コラム記事

古すぎる家はリフォームより壊した方が良いと思いますか?【アンケート結果発表】

公開日 2026年6月11日

最終更新日 2026年6月11日

監修者
越川直之

越川直之 (宅地建物取引士 / 空き家相談士)

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訳アリ不動産1,000件以上の相談実績を持つ、空き家・再建築不可・長屋・共有持分の専門家。株式会社フィリアコーポレーション代表取締役。現場経験に基づき、訳アリ不動産売却の正しい知識を監修しています。

親から受け継いだ実家や、長年住み続けている古い家。「そろそろ今後のことを考えなければ」と思いつつも、「コストをかけてリフォームして住み続けるべきか、それともいっそ解体して更地にするべきか」という選択は、多くの所有者にとって非常に悩ましい問題です。

特に近年は、全国的な空き家問題の深刻化や、管理が行き届かない物件に対する法的なペナルティ・税制の見直しなどがニュースでも取り上げられ、早期の決断を迫られるケースが増えています。

今回は、古い家の処分や活用に悩む人々の本音を探るため、全国の男女を対象に「古すぎる家の処分・リフォームに関する意識調査」を実施しました。アンケート結果から見えてきたリアルな不安と、それぞれの選択肢における空き家専門家の視点から、詳しく解説します。

  • 調査対象: 全国の男女
  • 調査期間: 2026年6月1日~3日
  • 調査機関: 自社調査
  • 調査方法: インターネットによる任意回答
  • 有効回答数: 200人(女性105人/男性95人)

古すぎる家はリフォームより壊した方が良いと思いますか?

調査の結果、全体の7割以上(70.5%)が「古すぎる家はリフォームするよりも解体した方が良い」と考えていることが分かりました。愛着のある住まいであっても、一定以上の老朽化が進んだ場合は、残して修繕するよりも取り壊す方が現実的であると判断する人が圧倒的多数を占めています。

考えていると答えた理由

ここからは、上位にランクインした理由を一つずつ紐解きながら、それぞれの課題に対する客観的なアプローチや専門的な視点を交えて解説します。

1位:構造修復に限界がある(39.0%)

古い木造住宅などの場合、表面的な内装(クロスや床)をきれいにリフォームしたとしても、家そのものを支える土台や柱、梁といった「構造部分」の劣化は簡単には修復できません。雨漏りによる木材の腐食やシロアリ被害が骨組みまで達している場合、部分的な修繕では対応しきれず、事実上の限界を感じている人が約4割にのぼりました。

【プロの見解】建物の寿命や安全性を左右する「構造部分」の劣化は、一般的なリフォームの枠組みを超え、実質的な「スケルトンリフォーム(解体して骨組みだけにする大規模工事)」が必要になるケースが多いため、この判断は非常に合理的です。ただし、実際に解体するとなると、100万円〜数百万円規模のまとまった費用が自己負担として発生します。

さらに注意すべき点として、建物を壊して更地にしてしまうと、それまで適用されていた「住宅用地の特例(固定資産税の軽減措置)」が外れ、土地の固定資産税が翌年から最大6倍に跳ね上がるという税制上の注意点があります 。解体を進める前には、解体後の土地をどう活用・処分するかの出口戦略をセットで考えておく必要があります。

2位:耐震基準を今のレベルにするには高すぎる(29.8%)

特に1981年(昭和56年)以前に建てられた「旧耐震基準」の建物を、現代の安全基準に適合させるための耐震補強工事には、莫大な費用がかかります。「大切な家を守りたいが、そこまで大金を投資するのは現実的ではない」という金銭的な壁が2位となりました。

【プロの見解】旧耐震基準の建物を現行の基準まで引き上げる工事は、壁の補強だけでなく基礎の打ち直しなどが伴うため、費用が新築並み、あるいはそれ以上になる「費用倒れ」のリスクがあります。

金銭的な負担を減らす方法として、まずは各自治体が実施している「耐震診断・耐震改修の補助金制度」を調べることをおすすめします。自治体によっては、診断費用が無料になったり、改修費用の一部(数十万〜数百万円)を補助してくれたりするケースがあります。もし補助金を利用しても予算が合わない場合は、無理にリフォームをせず、現況のまま売却を検討するか、解体して土地として流通させるのが一般的な選択肢となります

3位:気密性が絶望的(15.6%)

昭和から平成初期に建てられた家は、現在の高気密・高断熱住宅とは設計思想が異なり、「冬は底冷えし、夏は熱がこもる」という不満が多く見られます。これを現代の快適な住環境に変えるためには、断熱材の全面的な入れ替えや窓サッシの交換など、やはり大規模な工事が必要になります。

【プロの見解】日本の住宅における「寒さ・暑さ」の大きな原因は、窓などの開口部と、壁・床下の断熱材の不足です。家全体の気密性を完全に現代レベルにするには高額な費用がかかりますが、予算を抑えたい場合は「部分断熱」や「インナーサッシ(二重窓)の設置」という選択肢もあります。

特に窓のリフォームは、国や自治体の省エネ関連の補助金(先進的窓リノベ事業など)が活用できるケースが多く、比較的コストを抑えて居住環境を改善できます。ただし、住む予定がない空き家に対してこれらの投資を行うのは損になってしまうため、「誰が、いつまで、どう住むか」という目的が定まっていない場合は、手を付けずに現状を維持するか、そのまま手放すかを決めた方が賢明です

4位:安全性なら新築一択(9.9%)

リフォームでどれだけ補強を行っても、やはり新築の安心感には敵わないという意見です。災害時の倒壊リスクや家族の命を守るという観点から、古い家を残す選択肢を排除し、新築への建て替え、あるいは住み替えを望む声が一定数存在します。

【プロの見解】万が一の震災や台風を考慮したとき、現代の厳しい建築基準法をクリアした新築の安全性が最も高いのは間違いありません。しかし、建て替えを検討する際に必ず確認しなければならないのが、その土地が「再建築可能かどうか」という点です。

都市計画法や建築基準法の規定(接道義務など)により、古い住宅街の中には「一度壊してしまうと、二度と新しい建物を建てられない土地(再建築不可物件)」が紛れ込んでいます 。この確認を怠って解体してしまうと、新築はおろか、ただの「建築できない土地」になり、資産価値が著しく低下してしまいます 。壊す前に必ず、役所の建築指導課や専門家に土地の法的な条件を確認してください。

5位:近所の人にボロ家と言われたくない(5.7%)

周囲の住宅が新しくなっていく中で、自分の所有する家だけが老朽化して目立ってしまうことへの精神的な負担や、世間体を気にする声です。また、管理のために頻繁に通えないことから、庭木の越境や害虫、防犯面の不安による近隣からの視線を気にする意見も含まれています 。

【プロの見解】実家が空き家になり、遠方に住んでいるために適切な管理ができない場合、近隣トラブルや地域の景観悪化につながるケースは非常に増えています 。2023年以降、空き家対策の特別措置法が改正され、管理が不十分な物件は「管理不全空き家」として行政からの指導や増税の対象となるリスクも高まっています 。

このような場合は、「定期管理サービス(月額数千円程度で換気や草むしりを代行するサービス)」を利用して世間体や近隣への配慮を維持するか、あるいはこれ以上の維持負担を避けるために、現状のまま(室内の荷物が入った状態でも対応可能な)専門の会社や仲介業者を通じて売却・処分手続きを進めるのが、精神的な負担をなくす現実的な解決策と言えます

まとめ: 「壊すか・直すか」の前に、まずは現状の正しい把握を

今回の調査を通じて、多くの所有者が、古すぎる家を維持・リフォームすることに対して構造的な限界や莫大なコストといった現実的な壁を感じていることが浮き彫りになりました。

全体の7割以上が「リフォームよりも解体すべき」と考えているものの、いざ実際に動こうとすると、解体費用の自己負担や、解体後の固定資産税の増税リスク、さらには土地の法的な制限など、一筋縄ではいかない多くの課題が立ちはだかります。

結論が出ないからといって放置してしまうのが、最も避けたい状況です。空き家をそのままにしておくと、建物の劣化が進むだけでなく、近隣トラブルや管理不全による法的なペナルティの対象になるリスクも高まります。

現状を正しく把握することが、あなたとご家族の未来の負担をなくす、最も確実な第一歩となります。

当コンテンツの運営、執筆は株式会社フィリアコーポレーションが行っています。 詳細は、コンテンツ制作ポリシープライバシーポリシーを参照ください。

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