コラム記事

自分が死ぬまで実家を残してほしいですか?【アンケート結果発表】

公開日 2026年6月12日

最終更新日 2026年6月15日

監修者
越川直之

越川直之 (宅地建物取引士 / 空き家相談士)

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訳アリ不動産1,000件以上の相談実績を持つ、空き家・再建築不可・長屋・共有持分の専門家。株式会社フィリアコーポレーション代表取締役。現場経験に基づき、訳アリ不動産売却の正しい知識を監修しています。

親から受け継いだ思い出の詰まったご実家。子供世代にとって、実家は単なる「建物」ではなく、育ってきた記憶や家族の絆が刻まれたかけがえのない場所です。しかし、親が高齢になったり、施設に入所したり、あるいは相続のタイミングを迎えたとき、「この実家をこれからどうしていくべきか」という現実に直面することがあります。

今回は、実家に対する子供世代の本音を明らかにするため、「自分が死ぬまで実家を残してほしいか?」というテーマでアンケート調査を実施しました。1,000件以上の空き家・相続不動産の相談実績を持つ専門家の視点を交えながら、アンケート結果から見える子供世代の温かい想いと、将来的に直面するかもしれない現実的な課題について深掘りしていきます。

  • 調査対象: 全国の男女
  • 調査期間: 2026年6月1日~2日
  • 調査機関: 自社調査
  • 調査方法: インターネットによる任意回答
  • 有効回答数: 200人

自分が死ぬまで実家を残してほしいですか?

「自分が死ぬまで実家を残してほしいですか?」という問いに対して、全体の54.0%(「残してほしい」26.5%、「どちらかというと残してほしい」27.5%)が、実家が存続することを望んでいるという結果になりました。

一方で、「思わない」(16.5%)、「どちらかというと思わない」(29.5%)を合わせた46.0%の人は、必ずしも実家を残すことにこだわっていない、あるいは何らかの現実的な懸念を抱いていることが伺えます。

実家への愛着や安心感を求める声が過半数を占める一方で、残すことへの不安や難しさを感じている人も少なくない、という現代の家族が置かれた複雑な心理が浮き彫りとなっています。

残してほしい理由

では、「実家を残してほしい」と回答した人は、どのような想いからそう願っているのでしょうか。アンケートで寄せられた具体的な理由の上位5項目を専門的な視点を交えて解説します。

1位:帰省が楽しみだから(36.1%)

最も多かった理由は「帰省が楽しみだから」という声でした。お正月やお盆、大型連休などに「帰る場所がある」ということ自体が、日々の生活の支えや楽しみに繋がっているケースが多いようです。親や地元の友人と集まり、昔ながらの空間で過ごす時間は、何にも代えがたい大切なひとときです。

【プロの見解】帰省を心待ちにする温かい想いがある一方で、親御様が施設に入所されたり亡くなられたりした後は、実家が「誰も住まない空き家」へと変わる現実と向き合う必要があります 。特に遠方に住んでいる子供世代にとって、実家の庭木の手入れや通風・通水といった定期的な巡回管理は、時間的・体力的に大きな負担となります 。 このようなケースでは、月額数千円程度から利用できる「空き家管理代行サービス」を利用して建物の劣化を防ぐか、あるいは早い段階で売却・賃貸などの「出口戦略」を家族間で話し合っておくことが、将来的な不動産の放置(負動産化)を防ぐ一般的な対策となります。

2位:一番リラックスできる(32.4%)

僅差で2位となったのは「一番リラックスできる」という理由です。自分が育った家は、どんなに新しいマイホームよりも不思議と心が落ち着くものです。実家に帰ると「子供の頃の自分に戻れるような安心感がある」という意見も多く寄せられました。

【プロの見解】リラックスできる特別な空間だからこそ、いざ空き家になった際の「荷物の片付け(遺品整理)」が大きなハードルになります。実家には数十年にわたる生活用品や思い出の品が大量に残されており、自力での片付けは精神的にも肉体的にも過酷な作業です 。 一般的な対処法としては、専門の遺品整理業者へ依頼して一括で片付ける方法があります 。また、もし早期の処分を希望する場合は、市場で「現況渡し(室内を片付けず、そのままの状態で引き渡す条件)」や、契約後のトラブルの責任を負わない「契約不適合責任の免除」を前提とした不動産会社(特に専門の買取業者)への相談を検討すると、所有者の負担を大幅に軽減できます。

3位:家族の歴史を途絶えさせたくない(16.7%)

「家族の歴史を途絶えさせたくない」という、家や血縁の歴史を重んじる声が3位となりました。何年もの間、家族の歩みを見守ってきた建物を、自分の代で壊したり手放したりすることに心理的葛藤を感じる人は多いようです 。

【プロの見解】歴史を残したいという想いとは裏腹に、相続のタイミングで「思い出があるから残したい」という人と「管理ができないから売却したい」という人の間で、兄弟・親族間の意見対立が起こりやすいのが実情です 。 さらに、その実家が「再建築不可(接道义务を満たさず建て替えができない土地)」であったり、隣家と壁を共有している「長屋・連棟住宅」であったりする場合、一般的な仲介市場では住宅ローンが通りにくく、売却が極めて難しくなります 。このような法的・構造的な制限がある難物件については、通常の不動産会社ではなく、訳あり物件や共有持分の整理を得意とする専門の買取業者や、法律の専門家(弁護士・司法書士)を交えて客観的に資産価値を評価し、冷静な合意形成を図ることが求められます 。

4位:子供や孫に自分のルーツを見せたい(10.2%)

「自分の子供や孫を連れていき、自分が育った環境やルーツを見せたい」という、次世代へ繋ぐ想いも1割以上の人が挙げています。都会で育つ子供たちにとって、古い一戸建ての実家での体験は、貴重な機会になります。

【プロの見解】自分のルーツを次世代に見せたいという願いが、意図せず子供たちへの「将来の重荷」に変わってしまうケースに注意が必要です 。明確な活用・維持プランがないまま「残すこと」だけを優先してしまうと、将来的に自分の子供や孫の世代へ、老朽化した建物の管理責任や固定資産税の支払い、複雑な権利関係を引き継がせてしまうことになります。

「誰も住む予定がない」のであれば、思い出の品や写真などを整理して記憶に残し、不動産自体はご自身の代で適切に処分(売却・更地化など)しておくことが、次世代に負担を残さないための賢明な判断となることも多いです。

5位:先祖を守る場所だから(4.6%)

「先祖代々の土地や仏壇を守る場所だから」という、伝統や義務感を理由に挙げる人もいました。特に本家や長男・長女といった立場の方に多く見られる傾向で、自分が生きている間は何としてでも守り抜かなければならないという強い責任感が伺えます。

【プロの見解】先祖の土地を守りたいという強い責任感があるからこそ、空き家のまま放置することの法的・経済的リスクを把握しておく必要があります 。近年は空き家対策特別措置法の改正により、管理が不十分な物件は「管理不全空き家」や「特定空家」に指定されやすくなっています。

まとめ:実家への「想い」を「将来の負担」にしないために

アンケートの結果、多くの子供世代が実家に対して強い愛着を持ち、「自分が死ぬまで残してほしい」と願っていることが分かりました。帰省の楽しみや、リラックスできる空間、家族の歴史など、実家がもたらしてくれる精神的な価値は非常に大きいものです。

しかし、その「想い」や「理想」だけで誰も住まない実家を放置し続けると、金銭的負担の増大や、親族間のトラブル、次世代への重荷といった「現実の課題」として跳ね返ってきてしまいます。

大切なのは、実家を残したいという温かい気持ちを大切にしつつも、「いつか」来るその時に備えて、早めに現実的な選択肢(維持・賃貸・売却など)を家族間で共有しておくことです 。一人で抱え込まずに、時にはプロの視点を取り入れ、メリット・デメリットを整理してみることから始めてみてはいかがでしょうか 。

当コンテンツの運営、執筆は株式会社フィリアコーポレーションが行っています。 詳細は、コンテンツ制作ポリシープライバシーポリシーを参照ください。

監修者
越川直之

越川直之 (宅地建物取引士 / 空き家相談士)

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