コラム記事

空き家を収益物件(民泊・レンタルスペース)にしてみたいと思いますか?【アンケート結果発表】

公開日 2026年7月29日

最終更新日 2026年7月29日

監修者
越川直之

越川直之 (宅地建物取引士 / 空き家相談士)

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訳アリ不動産1,000件以上の相談実績を持つ、空き家・再建築不可・長屋・共有持分の専門家。株式会社フィリアコーポレーション代表取締役。現場経験に基づき、訳アリ不動産売却の正しい知識を監修しています。

相続などをきっかけに空き家を所有することになり、「民泊やレンタルスペースとして貸し出せば収益化できるのでは」と考えたことがある方は少なくないはずです。ニュースやSNSでは、空き家をリノベーションして民泊運営に成功した事例が紹介されることもあり、「うちの実家も何とかならないか」と一度は検討してみた方も多いのではないでしょうか。

一方で、いざ調べ始めると「法律が複雑そう」「近隣トラブルが心配」「本当に採算が合うのか分からない」といった不安にぶつかり、結局そのまま何も手をつけられずに時間だけが過ぎている——というケースも非常に多く見られます。

私たち株式会社フィリアコーポレーションは、空き家・再建築不可物件・共有持分などの「訳あり不動産」を専門に取り扱い、これまでに1,000件を超える査定・相談に対応してきました。今回は、20代~70代以上の空き家所有者を対象に「収益物件化」に関する独自アンケートを実施しましたので、その結果をもとに、実務の現場で見えてきたリアルな課題と対処法を解説していきます。

  • 調査対象: 空き家を所有する20代〜70代以上の男女
  • 調査期間: 2026年6月
  • 調査方法: インターネットによるアンケート調査
  • 有効回答数: 200名(うち「収益化に消極的」と回答した128名には、理由についての追加設問(複数回答)を実施)
  • 年代比率: 30代 15%/40代 22%/50代 28%/60代 24%/70代以上 11%

空き家所有者のボリュームゾーンは40〜60代となっており、親世代からの相続をきっかけに所有することになったケースが多いことがうかがえます。

空き家の収益化、実は「消極派」が6割超という現実

「空き家を収益物件(民泊・レンタルスペース)にしてみたいと思いますか?」という質問に対して、回答は大きく割れました。

内訳を見ると、「思う」14.5%(29人)、「どちらかというと思う」21.5%(43人)と、前向きな回答は合わせて36.0%(72人)にとどまりました。一方で、「どちらかというと思わない」24.5%(49人)、「思わない」39.5%(79人)と、消極的な回答は合わせて64.0%(128人)にのぼり、全体の約3人に2人が収益化に後ろ向きという結果になりました。

特に注目すべきは、単独の選択肢としては「思わない」が79人(39.5%)でトップとなっている点です。「どちらかというと思わない」を含めれば消極派はさらに増えることを考えると、「空き家を収益物件にする」というアイデア自体には関心があっても、実際に一歩を踏み出すにはかなり高いハードルを感じている方が多数派であることが分かります。

これは決して珍しい傾向ではありません。私たちが現場で相談を受ける中でも、「民泊で貸せたら理想的だとは思うけれど、自分にできる気がしない」という声を頻繁に耳にします。次の章では、この「消極的」と答えた128人に、その具体的な理由を掘り下げて聞いた結果をご紹介します。

「思わない」理由を深掘り:プロが解説する5つの本音と対策

「収益物件化したいと思わない」と回答した128人に、その理由を複数回答形式で尋ねたところ、以下の5つが上位に挙がりました。ここからは、それぞれの不安に対して、空き家相談の現場で得た知見をもとに解説していきます。

第1位:騒音で近隣から苦情が出るのが怖い(55人/43.0%)

最も多かったのは、近隣トラブルへの懸念でした。民泊利用者は生活習慣や文化背景が異なる場合も多く、深夜の話し声や物音、ゴミ出しのルール違反などが、周辺住民とのトラブルに発展するケースは実際に少なくありません。

【プロの見解】

この不安は、統計的にも根拠のあるものです。特に日本の空き家は、路地の奥にある狭小地や、隣家との距離が近い密集市街地に建っているケースが多く、構造的に「音が伝わりやすい」立地であることが少なくありません。近隣との距離が近い分、少しの騒音でも苦情に直結しやすいのです。

対策としては、まず自主管理にこだわらず、清掃・鍵の受け渡し・宿泊者対応までを一括で担う運営代行会社を活用する方法があります。また、契約前に自治体の条例(住宅宿泊事業法に基づく実施制限区域など)を確認し、そもそも民泊運営が可能なエリアかどうかを見極めることも欠かせません。

一方で、「近隣との距離が近く、民泊運営には不向きな立地」と判断される物件も現実には多く存在します。その場合は無理に民泊化を目指すのではなく、長期の定期借家契約による通常の賃貸として貸し出す、あるいは売却して資産を組み替えるという選択肢も、現実的な解決策として検討する価値があります。

第2位:法的なハードルが高い(48人/37.5%)

民泊やレンタルスペースの運営には、住宅宿泊事業法(民泊新法)の届出や旅館業法の許可、消防法上の設備要件、用途地域の制限など、複数の法律・条例が絡んできます。「調べ始めたけれど、何から手をつければいいか分からない」という声は非常に多く聞かれます。

【プロの見解】

法的ハードルの高さは、感覚的な不安ではなく実務上も事実です。特に見落とされがちなのが、建物の状態に関する制約です。2025年の建築基準法改正により、いわゆる「4号特例」が見直され、これまで簡略化されていた建築確認申請が、一定規模以上の修繕・模様替えでは原則必要になりました。特に再建築不可物件(前面道路に接していない、または接道幅が足りない物件)の場合、大規模なリフォームを行おうにも建築確認そのものが下りないため、民泊向けの改装計画が途中で頓挫してしまうケースもあります。

まずは自治体の建築指導課・道路管理課に相談し、対象の空き家がどの程度の工事まで行えるのかを確認することが第一歩です。そのうえで、行政書士や宅地建物取引士など専門家の力を借りながら計画を立てることをおすすめします。物件によっては「軽微な修繕」の範囲でしか手を加えられず、当初思い描いていた活用が難しいと判明することもあります。その場合は、活用に固執せず売却という選択肢に切り替える判断も、結果的に資産を守ることにつながります。

第3位:24時間体制の問い合わせ対応が精神的にきつい(41人/32.0%)

民泊運営では、宿泊者からの緊急連絡や近隣からのクレームが深夜・早朝に発生することも珍しくありません。特に本業を持ちながら、あるいは離れた場所に住みながら空き家を管理しているオーナーにとって、この負担は想像以上に大きいものです。

【プロの見解】

「24時間対応」への精神的な負担は、実際に運営を諦める大きな理由のひとつです。特に相続によって空き家を持つことになった方は、そもそも不動産経営を望んでいたわけではないため、この負担感はより強く感じられる傾向があります。

現実的な対策としては、スマートロックによる非対面チェックインや、清掃・トラブル対応まで代行する運営管理会社への委託が一般的です。ただし、代行費用は売上の20〜30%程度かかることもあり、収益性とのバランスを見極める必要があります。

もし「そもそも人の出入りがある事業を続けること自体が精神的な負担」だと感じるのであれば、無理に運営を続けるのではなく、通常の賃貸として管理会社に一任する、あるいは所有そのものを手放すことも、心理的な負担を軽減する有効な手段です。空き家は「持ち続けること」自体が管理責任を伴うため、負担の少ない選択を優先することが長い目で見て賢明な判断につながります。

第4位:赤字が怖い(36人/28.1%)

民泊運営には、リフォーム費用、家具・家電の購入費、消防設備の設置費など、初期投資がまとまって必要になります。稼働率が読めない中でこれらの投資を回収できるか不安に感じるのは、当然の心理といえます。

【プロの見解】

この不安も、実務的には妥当な懸念です。特に立地条件が民泊需要と合わない空き家(観光地や駅から遠いエリアなど)では、想定していた稼働率を大きく下回り、初期投資を回収できないまま赤字が続くケースが実際にあります。

対策としては、運営を始める前に、周辺エリアの民泊・宿泊需要を調査し、保守的な稼働率で収支シミュレーションを組むことが基本です。固定資産税や維持管理費など、貸し出さなくても発生し続けるコストとの比較検討も欠かせません。

なお、「民泊」という選択肢にこだわらなくても、戸建てはファミリー向けの賃貸需要が根強く、延床面積の広さを活かした通常の賃貸経営でも十分な収益化が見込めるケースは多くあります。民泊特有の運営リスク・初期投資を避けたい場合は、通常の賃貸への切り替えも検討する価値があります。それでも「事業としてのリスクを取りたくない」という場合は、早い段階で売却し、資産を安全な形に組み替えるという判断も、決して消極的な選択ではありません。

第5位:更地として売ってしまいたい(20人/15.6%)

「活用を検討するより、いっそ更地にして売ってしまいたい」という声も一定数ありました。管理の手間や将来のリスクを考えると、シンプルに手放したいと考えるのは自然な発想です。

【プロの見解】

この選択肢を検討する際、見落とされがちな重要な注意点があります。それは、建物を解体して更地にすると、固定資産税が最大6倍になる可能性があるということです。土地に建物が建っている場合は「住宅用地の特例」により固定資産税が軽減されていますが、更地にするとこの特例が外れてしまいます。解体後すぐに買主が見つかれば問題ありませんが、売却まで時間がかかると、その間の税負担が重くのしかかることになります。

また、再建築不可物件の場合は、更地にしても新たに建物を建てられないため、かえって買い手が見つかりにくくなり、資産価値が下がってしまうケースもあります。「更地にすれば売れやすくなる」というのは、必ずしも正しいとは限りません。

私たちのように空き家を専門に扱う買取業者であれば、解体前の現状のまま、家財が残っていてもそのまま買い取ることが可能です。実際に弊社でも、未接道や老朽化が進んだ物件を、解体をせず現況のまま買い取ってきた実績が数多くあります。更地化には解体費用もかかるため、まずは「現況のまま売却した場合にどの程度の価格がつくのか」を確認したうえで、更地化するかどうかを判断することをおすすめします。

まとめ:収益化するにしても、手放すにしても「抱え込まない」ことが最善策

今回のアンケートから見えてきたのは、多くの方が「空き家を収益物件にしたい気持ちはあっても、法律・近隣関係・資金・手間といった現実的なハードルの前で足がすくんでしまっている」という実情でした。

一方で、空き家をそのまま放置することにもリスクは伴います。人の出入りがなくなった建物は想像以上のスピードで老朽化が進み、シロアリや配管トラブル、倒壊のリスクが高まります。さらに、老朽化が進み「特定空家」に指定されてしまうと、固定資産税の軽減措置が解除され、税負担が最大6倍に跳ね上がることもあります。加えて、判断を先送りにするほど、将来的に相続人が増え、権利関係が複雑化して、売却の意思決定そのものが難しくなっていく点にも注意が必要です。

「収益化するか、売却するか、それとも維持し続けるか」——この判断には、法務・税務・建築・不動産市場といった複数の専門知識が絡み合います。一人で抱え込んで結論を出そうとすると、かえって時間ばかりが経過し、選べる選択肢が狭まってしまうことも少なくありません。だからこそ、早い段階で不動産の専門家に相談し、自分の物件にとって現実的な選択肢は何かを整理することが、後悔しないための一番の近道です。

もし「うちの空き家はどうすればいいのか分からない」「そもそも売れる状態なのか知りたい」という段階でも構いません。フィリアコーポレーションでは、無料査定・秘密厳守で、匿名でのご相談も承っております。1,000件を超える訳あり不動産の実績をもとに、収益化・売却の両面から現実的な選択肢をご提案いたしますので、お気軽にお問い合わせください。

当コンテンツの運営、執筆は株式会社フィリアコーポレーションが行っています。 詳細は、コンテンツ制作ポリシープライバシーポリシーを参照ください。

監修者
越川直之

越川直之 (宅地建物取引士 / 空き家相談士)

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