当社は地域社会の再生や日本の空き家問題の解決にも取り組んでおり、不動産を通じた社会貢献を目指しています。