コラム記事

再建築不可物件の救済措置とは?6つの救済措置をプロがわかりやすく解説

公開日 2026年5月18日

最終更新日 2026年5月18日

監修者
越川直之

越川直之(宅地建物取引士 / 空き家相談士)

代表ブログへ

訳アリ不動産1,000件以上の相談実績を持つ、空き家・再建築不可・長屋・共有持分の専門家。株式会社フィリアコーポレーション代表取締役。現場経験に基づき、訳アリ不動産売却の正しい知識を監修しています。

目次

再建築不可物件とは?

「再建築不可物件」という言葉を耳にしたことはあっても、具体的にどのような物件なのか、なぜ建て替えができないのかを正確に理解している方は多くありません。救済措置を正しく活用するためには、まず再建築不可物件の定義と、その原因となるルールを理解することが出発点となります。

以下では、再建築不可物件の基本的な定義から、建て替えを制限する「接道義務」の仕組み、そして再建築不可物件が生まれる主なパターンまでをわかりやすく解説します。

  • 再建築不可物件とは
  • 接道義務とは
  • 再建築不可物件が生まれる主なパターン

再建築不可物件とは

再建築不可物件とは、現在建物が建っているにもかかわらず、その建物を取り壊した後に新たな建物を建て替えることができない不動産のことです。

建築基準法では、建物を建てるための敷地に対して以下の条件を満たすことが義務付けられています。

  • 幅員4m以上の建築基準法上の道路に接していること
  • その道路に2m以上接道していること

この2つの条件を満たせない場合、建築確認申請が通らず、建て替えができない「再建築不可物件」となります。

ここで重要なのが「建築基準法上の道路」という点です。見た目は道路のように見えても、建築基準法が定める道路に該当しない「通路」や「私道」は数多く存在します。建築基準法上の道路として認められるのは、道路法上の道路・都市計画法に基づく開発道路・位置指定道路などに限られており、見た目だけでは判断できないケースがほとんどです。

「接道しているように見えるのに再建築不可」という物件が生まれる背景には、こうした道路の定義の複雑さがあります。

接道義務とは

接道義務とは、「幅員4m以上の建築基準法上の道路に、2m以上接していない土地には建物を建ててはならない」というルールです。建築基準法第43条に定められており、すべての建築物の敷地に適用されます。

このルールが設けられた本質的な理由は、人命に関わる問題にあります。火災や急病など緊急時に救急車・消防車が現場に到達できなければ、人の命を守ることができません。十分な幅員の道路に接していない土地は、緊急車両が入れないリスクがあるため、そのような土地への建築を法律で制限しているのです。

裏を返せば、接道義務を満たせていない既存の建物は、防災上の観点からも本来は危険な状態にあるともいえます。救済措置とはいえ、行政が簡単に建て替えを認めない背景にはこうした理由があります。

接道義務を満たしているかどうかは、接している道路が「建築基準法上の道路」に該当するかどうかで判断されます。見た目が道路でも法律上は「通路」と判定されるケースも多いため、必ず専門家に確認することが必要です。

再建築不可物件が生まれる主なパターン

接道義務を満たせない理由は物件によって異なります。「なぜ再建築不可なのか」を正確に把握することは、後述する救済措置が適用できるかどうかの判断にも直結するため、非常に重要なポイントです。

再建築不可物件が生まれる主なパターンは以下の3つです。

  • 建築基準法の道路に一切接していない
  • 路地上部分の幅員が2mに満たない
  • 敷地に面する道路の幅が4mに満たない

建築基準法の道路に一切接していない

建築基準法上の道路に全く接していない土地は、「袋地」と呼ばれるケースが代表的です。袋地とは周囲を他人の土地(囲繞地)に囲まれており、公道への出入りが他人の土地を通らなければできない土地のことです。

ここで注意が必要なのは、「道のようなものに接していても再建築不可になる」という点です。私道や通路を通って公道に出られる場合でも、その通路が建築基準法上の道路として認定されていなければ接道義務を満たしたことにはなりません。見た目は普通の住宅街の一角でも、前面の通路が「建築基準法外の通路」と判定されているだけで再建築不可となるケースは実務上よく見られます。

再建築を可能にするには、囲繞地の所有者から土地の一部を買い取るか等価交換を行い、建築基準法上の道路に2m以上接道できる状態を確保する必要があります。

路地上部分の幅員が2mに満たない

道路から細長い通路(路地状部分)を通って奥に広がる形状の土地を「旗竿地」または「敷地延長(敷延)」と呼びます。旗を竿に付けた形に似ていることからこの名前がついています。

接道義務では、道路に接する間口だけでなく、路地状部分のすべての幅員が2m以上なければなりません。奥の敷地がどれだけ広くても、路地状部分のどこか一箇所でも2mを下回っていれば再建築不可となります。

わかりやすい目安として「直径2mのボールを転がして、どこにもつっかえることなく敷地にたどり着けるかどうか」をイメージするとわかりやすいです。途中で引っかかる箇所があれば、その時点で接道義務を満たせていないと考えてください。

昭和時代は土地の区画管理が現在ほど厳密ではなく、間口が1.8mや1.9mとわずかに2mに満たない物件が多く残っています。「ほぼ2mあるから大丈夫だろう」という判断は禁物です。購入前や売却前に必ず正確な測量で確認することが必要です。

敷地に面する道路の幅が4mに満たない

建築基準法では原則として幅員4m以上の道路に接していなければ建物を建てることができません。しかし現実には、幅員4m未満の道路に面しているにもかかわらず建物が建っているケースが存在します。

これは建築基準法第42条第2項により、幅員4m未満であっても特定行政庁が指定した道路は「2項道路」として建築基準法上の道路と例外的に認められているためです。ただし2項道路に面した敷地で建て替えを行う場合は、道路の中心線から2m後退(セットバック)した位置に建物を建てる義務が生じます。

注意が必要なのは、幅員4m未満の道路のすべてが2項道路に該当するわけではないという点です。特定行政庁の指定を受けていない場合は建築基準法外の通路とみなされ、セットバックをしても再建築可能にはなりません。見た目では2項道路かどうか判断できないため、役所の窓口や専門家への確認が必須です。

再建築不可物件の救済措置一覧

「再建築不可物件は建て替えができない」というのは原則であり、条件次第では一定の救済措置を活用することで建て替えが可能になるケースがあります。ただしどの方法も、行政への申請や隣地所有者との交渉が必要であり、必ずしも簡単に実現できるものではありません。

自分の物件にどの救済措置が適用できるかを正しく判断するためにも、まずは6つの方法の概要を把握しておきましょう。

  • ①建築基準法第43条但し書き申請をする
  • ②隣地を購入または借用して接道義務を満たす
  • ③土地の等価交換で接道状況を改善する
  • ④セットバックを行い道路幅員4mを確保する
  • ⑤道路の位置指定申請で私道を認定させる
  • ⑥市街化調整区域の場合は建築許可の取得を検討する

①建築基準法第43条但し書き申請をする

建築基準法第43条但し書き申請とは、接道義務を満たしていない敷地であっても、一定の条件を満たした場合に建築審査会の許可を得ることで建て替えを認めてもらう制度です。以下の3つの条件をすべて満たすことが必要です。

  • 敷地の周囲に十分な空地を有していること
  • 特定行政庁が交通上・安全上・防火上・衛生上支障がないと認めること
  • 建築審査会の同意を得て許可されること

この申請において最大のハードルとなるのが、接道する土地の所有者全員の同意取得です。原則として全員の同意が必要であり、やむを得ない場合に過半数以上の同意で進めるケースもありますが、将来的に通行・掘削の承諾をめぐるトラブルに発展するリスクが残ります。

フィリアコーポレーションでも買取後に43条但し書きの交渉を進めることがありますが、うまくいくケースは非常に少ないのが現実です。不動産のプロが交渉してもそのレベルであるため、一般の方が単独で完結させるのは相当な難易度と考えておいてください。

②隣地を購入または借用して接道義務を満たす

隣地の一部を購入または借用することで間口を2m以上確保し、接道義務を満たす方法です。理屈としては成立しますが、実務上はうまくいかないケースがほとんどです。

まず購入の場合、隣地の土地の形状が変わることで隣地が容積率・建ぺい率の基準を超えた「既存不適格物件」になってしまうリスクがあります。そのリスクを負ってもらう対価として相場の2倍以上の金額を提示するケースも珍しくありません。

借用の場合はさらに問題が複雑です。借りた土地で建築申請を行うと、その土地は「既に建築申請に使用された土地」として登録されます。将来隣地の所有者が自分の土地で建て替えを行う際、その一部分は建築申請に使えなくなるというデメリットが生じます。隣地にとってメリットがほぼなくデメリットだけが残るため、拒否されるケースが大半です。

購入・借用どちらの方法も、隣地所有者との関係性と条件次第で難易度が大きく変わります。まずは専門家に相談のうえ慎重に進めることをおすすめします。

③土地の等価交換で接道状況を改善する

土地の等価交換とは、自分の土地の一部と隣地の一部を交換することで、接道幅を2m以上確保する方法です。購入と異なりお互いに代金のやり取りが発生しないため、②の購入・借用と比べると隣地にとって受け入れやすい条件になりやすい面があります。

主な対象となるのは旗竿地(敷地延長)の物件です。例えば間口が1.9mの旗竿地であれば、竿部分に沿って0.1m分を隣地と交換できれば接道義務を満たすことができます。交換する土地の面積は「不足幅×竿部分の長さ」で算出します。不足が10cm・竿の長さが5mであれば、0.5㎡の土地が等価交換の対象です。

ただし隣地にとって土地形状が変わるだけでメリットもデメリットも特にないため、わざわざ応じる動機が生まれにくいのが現実です。結局のところ隣地所有者との関係性と交渉次第であり、実務上スムーズに進むケースは多くありません。まずは専門家を交えて相談することをおすすめします。

④セットバックを行い道路幅員4mを確保する

セットバックとは、敷地と前面道路の境界線を土地側に後退させることで道路幅員を4m以上確保する方法です。前面道路の幅員が3.8mであれば0.2m後退して建て替えることで、接道義務を満たすことができます。

ただし、セットバックで再建築可能になるのは前面道路が「建築基準法42条2項道路」をはじめとする建築基準法上の道路に該当する場合のみです。見た目が道路でも建築基準法外の通路と判定されている場合は、どれだけセットバックしても再建築可能にはなりません。

「セットバックすれば建て替えられる」という情報だけが先行しているケースも多く、フィリアコーポレーションには「相続した再建築不可物件を解体してセットバックしたが、実際には建て替えられなかった」という相談が後を絶ちません。解体後に建て替え不可と判明しても手の打ちようがないため、事前に前面道路の種別を必ず役所または専門家に確認することが不可欠です。

なおセットバックした部分は固定資産税・都市計画税が免除されるため、申請を忘れず行いましょう。

⑤道路の位置指定申請で私道を認定させる

位置指定道路とは、土地の所有者等が築造した幅員4m以上の道を特定行政庁が「道路」として指定したものです。現在は建築基準法上の道路として認められていない私道や通路でも、位置指定を受けることで接道義務を満たし、再建築が可能になる場合があります。

ただし位置指定申請には接道する土地の所有者全員の同意が必要であり、これが最大のハードルとなります。さらに角地の場合は「隅切り」といって角部分を削る必要があるため、既にブロック塀を設置している隣地の所有者に対してはその撤去を求めることになります。費用と手間をかけてまで協力してもらえないケースが圧倒的に多いのが現実です。

インターネット上には「位置指定道路の申請で再建築可能になる」という情報が多く見られますが、全員の同意取得を前提とした理想論であり、実務上スムーズに進むケースは非常に少ないです。この方法を検討する場合は、事前に関係する土地の所有者全員との関係性を慎重に確認したうえで、専門家を交えて進めることをおすすめします。

⑥市街化調整区域の場合は建築許可の取得を検討する

「市街化調整区域の既存宅地制度を活用すれば再建築可能になる」という情報をネット上で目にすることがありますが、この制度は2001年5月の都市計画法改正によりすでに廃止されています。現在もこの情報を掲載し続けているサイトがあるため、誤った認識のまま行動してしまわないよう注意が必要です。

廃止後は自治体ごとに都市計画法34条1項14号などを根拠とした独自の開発許可基準を設け、条件を満たす場合に限り旧既存宅地での建て替えを許可しているケースがあります。ただし人口減少・財政難・スマートシティ推進という社会的背景から、この制度を利用できる自治体は全国的に減少傾向にあります。

利用できる可能性がある条件の目安は以下の通りですが、自治体によって基準が異なるため、物件所在地の都市計画課への確認が必須です。

  • 市街化調整区域として指定される前から宅地として利用されていた土地であること
  • 線引き前から宅地として課税されていた
  • 制度廃止前に旧既存宅地による建て替えの確認を取得していた

救済措置を活用できない場合の再建築不可物件の活用法

ここまで解説してきた6つの救済措置は、条件や交渉次第では実現が難しいケースも多く、すべての再建築不可物件に適用できるわけではありません。救済措置が使えないからといって、すぐに「どうにもならない」と諦める必要はありません。建て替えはできなくても、物件を活用・売却する方法は複数あります。

自分の状況に合った選択肢を検討するために、4つの活用法を順番に解説します。

  • リフォーム・リノベーションで物件の価値を引き上げる
  • 賃貸・シェアハウス・民泊として収益物件に転換する
  • 更地にして駐車場や家庭菜園などに転用する
  • 専門業者への売却を検討する

リフォーム・リノベーションで物件の価値を引き上げる

リフォーム・リノベーションを行う際の費用の目安は㎡×10万円程度です。フィリアコーポレーションへの相談で多い80㎡前後の戸建てであれば、概算で800万円前後かかる計算になります。水回りやキッチンをどの程度本格的に改修するかによって費用は変動しますが、決して安い投資ではありません。

さらに2025年の法改正(4号特例の廃止・見直し)により、大規模な修繕や模様替えには原則として建築確認申請が必要となりました。再建築不可物件はそもそも建築許可が下りない物件のため、確認申請が必要な大規模工事は事実上できません。再建築不可物件に対して行えるリフォームは、軽微な修繕の範囲に限られます。

建物は空き家になると老朽化が急速に進みます。軽微なリフォームで対応できる状態のうちに動くことが重要で、数年放置して大規模修繕が必要な状態になると、リフォームも買取も困難になり価格がゼロになるリスクがあります。使用できる状態のうちに売却することが、最も合理的な選択です。

賃貸・シェアハウス・民泊として収益物件に転換する

建て替えができなくても、現状の建物をそのまま活用して収益を得る方法があります。戸建賃貸・シェアハウス・民泊などがその代表例です。

ただし2025年の法改正により、間取り変更を伴う大規模なリノベーションは建築確認申請が必要となり、再建築不可物件では事実上できません。間取りを大きく変えずに壁紙の張り替えや設備交換といった軽微なリフォームの範囲で対応できる場合に限り、収益物件への転換が現実的な選択肢となります。

活用方法を検討する際に注目したいのがエリアの賃料相場です。特に商業地域や駅近エリアでは、再建築不可物件であっても賃貸需要が高く、家賃収入が上がる傾向があります。再建築不可という制約があっても、立地次第では十分な収益性を確保できるケースがあります。

一方で軽微なリフォームでも対応できないほど老朽化が進んでいる物件は、収益化よりも早期に専門業者へ売却することを優先すべきです。活用か売却かは建物の現状を正確に把握したうえで判断することが重要です。

更地にして駐車場や家庭菜園などに転用する

建物を解体して更地にすることで、駐車場・駐輪場・家庭菜園・自動販売機設置などへの転用が選択肢として挙がります。ただし再建築不可物件はそもそも道路に難がある物件がほとんどのため、車や自転車が入りにくく、人目にも触れにくい立地であるケースが多く、駐車場・駐輪場としての収益性は低くなりがちです。更地活用を検討する前に、現地の接道状況と周辺環境を冷静に確認することが必要です。

さらに更地にすると「住宅用地の特例」が外れ、固定資産税が最大6倍に跳ね上がります。仮に駐車場収入を得られたとしても、税負担の増加で収支が合わないケースも少なくありません。

また建物があるまま放置して「特定空き家」に認定されると、更地と同様に固定資産税が最大6倍になります。「解体しても放置しても税負担が増える」という状況を避けるためには、建物がある状態で適切に管理するか、早めに専門業者へ売却することが最も賢明な選択です。

専門業者への売却を検討する

専門業者への売却をおすすめする理由のひとつが、契約不適合責任を問われるリスクを回避できる点です。老朽化した再建築不可物件はシロアリ被害・配管トラブル・設備の不具合など、引き渡し後に問題が発覚しやすく、仲介での個人間売買では売主が責任を追及されるリスクがあります。専門業者への買取であればこうしたリスクを負う必要がありません。

また仲介会社は販売価格に応じて手数料が決まる仕組みのため、価格が低くなりがちな再建築不可物件は積極的に売却活動をしてもらえないケースが多いです。一方、専門の買取業者であれば直接買取となるため、早ければその日のうちに現金化することも可能です。

救済措置や活用方法を検討したうえで「難しい」と判断した場合は、まず専門業者への無料査定を活用することをおすすめします。

再建築不可物件の購入・保有リスク

再建築不可物件は価格が安いため、投資目的や居住用として購入を検討される方もいます。しかし安さの裏には、購入後に顕在化するリスクが数多く潜んでいます。購入前にリスクを正しく理解しておかなければ、「安く買ったはずが、結果的に大きな損失を抱えてしまった」という事態になりかねません。

購入・保有にあたって特に注意すべきリスクを5つ解説します。

  • 住宅ローンが組みにくく購入資金の調達が難しい
  • 倒壊した際に損害賠償責任が発生する場合がある
  • 更地にすると固定資産税の負担が逆に増える
  • 大規模リフォームが制限されるケースがある
  • 子供や孫に負の遺産を相続する可能性がある

住宅ローンが組みにくく購入資金の調達が難しい

再建築不可物件は金融機関からの担保評価が著しく低いため、一般的な住宅ローンの審査が通らないケースがほとんどです。万が一返済不能になった際に担保として売却できない物件に対して、銀行は融資を避ける傾向があります。

融資を受けられる可能性があるのはノンバンク系の金融機関に限られますが、金利は必然的に高くなります。弊社がリフォーム後の再建築不可物件を購入する投資家の中では、L&Fアセットファイナンス・セゾンファンデックス・滋賀銀行を利用するケースが多いですが、物件の状態が悪ければこれらの機関でも融資が難しくなり、現金一括購入できる買い手に限定されてしまいます。

しかし数千万円の現金を持つ投資家は、担保評価の低い再建築不可物件をわざわざ現金で購入する動機が生まれにくいのが現実です。結果として買い手の母数が極端に絞られ、流動性の低い資産になってしまうという悪循環が生じます。購入前にこの点を十分に理解しておくことが重要です。

倒壊した際に損害賠償責任が発生する場合がある

接道義務が建築基準法に制定されたのは1950年のため、再建築不可物件の多くはそれ以前に建てられた築古建物です。老朽化が進んだ建物は地震や台風などの災害時に倒壊・損壊するリスクが高く、近隣住民への被害が発生した場合には所有者として多額の損害賠償責任を負うことになります。死亡事故ともなれば賠償額が数千万円から数億円に上るケースもあります。

特に注意が必要なのが空き家になった物件の老朽化スピードです。人が住んでいる建物は日常的な換気や管理によって劣化が緩やかに進みますが、空き家になった途端に湿気・カビ・害虫の被害が加速し、構造の弱体化が急速に進みます。再建築不可物件を空き家のまま保有する場合は、定期的な風通しと適切な管理が不可欠です。

「今すぐ倒れるわけではない」という油断が最も危険です。倒壊リスクを抱えたまま保有し続けることは、物件の価値低下だけでなく、将来的に取り返しのつかない損害賠償リスクにつながります。早めの売却判断が自分と周囲を守ることになります。

更地にすると固定資産税の負担が逆に増える

建物が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税が最大6分の1に軽減されています。しかし建物を解体して更地にするとこの特例が外れ、固定資産税が最大6倍に跳ね上がります。「古い建物を壊してすっきりさせよう」という判断が、毎年の税負担を大幅に増やす結果につながるため注意が必要です。

また、更地にしなくても同じ問題が生じるケースがあります。建物があるまま適切な管理をせずに放置していると、自治体から「特定空き家」に認定される可能性があります。特定空き家に認定されると住宅用地の特例が解除され、更地と同様に固定資産税が最大6倍になります。

つまり「解体しても放置しても税負担が増える」という状況に追い込まれるリスクがあるのです。これを避けるためには、建物がある状態で定期的に風通しをするなど適切に管理し、特定空き家への認定を防ぐことが重要です。管理の手間を考えると、早期に専門業者へ売却してしまうことが最も合理的な判断といえます。

大規模リフォームが制限されるケースがある

再建築不可物件では建て替えができないだけでなく、増築・改築・大規模な修繕や模様替えにも建築確認申請が必要となり、許可が下りないケースがあります。大規模な修繕とは壁・柱・床・屋根・梁などの主要構造部の2分の1以上を修繕・模様替えすることを指し、思っている以上に広い範囲が制限の対象となります。

さらに2025年の法改正(4号特例の廃止・見直し)により、この制限はより深刻になりました。これまで木造2階建て以下の住宅に認められていた建築確認申請の簡略化が通用しなくなり、大規模な修繕や模様替えには原則として建築確認申請が必要となりました。再建築不可物件はそもそも建築許可が下りない物件のため、確認申請が必要な工事は事実上できません。

建物は空き家になると老朽化が急速に進み、数年放置するだけで軽微な修繕では対応できない状態になります。フィリアコーポレーションでも軽微なリフォームで対応できない状態まで劣化が進んだ物件は買取が難しくなります。使用できる状態のうちに売却することが、最も賢明な判断です。

子供や孫に負の遺産を相続する可能性がある

再建築不可物件をそのまま保有し続けた場合、将来的に家族が相続することになります。相続した側には、これまで解説してきたリスクがそのまま引き継がれます。老朽化が進んだ建物の管理責任、倒壊した際の近隣への損害賠償リスク、固定資産税の支払い義務など、活用もできず売却も難しい「負の遺産」を家族に背負わせることになりかねません。

さらに相続のタイミングで相続人が複数いる場合、権利関係が複雑化して売却の意思決定がより困難になります。相続を経るたびに所有者が増え、全員の合意形成が必要になるため、時間が経つほど売却のハードルは上がっていきます。

フィリアコーポレーションへの相談の大半は、まさにこうした「親が残した再建築不可物件をどうすればいいかわからない」という相続案件です。1,000件超の相談実績の中で痛感するのは、早く動いた方ほど選択肢が多く、手残りも大きいという事実です。大切な家族に余計な負担をかけないためにも、「まだ売れるタイミング」のうちに動くことが最大の相続対策といえます。

再建築不可物件の救済措置に関するよくある質問

救済措置を活用する前に確認しておくべきことは何ですか?

まず確認すべきは「本当に再建築不可物件かどうか」です。見た目は道路に接しているように見えても、建築基準法上の道路に該当しない通路と判定されているケースも多く、思い込みで行動すると後戻りできない事態を招きます。

確認方法としては、役所の建築指導課や都市計画課で道路種別を調べてもらう、自治体のオンライン情報で接道状況を確認する、専門の不動産会社に調査を依頼するといった方法があります。必要書類や調査範囲は自治体によって異なるため、事前に問い合わせておくとスムーズです。

「再建築不可かどうかの確認」「どの救済措置が使えるかの判断」は専門知識が必要な領域です。自己判断で動く前に、まず専門家に相談することをおすすめします。フィリアコーポレーションでは無料査定の段階からこうした調査・判断をサポートしています。

道路法43条但し書き道路の建て替えは認められますか?

条件を満たせば認められますが、現実的には非常にハードルが高いというのが正直なところです。

43条但し書き申請では、原則として接道する土地の所有者全員の同意が必要です。やむを得ない場合に過半数以上の同意で進めるケースもありますが、将来的に通行・掘削の承諾をめぐるトラブルに発展するリスクが残るため、将来のことも含めて全員の同意を取得することが基本となります。

フィリアコーポレーションでも再建築不可物件を買い取った後に43条但し書きの交渉を進めることがありますが、うまくいくケースは非常に少ないのが現実です。不動産のプロが交渉してもそのレベルであるため、一般の方が単独で完結させるのは相当な難易度と考えてください。「認められる可能性はゼロではない」という認識は持ちつつも、それを前提とした計画は立てないことをおすすめします。

43条但し書き道路のデメリットは何ですか?

43条但し書き道路には以下のようなデメリットがあります。

  • 国の基準を満たしていても建て替え可能になるとは限らない
  • 接道を共有している場合、共有者全員の合意が得られないと申請できない
  • 購入時の住宅ローン審査が下りづらい
  • 通常物件より売却価格が安くなりやすい

これらに加えて、フィリアコーポレーションが現場で特に注意を促しているのが「中途半端な交渉がもたらすリスク」です。近隣の方と交渉して一度こじれてしまうと、関係性が悪化して将来的な合意形成がさらに困難になります。

不動産は「現状の価値」だけでなく「将来建て替えできる可能性」も込みで売ることが大切です。中途半端に交渉を進めてその可能性をつぶしてしまうよりも、何もしないまま専門業者に売却したほうが高値がつくケースもあります。

「動いたほうがいい」という思い込みが、むしろ物件の価値を下げてしまうこともあるのです。判断に迷う場合はまず専門家に相談することをおすすめします。

再建築不可物件は買わないほうがいいですか?

一概には言えません。物件の状態と立地次第で判断が大きく変わります。

駅近で賃貸需要が高いエリアの再建築不可物件は、購入価格が安いぶん利回りが高く、投資回収率として非常に魅力的なケースがあります。「再建築不可だから買わない」と一律に判断するのはもったいないケースも存在します。

一方で避けるべきなのは、軽微な修繕では住めない・貸し出せない状態の物件です。2025年の4号特例廃止により、再建築不可物件に対して行える工事は軽微な修繕に限定されました。大規模な修繕が必要な状態まで老朽化が進んでいる物件は、購入しても活用方法がなく、売却もままならないリスクがあります。

購入を検討する際の判断基準をシンプルにまとめると以下の通りです。

  • 軽微な修繕で住める・貸し出せる状態かどうか
  • 賃貸需要があるエリアかどうか
  • 購入価格に対して利回りが成立するかどうか

判断に迷う場合はフィリアコーポレーションへお気軽にご相談ください。

監修者
越川直之

越川直之(宅地建物取引士 / 空き家相談士)

代表ブログへ

株式会社フィリアコーポレーション代表取締役の越川直之です。
当社は空き家や再建築不可物件、共有持分など、一般的に売却が難しい不動産の買取・再販を専門とする不動産会社です。 これまでに1000件以上の相談実績があり、複雑な権利関係や法的・物理的制約のある物件にも柔軟に対応してきました。 弊社ホームページでは現場経験に基づいた情報を発信しています。
当社は地域社会の再生や日本の空き家問題の解決にも取り組んでおり、不動産を通じた社会貢献を目指しています。

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