コラム記事

中古戸建を購入することに抵抗はありますか?【アンケート結果発表】

公開日 2026年5月25日

最終更新日 2026年5月25日

監修者
越川直之

越川直之 (宅地建物取引士 / 空き家相談士)

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訳アリ不動産1,000件以上の相談実績を持つ、空き家・再建築不可・長屋・共有持分の専門家。株式会社フィリアコーポレーション代表取締役。現場経験に基づき、訳アリ不動産売却の正しい知識を監修しています。

近年、日本の住宅市場では、空き家問題の深刻化やリノベーション需要の拡大に伴い、中古戸建の流通に注目が集まっています。しかし、新築志向が根強い日本において、中古物件の購入や居住に対して心理的なハードルを感じる消費者は少なくありません。

そこで、空き家・訳あり不動産のコンサルティングを行う「株式会社フィリアコーポレーション」では、中古戸建に対する消費者のリアルな意識や心理的抵抗を探るため、全国の男女500名を対象にアンケート調査を実施しました。不動産実務の知見を交えながら、調査結果から見えてきた購入検討者の不安の背景と、安心して取引を進めるためのポイントを客観的に解説します。

  • 調査対象:全国の男女
  • 調査期間:2026年4月29日~30日
  • 調査機関:自社調査
  • 調査方法:インターネットによる任意回答
  • 有効回答数:500人(女性264人/男性236人)

中古戸建を購入することに抵抗はありますか?

調査の結果、「抵抗がある(22.4%)」、「どちらかというとある(34.8%)」を合わせると、全体の57.2%に達しました。実に半数以上の人が、中古戸建の購入に対して何らかの懸念を抱いていることが分かります。

一方で、「抵抗はない」「どちらかというとない」と答えた層も約4割存在しており、価格の安さやリノベーションを前提とした合理的な選択肢として中古戸建を捉えている層も一定数いることが伺えます。しかし、市場全体の流通を促すためには、過半数が感じている「抵抗感」の正体を突き止め、適切に対処していく必要があります。

抵抗がある理由

中古戸建に対して「抵抗がある」と回答した人(415名)を対象に、その具体的な理由を尋ねたところ、消費者が直面する心理的・物理的な要因が浮き彫りになりました。上位の回答項目を詳しく分析します。

1位:手放した理由が分からず不安(32.5%)

「なぜ前の所有者はこの家を売りに出したのか」という売却理由は、購入検討者にとって最大の関心事です。「事件や事故、いわゆる心理的瑕疵があったのではないか」「近隣住民とのトラブルで手放したのではないか」といった、見えない背景に対する猜疑心が最も高いハードルとなっています。

【プロの見解】多くの物件では、相続による空き家化や、高齢に伴う施設入所、住み替えなどが実際の売却理由です 。しかし、購入者側にその情報が正確に伝わらないと、不安だけが先行してしまいます。この不安を解消するためには、契約前に売主側から提出される「物件状況報告書(告知書)」の内容を細かく確認することが重要です。不動産会社を介して、前所有者の居住状況や周辺環境について透明性の高い情報を開示してもらうよう求めることが、納得のいく取引の第一歩となります。

2位:隠れた欠陥が心配(26.2%)

木造の中古戸建においては、目に見えない部分(雨漏り、シロアリ被害、基礎や柱の腐食など)の劣化を懸念する声が多く集まりました 。中古住宅の多くは「現況有姿(そのままの状態)」で引き渡されるため 、購入後に予期せぬ高額な修繕費用が発生するリスクが恐れられています。

【プロの見解】売買後にトラブルになりやすいのが、この「隠れた欠陥(契約不適合)」です。リスクを最小限に抑えるためには、購入前の「建築士による建物インスペクション(住宅診断)」の実施が非常に有効です。専門家に建物のコンディションを客観的に診断してもらうことで、修繕が必要な箇所と費用の目安を事前に把握できます。また、一定の基準を満たしていれば「既存住宅売買瑕疵保険」へ加入することができ、万が一購入後に欠陥が見つかった場合でも補修費用がカバーされるため、大きな安心材料となります。

3位:耐震基準が古くて不安(18.9%)

大規模な地震が相次ぐ昨今、建物の安全性に対する意識は年々高まっています。特に築年数が経過している古い戸建ての場合、災害時に十分な耐震性を発揮できるのかという点が問題視されています 。

【プロの見解】1981年5月31日以前に建築確認を受けた建物は「旧耐震基準」と呼ばれ、現行の耐震基準を満たしていない可能性が高いため注意が必要です 。また、旧耐震の物件は金融機関からの評価が低くなりやすく、住宅ローンの審査が通りにくくなるという金融面の壁も存在します 。検討している物件が新耐震基準以降のものか、あるいは旧耐震であっても「耐震適合証明書」が発行されているか(または耐震補強工事が可能か)を事前にしっかりと確認・試算しておくことが、安全面・資金面双方のリスクヘッジになります。

4位:資産価値が今後下がる(13.3%)

日本の不動産市場において、木造戸建ての建物価値は築20〜25年でほぼゼロになると言われています。そのため、「購入しても将来的に価値がなくなり、売りたくても売れない『負動産』になってしまうのではないか」という将来への不安です 。

【プロの見解】建物自体の価値は下がっても、土地の価値はエリアの需給バランスによって維持されやすいという特徴があります 。そのため、中古戸建を選ぶ際は「土地値」に着目し、将来的に資産が残る立地かどうかを見極める視点が大切です。また、接道義務を満たしていないなど、将来的に建て替えができない「再建築不可物件」のリスクを孕んでいないかを公的書類(公図や都市計画図など)から見極めることが、将来の流動性を担保する鍵となります 。

5位:他人の生活の記憶を感じて落ち着かない(9.1%)

「誰が使ったか分からない水回りを使うのが気になる」「他人の生活臭や独自の雰囲気に馴染めない」といった、数値化できない生理的・感覚的な抵抗感です 。

【プロの見解】これは中古物件特有の心理的ハードルですが、内装リフォームやリノベーションによって完全に解消することが可能です。壁紙(クロス)や床材(フローリング)の張り替え、トイレ・キッチン・浴室といった水回り設備を新品に交換するだけで、他人の生活感はほぼ完全にリセットされ、新築同様の清潔感を取り戻せます。「古い家をそのまま使う」のではなく、「安く買って、自分好みの空間にカスタマイズして作り直す」というリノベーション前提の視点を持つことで、この抵抗感は楽しみに変えることができます。

まとめ:不透明さをなくすことが、安心な取引への近道

今回のアンケートから、消費者が中古戸建の購入に抱く抵抗感の多くは、「建物の性能や売却背景に潜む不透明さ」に起因していることが明らかになりました。

中古戸建の売買を成功させるためには、以下のポイントを意識することが重要です。

  • 売主側: 荷物の片付けやハウスクリーニングを行い、物件の瑕疵や売却理由を誠実に開示する
  • 買主側: 土地の法的制限を調査し、インスペクションや瑕疵保険を活用して建物性能を客観的に評価する
  • 共通の対策: 複雑な権利関係(共有持分など)や法的制約(再建築不可や長屋など)が絡む場合は、一人で判断せず実務経験の豊富な専門家に間に入ってもらう

中古住宅は、正しくリスクをコントロールできれば、新築よりもはるかに費用を抑えて理想の住まいを手に入れられる強力な選択肢となります。物件の持つリスクと可能性をプロの視点から冷静に見極め、クリアな状態にすることが、トラブルのない円満な不動産取引への確実な道筋となるでしょう

監修者
越川直之

越川直之 (宅地建物取引士 / 空き家相談士)

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